<新型コロナ>下水で感染把握 金沢大准教授、船橋市と協定 予兆や傾向分析

2020年10月13日 07時44分

高瀬下水処理場で採取する施設職員(船橋市提供)

 新型コロナウイルスの感染状況を、採取した下水から把握しようと、船橋市は十二日、金沢大学(石川県)の本多了准教授と同日付で協定を結んだと発表した。新型コロナの感染から発症までの潜伏期間は一〜十数日とされる。トイレなどから流れた下水を調べることで早期に感染拡大の予兆や感染傾向が分かり、警戒にもつながる可能性があるという。
 新型コロナは欧米などで下水から相次いで検出されたことが報告されている。このため同市は六月二十五日から、市内の高瀬下水処理場(処理人口約二十六万人)と西浦下水処理場(同約十一万人)の沈砂池から週ごとに二日、一回当たり各二百五十ミリリットルを採取。冷凍保管してきた。
 本多准教授は、日本水環境学会で新型コロナを研究するタスクフォースの幹事長を務めている。今回の協定で、船橋市の二つの下水処理場の下水を提供し、ウイルス量などを分析してもらう。PCR検査で市保健所が把握する発生状況のデータとを重ねることで、実際の感染状況との相関関係も検討できるとしている。
 松戸徹市長は「感染拡大の予測につながるような成果が上がるよう期待している。予測できれば、事前に手を打つことができる」と話した。
 市によると、日本水環境学会のタスクフォースは今年五月に設立され、各地の大学教授や国などの機関、民間企業が共同研究している。同市と同様に下水を提供しているのは、東京都や横浜市、川崎市などという。 (保母哲)

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