厚生労働大臣の田村憲久氏
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の行政上の対応を見直す政令の改正が、10月9日に開催された閣議で決定されました。改正のポイントは2つ。措置入院の対象を絞り込むことと、疑似症患者の届出対象を入院患者のみとすることです。前者は10月24日から、後者は10月14日からの施行となります。
閣議決定後、厚生労働大臣の田村憲久氏は記者会見で、改正内容を説明しました。
改正の意図については、医療機関や保健所の負荷を軽減することと言及しています。
具体的な改正ポイントは2つです。1つは措置入院の対象の絞り込み。もう1つは疑似症患者の届出対象の見直しです。
措置入院は、これまで重症度に関係なく、軽症でも無症状の人でも対象としていました。改正後は、「高齢者や基礎疾患を有する方など、重症化リスクのある方に限って重症者、中等症者のような形で入院をしていただくという形」(田村氏)となります。対象とならない軽症者や無症状の人は、入院以外の対応、つまり自宅や療養施設での療養となります。
ただし、入院措置の対象については「都道府県知事の合理的かつ柔軟な対応を認める」(田村氏)ことになりました。知事の判断で、本来なら自宅や施設での療養となる人であっても措置入院の対象にしていいということです。一部の知事から、感染者がさほど多くはない地域では医療機関の入院機能にまだ余裕があるのだから、今まで通り重症化リスクの低い人の入院を認めてほしいとの要望があり、これに応じた形です。
もう1つの改正ポイントは、疑似症患者の届出に関してです。こちらも対象の絞り込みがありました。
これまでは、軽症者を含めて全てで届出をすることになっていました。改正後は、重症患者の入院の場合に限って保健所に報告することになりました。「重症であって」かつ「入院している」人に限って保健所に届け出ることになります。
なぜ「重症」かつ「入院」に絞ったのかというと、インフルエンザ流行の心配があるからです。今冬は、インフルエンザとCOVID-19の同時流行のリスクがあります。同時流行が起こると、どちらか分からない患者さんが増えます。つまり、COVID-19疑似症患者が大幅に増加するリスクがあります。この急増する疑似症患者を全て届け出ていると、保健所の機能が麻痺してしまう恐れがあるわけです。
なお、確定患者については、入院症例に限定せず、引き続き全数の届出が必要です。
今回改正となる措置入院対象の絞り込みは10月24日から、疑似症患者の届出対象の変更は10月14日から施行されます。