英科学誌ネイチャーは8日付で「世界各地で政治家が学問の自律や自由を後退させている」と指摘する論説を公表した。
新型コロナウイルスを巡る米トランプ大統領の対応などと共に、菅義偉首相が日本学術会議メンバーの任命を拒否した問題に言及。学問の自律は現代の学術研究を支える基盤で、これが損なわれれば「人々の健康、環境や社会の健全性を危機にさらす」と警告した。
論説は政治が科学を軽視した例として、ブラジルでアマゾンの森林破壊が加速したと報告した国立研究機関のトップが解任されたことを挙げた。英政府が専門家による新型コロナの検査データが不正確だとの意見に耳を貸さなかったことも例示。日本学術会議に関しては「菅首相が政府の政策に批判的だった6人を任命しなかった」とした。
同誌は、今後も政治と科学の問題を取り上げ、政治家が学問の自由や異なる見方を尊重するよう促すとした。(共同)