今のテレビ界を動かしているタレントは誰か? 日経エンタテインメント!では、地上波で放送している番組の出演者を独自に調査。番組公式サイトに掲載されている情報を基にレギュラー数(準レギュラーは対象外)をカウントし、ランキング化した(調査方法は下記参照)。今回は関東圏だけでなく、日本全国の放送局(独立局含む)を対象としたことから、意外な地方の人気者なども明らかになった。
トップはバナナマンの設楽統だった。レギュラー数は12本。設楽の特徴は、コンビでも個人でも、全方位の活躍ができること。『ノンストップ!』(フジ系)では、月曜から金曜の帯で司会を務め、『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)などコンビの仕事も多数。『そんなバカなマン』(フジ系)など、芸人としてほどよくふざけられる深夜のお笑い番組も持っている。全体ではMCの役割が多いなかで、目を引くのが『ジョブチューン』(TBS系)など、今でもひな壇要員としてのレギュラーがあること。東京地区の放送を対象にした、ニホンモニターの「タレント番組出演本数ランキング」でも上位の常連であり、MCにこだわらず、幅広く仕事をする姿勢が功を奏していると言えるだろう。
2位は有吉弘行。数年前から、テレビの改編期に確実に新番組を増やしてきた。レギュラー数11本のうち9本が冠番組であり、キャラクターを重視されているタレントの代表格と言える。以前は毒のあるイメージが強かったが、『有吉ゼミ』(日テレ系)、『おーい!ひろいき村』(フジ系)と、19時台の番組を2つ持っており、幅広い層に受け入れられていそうだ。
3位は、オードリー、タカアンドトシ、たむらけんじの計5人で、レギュラー数は10本。タカアンドトシは、『天才!志村どうぶつ園』(日テレ系)など、家族で見られる番組に多く出演し、子ども向け番組も担当している。『タカトシ牧場』(北海道文化放送)は09年から継続しており、地元愛も健在。オードリーは、『マサカメTV』(NHK)など、生活情報を取り上げる番組を多く担当するほか、東海ローカルで冠番組『オードリーさん、ぜひ会って欲しい人がいるんです!』(中京テレビ)を持つ。メインMCを務める機会が増えている若林正恭は、個人でも『しくじり先生』(テレビ朝日系)などで進行役の腕を磨き、一方の春日俊彰は、以前から体を使った企画が得意。『炎の体育会TV』(TBS系)ではボディービル、フィンスイミングと、競技者として番組の話題作りに貢献している。そして最も意外な結果といえるのが、たむらけんじ。全国区の人気者たちを押しのけ、3位に入った。しかも、レギュラー10本すべてが関西地区の番組だった。
続く9本には、くりぃむしちゅーやブラックマヨネーズらとともに、マツコ・デラックスの名が。1人でロケに出かける『夜の巷を徘徊(はいかい)する』(テレビ朝日系)や、『マツコの知らない世界』(TBS系)など、ほかのタレントがいなくても番組が成り立つ稀有(けう)な存在。吉本新喜劇の座長ということから関西のイメージが強い小籔千豊(こやぶかずとよ)もここに入り、人気が全国区に広がっていることが分かる。また、ハーフタレントの春香クリスティーンが女性トップのレギュラー数だった。国会議事堂に週に複数回通うほど政治好きで、報道番組『Nスタ』(TBS系)や、討論番組『激論!コロシアム~これでいいのか?ニッポン~』(テレビ愛知)などで得意分野を生かしている。
関ジャニ∞の村上信五は8本。この春、個人で2本のレギュラーを増やし、TOKIOの国分太一(7本)を抑えてジャニーズ勢で最高位となった。そして女性芸人トップとなるハリセンボンの近藤春菜、長年バラエティタレントとして第一線にい続けるベッキーも8本で並んだ。近藤は、『てっぺん静岡』『Girls Party』(ともにテレビ静岡)の2番組に個人で出演している。
バラエティ界の大物・ビートたけし、所ジョージはともに7本。ほかに、単独出演するスポーツ番組があるサンドウィッチマンの伊達みきおや、オードリーと同じ00年デビュー組の南海キャンディーズ・山里亮太が7本で並んだ。
6本となると、様々な顔ぶれが入る。加藤浩次やナインティナインのほか、MCとして将来が期待される小島瑠璃子や、ナレーションのレギュラーを3本持つ柳原可奈子がこの位置。そして、文化人では唯一、林修がランクインした。
●日本全国の放送局(独立局含む)が対象。地上波で放送されているテレビ番組(ミニ番組を含む)のレギュラー出演者を調査し(5月中旬)、1番組1本としてタレントごとに本数を集計した。
●番組公式サイトの情報を基に、出演者として名前の記載がある場合にレギュラーとしてカウントした(ナレーション出演を含む)。公式サイトに出演者の記載がない番組に関しては、放送の実態に則してレギュラー出演者を判断した。
●準レギュラー、不定期出演は対象外とした。
●ドラマ、不定期番組、スポーツなど期間限定の番組、再放送番組、通信販売番組は対象外とした。
●局所属のアナウンサーは対象外とした(フリーアナウンサーは調査対象)。
(ライター 内藤悦子、写真 辺見真也)
[日経エンタテインメント! 2015年7月号の記事を再構成]