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役立たずと言われたので、わたしの家は独立します! 作者:遠野九重

第1章

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14. ひとまずのエピローグです!

第2章も続けることにしました、よろしくお願いします。


 ご先祖様が玉座の間に残した仕掛けについてお話する前に、ひとつ、説明しておくことがあります。




 以前にも言いましたが、私のご先祖様は天才的な錬金術師で、通信水晶という魔導具を発明しています。


 これがあれば、フォジーク王国の西の端と東の端でも顔を合わせているように会話ができるのです。


 私の暮らすナイスナー辺境伯領では通信水晶がかなり普及しており、一家に一台は常備されています。


 他の貴族領ではもうちょっと控えめですが、どんなに小さな村でも住民共用の通信水晶が広場や集会場に置かれているようです。


 ともあれ、フォジーク王国の国内には相当数の通信水晶が存在しているわけです。


 さて。


 玉座の間の仕掛けですが、これは王国内のあらゆる通信水晶に干渉して、ある映像と音声を強制的に流すものでした。


 それは私がクロフォード様から罵倒とともに婚約破棄される場面だったり――


 元国王陛下が私の家に対して、慰謝料や領地の割譲を求める場面だったり――


 クロフォード様とミーシャ様が人々のことを平民(かちく)とか平民(どれい)と呼んであざ笑っている場面だったり――


 今回の事件の一部始終が、フォジーク王国の全土に向けて発信されたのです。


 もちろんその映像と音声には、私たちが王宮に到着してからの出来事も含まれていました。


 クロフォード様が


「ミーシャならどうなっても構わん! だからおれだけは、おれだけは助けてくれ!」


 と叫んだところも……


 元国王陛下が


「クロフォードやギーシュはどうなっても構わん! だが、ワシだけは見逃してくれ!」


 と縋りついたところも……


 フォジーク王国に住むすべての人々が知るところになりました。


 ……とんでもない仕掛けですね、これ。


 国家規模の晒し上げというか、公開処刑じゃないですか。


 こんなことができたのは、他ならぬ私のご先祖様が天才的な錬金術師にして、通信水晶の開発者だったからでしょう。


 そうでなければ、国内すべての通信水晶に干渉して映像と音声を流すなんてマネ、できるはずがありません。




 ちなみに後日になって聞いた話ですが、私のご先祖様は王宮のいくつかの場所に特殊な術式を隠していたそうです。


 それは特定の日時にだけ発動し、周囲の映像と音声を記録し、玉座の間の仕掛けに送る、というものでした。


 ご先祖様は私と同じように未来視の魔法を持っていましたから、いつ、どこで何が起こるかを知っていたはずです。


 その情報をもとにして、300年後に生まれてくる子孫――つまり私のために術式を仕込んでいたのでしょう。



 ともあれ。


 これによって王家と呼ばれていたスカーレット公爵家の権威は完全に失墜しました。


 もともと人々からの信用はゼロでしたが、マイナスに振り切れてしまったと言っていいでしょう。


 さらにはミーシャさんの実家であるマーロン男爵家、それから、元国王陛下と連名で我が家に領地の割譲を求めていた貴族家も大きく名を落とすことになってしまいました。


 彼らはもともと領地経営にあまり熱心でなく、それどころか横暴を働いていたこともあってか、領民からは恨まれていたようです。


 そのため今回の事件がきっかけとなり、他ならぬ領民たちの手で裁きを受けることになるのですが――


 こればかりは仕方のないことでしょう。


 私たち貴族は、領地を富ませ、領民を庇護し、その生活を豊かにできる存在だからこそ、今の地位に留まっていられるのです。


 ただ貴族に生まれたというだけで裕福な暮らしが約束されるなんて、そんな甘い話はありません。


 領地と領民に対する責務を果たせないのであれば、その地位から引きずり降ろされるのも、領民から報復を受けるのも、残念ながら当然だと思います。




 * *




 私たちは王宮での話し合いを終えると、そのまま馬車で王都の屋敷に向かいました。


 フォジーク王国からの独立を宣言したわけですし、屋敷を引き払う必要があるからです。


 屋敷の使用人はみんな、王都で雇った人たちです。


 お父様はナイスナー辺境伯家が独立することを告げると、さらに、使用人たちひとりひとりに退職金を手渡し、こう言いました。


「突然こんなことになってすまない。


 他家の屋敷への就職を希望するのであれば、可能なかぎり尽力しよう。遠慮なく言ってくれ」


 ところが使用人たちの半数以上は、びっくりするような答えを返しました。


「わたしたちも、ナイスナー辺境伯領に移住します」


「正直、王家には愛想が尽きてたんですよね」


「他の公爵家から王様が出るみたいですけど、どうせ何も変わりませんよ」


「ナイスナー辺境伯領って、どの家にも通信水晶があるんですよね」


「王都よりも豊からしいですし、この際、一家で引っ越そうかなあ、と」


「実は前々からライル様がおっしゃってたんです。

 『うちの家はじきに王国から独立するから、そのときの身の振り方を考えておいてくれ』って」


 どうやらライルお兄様のほうで、もともと根回しは済んでいたようです。


 ちなみにナイスナー辺境伯領のほうが王都より豊かというのは、ちょっとオーバーな表現かもしれません。


 むしろ王都の状況がひどすぎる、と言ったほうが適切でしょう。


 というのも、この100年間はずっとスカーレット公爵家の当主が国王を務めていたわけですが、ひたすら失政が続いており、とくに王都とその周辺では貧富の差が大きく広がっていました。


 5年ほど前までは、病気なのに最低限の治療さえ受けられない人があたりまえのように裏路地に転がっている……という状況だったのです。


 だから私はあちこちで回復魔法を掛けて回るようになったのですが、それはさておき。


 王都の状況があまりにひどいせいで、人々にとってはナイスナー辺境伯領が天国のように見えるのでしょう。


「なんと……」


 ナイスナー辺境伯領まで付いていくという使用人たちの反応に、お父様は驚いていました。


 そこに、ライルお兄様が声を上げます。


「なあ親父、西からの魔物はいなくなったんだ。


 リベルもいるわけだし、これからは西をどんどん開拓していこうぜ。


 そのためには人手が必要だ。


 いっそ、王都の住民をまとめて連れ去るくらいの気概を見せてもいいんじゃねえか?」


「お兄様、さすがにそれは無理だと思います」


 私は思わず口を挟んでいました。


 王都の人たちをみんな連れ出すなんて、現実的に考えれば無茶そのものでしょう。


 ……と、思っていたら。


「可能と言えば、可能だな」


 リベルがいきなりそんなことを言いました。


「古代の水魔法には、水面と水面を繋いで空間を跳躍するものがある。


 魔杖の力を使えば王都とナイスナー辺境伯領を繋ぐことも可能だろう」


 それなら私たち、リベルに乗って王宮に乗り込まなくてもよかったのでは……と思わないでもないですが、まあ、竜を連れて殴り込むほうが見た目のインパクトは強いですからね。


 交渉というのは大きな棍棒を見せつけたほうが勝つ、とご先祖様の言葉にもありますし、リベルに手を貸してもらったのは適切な行動だったのでしょう。たぶん。


 ともあれ試してみましょう。


 私は屋敷の庭にある池に向かうと、魔杖をかざしました。


 すると、魔杖がぽわっと青白い光に包まれ――まるで私の意志に応えるように術式の情報が頭の中へと流れ込んできます。


 なるほど、たしかに水面と水面を繋ぐことは可能なようです。


 行き先は……領都ハルスナーの噴水広場にしましょうか。


 私は意識を集中させて魔法を発動させます。


「――えいえい」


 本当ならこの魔法にもすごく格好のいい魔法名をつけるべきなのでしょうが、今はちょっと思いつきませんでした。


 えいえい (仮称)が発動し、池の水面が鏡のような輝きを放ちます。


 隣にいたリベルが「ほう」と感嘆のため息を吐きました。


「さすがだな、フローラ」


 リベルはぽんぽん、と私の頭を撫でて褒めてくれます。


「まさか一度で成功させるとは思っていなかった。


 やはりおまえはアイツ以上の才能を持つようだ」


 アイツというのは私のご先祖様のことでしょう。


「さて、行ってみるか」


 そういってリベルは何の迷いもなく水面へと足を踏み出しました。


「ま、待ってください」


 私はリベルの手を掴んで引き留めていました。


「失敗しているかもしれませんし、まずは私が行きます」


「大丈夫だ。俺の婚約者が失敗するはずがない」


「でも、万が一ということもありますし……」


「ならば、なおさら俺が先に行こう。

 大切な婚約者に怪我をさせるわけにはいかんからな」


 リベルはそう言って水面に飛び込んでしまいました。


 私もすぐその後ろを追いかけます。


 ぴょん、とジャンプして水面に身を投げると――次の瞬間、水面から飛び出していました。


 周囲の景色はガラリと変わっています。


 花々の咲き誇る屋敷の庭ではなく、賑やかな広場でした。


 領都ハルスナーの噴水広場です。


 背後には噴水があり、水面は鏡のように輝いています。


 私はここから出てきたのでしょう。


「追いかけてきたのか」


 すぐ近くで、リベルが言いました。


「まったく、我が婚約者は勇敢なことだ」


 ふっと口元を緩めると、再び、私の頭を撫でます。


 子供扱いされてる気もしますが、くすぐったくて気持ちがいいです。


 周囲には人だかりができつつありました。


「ねえ、あれってフローラお嬢様よね?」


「本当だわ。いつのまに領都に戻っていたのかしら」


「横にいるのって、噂の婚約者だよな」


「もしかしてデートかな?」


「お忍びデートかも!」


「みんな、解散しましょう。

 こういうときは遠くからそっと見守るのよ」


「そうね、そうしましょう」


 ……なんだかよく分からないうちに、人だかりは去っていきました。


 去っていったというか、遠巻きに見守る形になりました。


 あちこちから視線を感じます。


 なんですかね、これ。


「……おまえは領民から慕われているな」


 リベルがクスッと笑みを零しました。


「ひとまず、屋敷に戻るか」


「そうですね」


 私は頷くと、リベルと一緒に噴水に飛び込み、屋敷の庭に戻りました。


 領都の噴水広場ではちょっとした騒ぎになっているでしょうが、まあ、そのうちきちんと説明すればいいと思います。


 ともあれ、王都からナイスナー辺境伯領への移動は意外に簡単ということが分かりました。


「ふむ」


 リベルは少し考え込むと、こんなことを呟きました。


「もしも将来的にフォジーク王国と戦争になっても、この魔法があれば、いつでも王都を制圧できるな」


「そんな物騒なことしませんよ」


 新国王が誰になるかはまだ未定ですが、その人が就任から1年ほどで本性を現して「おまえたちの豊かな土地を全部よこせ」なんて馬鹿なことを言い出して戦争を吹っかけてくる……ようなことはそうそうないと思います。


 たぶん、きっと、おそらく。






 そのあと、使用人たちから移住希望者を募っているうちに夜になってしまったので、屋敷で一泊することになりました。


 問題が起こったのは翌日です。


 王都に住む人々が我が家の屋敷に来て、こんなことを訴え始めたのです。


「オレたちも辺境伯領に連れて行ってください!」


「王都にいても仕事もないし、生活もギリギリなんです……」


「開拓でも何でもやります、だからお願いします!」


「フローラのお嬢ちゃんには怪我を治してもらった恩があるからな!

 この国から出ていくって言うなら、一緒についていくぜ!」


「聖女様、どうか新しい国を作るお手伝いをさせてください!」


 その光景を見て、ライルお兄様が肩をすくめました。


「うちの妹、マジで人気者だな。

 これ、ナイスナー辺境伯領あらため神聖フローラリア帝国とか名乗ったほうがいいんじゃねえか?」


 やめてくださいお兄様。


 さすがにそれは恥ずかしすぎます。


 そもそも『神聖』とか『帝国』とかどこから出てきたんですか。


 とはいえ西の地域を開拓していくのであれば、人手が欲しいのも事実です。


 ただ、王都の住人を勝手に連れて行くのは大きな問題になりますし、どうしたものでしょうか。




 この件については、後々、お父様と新国王とのあいだで話し合いが行われ、王都の住民のおよそ3割がナイスナー辺境伯領に移住することになりました。


 というのも300年ものあいだ平和な日々が続いたため、王都の人口が爆発的に増え、行政の介入が不可能なほどの過密状態になっていたからです。


 本来ならばこうなる前に手を打つべきなのでしょうが、代々の国王が「自分の在位中に大きなトラブルが起きなければそれでいい」とばかりに場当たり的な対応を繰り返し、根本的な解決を次の代に先送りした結果、どうしようもない状況に陥っていました。


 そのため、我が家の提案はフォジーク王国にとって非常にありがたいものだったようです。


 




 * *







 私たち一家が王都を離れたのは、それから七日後のことでした。


 もともと水面下で工作が進んでいたとはいえ、国から平和的に独立するにあたっては色々と処理すべき案件が多かったためです。


 ただ、ナイスナー辺境伯家はもともとフォジーク王国のなかでも独立国のような状態でしたから、領民の生活にあまり大きな影響は出ませんでした。


 食料も自給自足できますし、極論、国内だけで経済を回せちゃうんですよね。


 これからは西部の開拓も始まりますので、少なくともこの先の数十年は大きな問題もないでしょう。





 そうして私の婚約破棄から始まった一連の騒動が落ち着いたある日の昼下がり、私はリベルと出掛けることにしました。


 このところバタバタと走り回ってばっかりでしたからね。


 たまには息抜きも必要です。


 空はどこまでも青く、気持ちのいい天気です。


 私は靴を脱ぐと、リベルの大きな手にピョンと飛び乗りました。


「リベルの手はいつも暖かいですね。ふぁ……」


「もう眠くなったのか?」


「なんだかここ、落ち着くんですよね」


「……ふっ」


「どうしたんですか、急に笑ったりして」


「竜の手の平でここまでくつろげるような人間は、我が婚約者くらいだろうな、と思ってな」


「手の平だけじゃないですよ? 尻尾にもたれて寝るのも好きです」


「まったく。本当にフローラは大物だな」


 リベルは苦笑しながら、ゆっくりと翼を上下させました。


 ふわり、と竜の巨体が空に浮かびます。


「リベルが前に言ってましたよね。


 竜の翼ってそれ自体がひとつの巨大な魔法陣なんでしたっけ」


「そのとおりだ。


 竜は羽搏きによって自在に風を操る。


 やりようによっては、風を楽器として扱うことも可能だ」


「はじめてガルド砦に向かったとき、すごく綺麗な声で歌ってましたよね。


 あれ、もう一回聞かせてくれませんか?」


「いいだろう」


 リベルは私のほうを見て、口元に笑みを浮かべました。


 そして大きく息を吸い込み、


「LAAAAAAAAAAAAAAAA――――」


 とても美しく、澄み切った歌声を青空の下で響かせました。


 それは以前と同じで、まさに絶世の楽器のような音色でした。


 リベルが翼を羽搏かせると、ヒュゥゥゥと風が渦巻き、歌声が反響を始めます。


 やがて耳に届いてきたのは、たとえるなら、たった一匹の竜によって生み出される交響曲でした。


 心地の良い旋律が、私を包むように響き渡ります。


 私は時間が経つのも忘れて、ただひたすら、その音色に聞き入っていました。


 やがて歌が終わると、リベルは満足そうにこう言いました。


「竜は本来、己の気が向くままに歌うものだ。


 ……だが、こうして愛しい者のために歌うのも悪くないな」


「ありがとうございます」


 私はちょっと照れながらお礼を告げました。


 真正面から『愛しい者』なんて言われると、さすがに気恥しいですね。


「素敵な歌でした。また、聞かせてください」


「もちろんだ。


 おまえが望むならば、いつでもこの歌を捧げよう」




 それから私はリベルにお願いして、久しぶりに竜神の洞窟に向かってもらいました。


 いえ、竜神の洞窟跡地、と呼んだほうが正しいでしょう。


 なにせリベルは地下の大空洞から出るときに、ブレスで天井を消し飛ばしてしまいましたから。


 もはや洞窟は跡形も残っていません。


 野ざらしになった鍾乳洞が、太陽の光を受けてキラキラと輝いています。


「リベルは、ここで300年も眠っていたんですよね。


 ……寂しくはなかったんですか?」


「さて、どう答えたものかな」


 と、リベルは呟きました。


「かつての俺は、そもそも竜は孤独なものだと思っていた。


 ひとりで生まれ、ひとりで死ぬ。


 そういう存在だと決めつけて、寂しさから目を逸らしていたのかもしれん」


「今は違うんですか?」


「……ああ」


 リベルは頷きます。


「俺はもはや孤独ではない。


 おまえという婚約者がいる。


 ……もはや以前の日々に戻りたくはない。


 フローラ、人であるおまえの命は100年にも届かぬうちに尽きるだろう。


 だが、それでも、長く生きてくれれば嬉しく思う」


 リベルは私のほうを見ながら、まるで祈るようにそう呟きました。


 まあ、確かに私は人間ですからね。


 リベルよりも先に死んでしまうことは、どうやっても避けられません。


 そればかりは仕方ない話でしょう。


 だからこそ、生きている間に、たくさんの思い出をリベルに残せればいいな……って、なんでこんな感傷的になってるんですかね。


 折角のお出かけですし、もっと明るく行きましょう。


 私はリベルに笑いかけて、こう告げます。


「大丈夫ですよ。ちゃんと長生きします。


 回復魔法もありますし、ちょっとやそっとのことじゃ死んだりしません。


 なにより私、図太いですから」


「……ふっ」


 リベルは口元に小さな笑みを浮かべました。


「そういえば、そうだったな。


 殺しても死にそうにないところは、おまえの先祖そっくりだ」


 まあ、でも、天才的な魔法使いと呼ばれたご先祖様も寿命には勝てずに死んじゃったわけですけどね。


 ……なんてことを言うと空気がぶち壊しなので、ここはあえて黙っておきます。


「そういうわけだから、安心してください。


 リベルをひとりにはしませんから」


「ああ」


 リベルは頷くと、さらにこう続けました。


「俺は、おまえを必要としてる。


 そのことは、忘れるな」


「……はい」


 私は首をコクンと縦に振りました。


 胸がなんだか暖かいです。


 たぶん、私、今のリベルの言葉が嬉しかったんだと思います。



 

 それから私たちはさらに西に向かい、山々と湖を見たあと、領都ハルスナーの屋敷に戻りました。


 すると、ライルお兄様が私のところにやってきて、とても深刻そうな表情で話しかけてきます。


「フローラ、確認するが、おまえはリベルの婚約者だな」


「ええ、はい。その通りです」


「……よし」


 そしてライルお兄様は、まるで愛しい女性に告白する直前のように息を大きく吸って、吐いて――言いました。


「予定が決まっていたら教えてくれ。


 結婚式はいつ挙げるつもりなんだ?」





 あっ。


 そういえば、そうでした。


 婚約者ってことは、いずれ結婚するわけですよね。


 ちなみに一般的な貴族は十五歳から十八歳くらいに結婚します。


 私、十五歳なんで適齢期なのは間違いないのですが、ええと、その。


 あう……。


 婚約者とはいえ、結婚式や結婚生活について考え始めると、なんだか照れくさくなってきます。


「ど、どうしましょう……?」


「とりあえず家族会議だな。オレは親父を呼んでくる」


「じゃ、じゃあ、私はリベルに声を掛けてきます……」





 婚約破棄から始まった騒動は一段落つきましたが、まだまだやることは多いようです。





 更新直前に「タグ『異類婚姻譚』なのに結婚してない……!」という重大な不具合に気付いたので、このまま第2章に入ります。作者もびっくりしています。


 第2章の内容としては次のものを予定しています。


・独立したナイスナー辺境伯領のその後 (どんな名前の国名になるか、など。神聖フローラリア帝国ではないです)

・西部の開拓 (明るいスローライフ?)

・元王家 (スカーレット家)の転落 (ざまあ)

・ナイスナー辺境伯家の割譲を要求した貴族たちの転落 (ざまあ)

・新国王の暴走と、フォジーク王国の崩壊 (ざまあ)



 もし第2章に収まりきらなかったら第3章に入るかもしれません。


 ともあれ、今後ともお楽しみいただけると幸いです。


 次回更新は6月6日 (土)22時30分頃を予定しています。


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