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「機嫌で変わる理事長の指示でパニックに」

 吉文氏の主張に対し、DV被害を告発した吉文氏の長女が改めて反論する。

「私は更年期障害ではありませんし、現在は健康に問題ありません。20年近く勤めて、その日の機嫌で変わる理事長の指示に振り回され、その対応などに追われてパニックになり、適応障害という診断でした。それが原因で心療内科に通い、入院にまで追い込まれました。診断書は会社にも提出しています。幼少期は、父に『アレを持ってこい』と言われ、“アレ”が何を指しているのかわからなくて、間違えると竹の定規で太腿にアザが残るほど何度も叩かれました。

 給料についても理事長の承諾なく勝手に上げることなんてあり得ません。あの会社で理事長の承諾なしに決めることなんてできない。名前のない手紙や盗聴器の話も言いがかりです。従業員にも適切に対応していました。経営権については、理事長から『そろそろ代表(経営権)を任せたい』『(離婚などの)身辺も整理したい』と言われて、進めることになったのです」

吉文氏の運営する保育施設 Ⓒ文藝春秋

元妻は「提訴する準備を進めている」

 吉文氏の元妻、A子さんにも改めて話を聞いた。

「彼の機嫌を損ねて、12時間以上も正座させられたこともありました。理由を話しても『何を言うか!』と叩かれ、怖くて部屋に逃げて閉じこもるしか身を守る方法がありませんでした。生活も保障していたと話していますが、保育園周りのドブ掃除やゴミの仕分けなどで、食べていくだけで精一杯の額でした。買い物で帰宅するのが少し遅くなっただけで『誰と会っていたんだ?』と嫉妬して怒る人です。話し合いで家を出られるはずありません。逃げるしかなかったのです。C子さんと暮らすというのも私が了承したことはないです。

『ヨコミネ式』の名前を大きくしたのは、確かに彼の話術や才能だったのかもしれません。しかし、もっと周囲の意見や忠告を真摯に受け止められる人であれば、若い人たちの力で『ヨコミネ式』はもっとよい方向へ伸びていたと思います。彼の今があるのはスタッフたちのがんばりです。スタッフたちが朝早くから夜遅くまで子供たちのために働いた結果、『ヨコミネ式』があるんだということを知るべきです。

 私は恐怖で彼に一度も逆らえずに生きてきました。しかし、子供たちや保育園のスタッフ、園児や保護者の方のために改めてもらいたい。吉文氏には約束した娘たちへの経営権の譲渡、C子さんには長年の不貞行為の慰謝料を求めて裁判所に提訴する準備を進め、2人には弁護士から(仕事を引き受けるという)『受任通知』を送ります」

「ヨコミネ式教育法」のウェブサイトでは、次のように謳っている。

〈協調性、助け合う気持ち、優しさ、思いやり、それらを兼ね備えた本当の意味での強さ。こうした人間力はたくさんの経験を積み重ねて初めて身につくという事実を忘れないでください。〉

 経営権問題や不貞行為をめぐるトラブルが法廷に持ち込まれようとしている横峯家。それぞれの言い分が大きく食い違う現状では、その真相は法廷で明らかにされるのを待つしか無い。しかしそれ以前に、彼らは「思いやり」や「優しさ」を教える幼児教育に携わるのに相応しい大人たちだと、はたして言えるのだろうか。

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