このところするべき事が溜まってきていてブログエントリーを書く精神的な余裕がありませんでした。書き始めれば15-20分なのですが書き始める気にならないというよりこんな事をしていて良いのかという罪悪感に駆られてはばかられるのです。
というわけで久々のエントリーです。
まず御大ブログのエントリー「「選択と集中」はあかん!」からです。
御大に「自分は野武士だ」といわれると「ぼくはベトコン」という事になってしまうのですがさすがにいいこと書いておられます。
少し引用します。
いまの日本、広大な生命科学のフィールドでいったいいくつかの野武士研究室が棲息しているのでしょう。
年間5億円のお金を、20の研究室で分配するとして、各研究室は平均、2500万円をもらいます。その結果残りの200の研究室は競争審査の結果でゼロになります。ゼロです。大半の研究室は死になさいと言われるようなものです。これがしばらく続けば、実質消える運命にあるのかもしれません。なんども言いますように、ゼロ査定ではね。野武士でも200万くらいはないと、生きていけないでしょう。ベトコンでも年間50万円くらいの研究費がないと。でもこの5億のお金を220の研究室でわければ、みんな野武士くらいの研究室にはなれるのです。ベトコンならゆうゆうです。ただし、給料分は自分でなんとかしないとね。でも大学なんかは本来教育で給料をもらっているのですから、なんとかなるはずなのです。
太字はぼくがつけました。
ぼくもそう思います。大学院生を何人か抱えて研究費ゼロでは立ちゆきません。今までそこそこ生き残ってきた研究者がいきなり兵糧攻めにされるとホント困ってしまいます。マラソンをして研究費を稼ぐことのできるほどの人はよいのですがぼくなど走る暇さえありません。
ホント困ります。
昨日も夜は,無影灯の見積もりをとって来年度の部署の活動目標の作業をしていました。イヤになってしまいます。
でもこういう純然たる雑用も極めるとノウハウとして蓄積してきます。「おかげで」大抵のことは経験させていただきました。
やっていないのは,手術室の設計と入学試験の問題作りくらいではないかと。
将来この経験が生きる局面が出るのかどうかはよく解りません。
若い人もこういう苦労をした方が良いと思います。来年度はこういう仕事は放り投げてやろうと思っています。
最近,科学領域での不正が話題になることが多いと感じています。
例えば,「これ」とか「これ」。
前者は以前から知っていましたが後者は麻酔科領域の話ですごく驚きました。
すこし調べるだけですでに”Anesthesia & Analgesia”と”Anaesthesia”では編集長の見解も表明されています。(参照1,参照2)
A&Aは事実のみを述べていて”倫理委員会”の審査無しに行った研究を倫理委員会の認可があるように記載したという理由でretractされと述べているだけです。
しかし”Anaesthesia”ではあたかもデータの処理法に根本的な不正が存在することを示唆する内容になっています。
とくにAnaesthesiaは焦点の研究者の論文のmeta-analysisまで掲載されています。つまり如何に統計学的にあり得ない論文であるかを確率論に則って論証したという論文です。(参照3)
結論の部分を引用します。
In conclusion, I have shown that the distributions of continuous and categorical variables reported in Fujii’s papers, both human and animal, are extremely unlikely to have arisen by chance and if so, in many cases with likelihoods that are infinitesimally small. Whether the raw data from any of these studies can be analysed, and whether this might provide an innocent explanation of such results [4], is beyond the scope of this paper. Until such a time that these results can be explained, it is essential that all Fujii et al.’s data are excluded from meta- analyses or reviews of the relevant fields. The techniques explored in this paper offer a method of assessing data integrity in RCTs published by other authors, for instance within systematic reviews by the Cochrane Collaboration.
太字はぼくがつけました。
びっくりしました。
いったいこういう人たちは何の目的でこんな事をするのでしょうか。
不正はいろんなレベルで起こります。超一流紙を舞台にしても起こるし誰も見向きもしない雑誌を舞台にしても起こりますね。
研究費の獲得だけではないような気もします。
ひょっとすると,「俺っていけてる」ということを証明したくてするのでしょうか。
東邦大学はなぜが英語のページのみで経緯の調査結果を報告しています。この人はこれからどこに行くのでしょうか?
日本麻酔科学会はこの件について現時点では沈黙しています。
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