国産ウイスキーの比較第3弾として、1000円台後半の銘柄を比較していきます。
ほとんどが今まで書いてきた記事からの引用、まとめですので、すでに読んでいる人はご了承ください。
この価格帯になるとブレンデッドだけではなく、モルトウイスキーも出てきます。特にニッカはこの価格帯に商品が集中しています。
ちょっと本格的なものを飲みたいのであれば、この価格帯でもいけるでしょう。
<サントリー>
プレミアム角瓶
(700mL 43度 1900円)
1000円台前半の角瓶よりもワンクラス上の香りと味を追求したのが、2013年に発売されたプレミアム角瓶です。現状のラインナップを見ると、スペシャルリザーブとほぼ同じ、ローヤルのスリムボトルよりも少々安めというところでしょうか。
早速あけてみると、 先に甘い香りが鼻をくすぐります。ブラックニッカ・リッチブレンドで感じたシェリー樽由来のものかと思われます。
ロックで味わってみると、スモーキーな香りはそこそこで、サントリーらしく抑え込んだ感があるものの、ウイスキーファンでも不満がない程度に残しています。
アルコールの刺激も43度ならではのレベルはあるものの、レギュラーの角瓶ほどの臭みは感じられません。プレミアムの名は伊達ではありません。
氷がだいぶ解けても香りが落ちることは少なく、水割りやハイボールで飲む人にも十分感じられるでしょう。
この上となると、ローヤルを飛び越えて、山崎や白州、響を求める必要があるでしょう。
ちなみにコンビニやスーパーによってはハーフサイズのボトルを売っているお店もあるので、1000円あたりで楽しめるでしょう。
<個人的評価>(A~E)
香り B: オールド同様にシェリーダル厳守ならではの甘い香りが鼻をくすぐる。
味わい B: 癖は少なく、甘さがメイン。どんな飲み方でも多くの人に受け入れられそう。
総評 B: サントリーとしては出来がいいが、ニッカやスコッチのブレンデッドに比べると割高な印象。
サントリーオールド
(700mL 43度 1500円)
(700mL 43度 1900円)
早速あけてみると、 先に甘い香りが鼻をくすぐります。ブラックニッカ・リッチブレンドで感じたシェリー樽由来のものかと思われます。
ロックで味わってみると、スモーキーな香りはそこそこで、サントリーらしく抑え込んだ感があるものの、ウイスキーファンでも不満がない程度に残しています。
アルコールの刺激も43度ならではのレベルはあるものの、レギュラーの角瓶ほどの臭みは感じられません。プレミアムの名は伊達ではありません。
氷がだいぶ解けても香りが落ちることは少なく、水割りやハイボールで飲む人にも十分感じられるでしょう。
この上となると、ローヤルを飛び越えて、山崎や白州、響を求める必要があるでしょう。
ちなみにコンビニやスーパーによってはハーフサイズのボトルを売っているお店もあるので、1000円あたりで楽しめるでしょう。
<個人的評価>(A~E)
香り B: オールド同様にシェリーダル厳守ならではの甘い香りが鼻をくすぐる。
味わい B: 癖は少なく、甘さがメイン。どんな飲み方でも多くの人に受け入れられそう。
総評 B: サントリーとしては出来がいいが、ニッカやスコッチのブレンデッドに比べると割高な印象。
サントリーオールド
(700mL 43度 1500円)
1950年に発売以来、サントリーのメインストリームとして売られ続けています。その形状から、ダルマという愛称もあります。
現在のブレンドは2008年に改められ、昔ながらの味に回帰しつつ、アルコール度数を43度に上げています。
香りはシェリー樽原酒ならではの華やかで甘い香りが立ち上がってきます。特にロックやトゥワイスアップにすると引き立ちます。
味はサントリーならではの淡麗な仕上がりで、アルコールの刺激は控えめでスモーキーフレーバーもかなり抑えられています。
日本人好みの味にしているだけで無く、料亭や小料理屋など和食にも合うウイスキーの味を追求した姿勢は変わりません。
味や香りの傾向からすれば、ライバルはブラックニッカ・リッチブレンドでしょう。こちらもシェリー樽原酒を使って香りで勝負しています。
かつてはサラリーマンにとっても高嶺の花でしたが、今や手軽に飲める価格にまで値段が下がっています。
ターゲットは団塊の世代辺りですが、ハイボールで知った若い人にこそ飲んでもらいたい銘柄だと思います。
ただ、ウイスキーならではのスモーキーな香りと癖は無く、本格的なウイスキーを狙う人には向かないでしょう。
<個人的評価>(A~E)
香り B: シェリー樽原酒ならではの華やかな香りが堪能できる。
味わい B: アルコールの刺激は抑えめで、まろやかで飲みやすい。
総評 A: コストパフォーマンスの点で、サントリーの中でもかなり高い。万人受け。
<ニッカ>
ピュアモルトホワイト
(500mL 43度 1500円)
ホワイトは、余市蒸留所のモルトの中でもヨードや正露丸のような磯の香りを伴ったピート香の強いモルトをメインにしています。かつてはアイラ島の蒸留所からモルト原酒を輸入してヴァッティングしていましたが、現在はそれに近い原酒を使っています(蒸留所限定で、余市12年 ピーティ&ソルティというシングルモルトもあります)。
ボトルはシンプルな形状で、あたかも蒸留所の売店で買った原酒のような雰囲気を醸し出します。キャップはスクリューではなくコルク栓を使っていますが、開けやすいようにプラスチックのキャップがかぶせられてあります。
まず香りをかいでみると、早速スモーキーな香りが鼻をくすぐります。
トゥワイスアップで飲んでみると、口の中には海草やヨード(イソジンうがい薬のような)香りと味わいが広がります。その意味でもアイラモルト風に仕上げていると言えます。
一方でアルコールの刺激は控えめで、それほど若い原酒は使ってないことが理解できます。しかし飲み応えは十分にあります。
万人受けするとはいいがたいですが、アイラモルトが好きな人であれば受け入れられるでしょう。
<個人的評価>(A~E)
香り B: ピートとヨードの香りがふんだんに口と鼻をくすぐる。個性的なので嫌がる人もいるかも。
味わい A: アルコールの刺激は抑えめで比較的まろやか。水割りやハイボールでも負けない強さ。
総評 B: アイラモルトが好きで、今までのジャパニーズとは違う味を求める人にお勧め。
ピュアモルト ブラック
(500mL 43度 1500円)
実際の香りもピートのスモーキーさとともにバニラのような甘いものもあります。
しかし、多少のまろやかさがあって宮城峡モルトの良さが出ている感じです。
悪く言えば中途半端、よく言えばシングルモルト余市と竹鶴ピュアモルトの中間がほしいというピンポイントを求める人にちょうどいいといえます。
<個人的評価>(A~E)
香り C:余市モルト由来のピート香、バニラのような甘い香りがしっかり出ている。
味わい B:シングルモルト余市よりも比較的まろやか。宮城峡モルトの味が後ろ盾をしている。
総評 C:中途半端。これを買うならシングルモルト余市500mlがおすすめ。
ピュアモルト レッド
(500mL 43度 1500円)
ストレートで飲んでみると、若い原酒を使っているせいか、アルコールの刺激が強くやってきます。しかしそれを過ぎると意外なほどあっさりしていて、ほのかにウッディな香りが尾を引いていきます。とはいえ、薄いという感じはありません。
トゥワイスアップにすると、宮城峡モルトならではのフローラルな香りが立ち上がってきて、バニラやナッツのような甘みも感じられます。一方でアルコール由来のスパイシーな刺激もいい塩梅で楽しめます。
余市モルトのスモーキーな香りも奥から感じられますが、ブラックに比べると控えめです。
3種類の中では万人受けするヴァッティングになっていて、ブレンデッドからモルトウイスキーに入ろうという人にも向いているでしょう。
<個人的評価>
・香り B: ストレートではアルコールが強く主張するが、トゥワイスアップでフローラルな香りが楽しめる。
・味わい A:甘さ、辛さ、さわやかさ、重厚さが絶妙に行き交いするバラエティ豊かな味。
・総合評価 A:初心者でも勧められる絶妙な配分。竹鶴ピュアモルトが高いと思うなら、こちらを買うのも一興。
シングルモルト余市 ノンエイジ
(500mL 43度 1600円)
サントリーの山崎と白秋のノンエイジが700mLでありながらも3000円台だと考えると、割安であることに変わりはないでしょう。
まず余市ですが、若いゆえにアルコールの刺激はそれなりにありますが、バニラのような甘い香りが出ています。ただしスモーキーな香りも目立っていて、癖のあるものになっています。
味わいはクリーミーではあるものの、ボディは重めで辛味、苦味もそこそこ立ってきます。
万人受けとは言わないものの、本格的なウイスキーの味を求めるのであれば十分ではないでしょうか。特にスーパーやコンビニによっては置いている場合もあるので、手に入りやすいでしょう。
<個人的評価>
・香り B: バニラのような甘い香りがするが、ピートからくるスモーキーな香りもそこそこ。
・味わい C: クリーミーであるものの、アルコールの刺激、重いボディがしっかり来る。
・総評 B: 余市モルトの重厚感を楽しむには十分な一品。
シングルモルト宮城峡 ノンエイジ
(500mL 43度 1600円)
反面、余市のようなどっしりとした味わいは少なく、スモーキーな香りも抑えめになっているようです。
同じシングルモルトで飲み比べても、両者の違いはかなり明確にわかります。両者とも熟成年数の少ない原酒を使っているものの、若い原酒特有のアルコールの刺激も、宮城峡は上へ昇華する感じで、余市は下へ重厚感を与えているように思えます。
飲み口も、宮城峡は軽めで、余市は重めです。
これだけ個性が対照的であれば、ブレンデッドウイスキーを自社の原酒だけで作る上でもバラエティに富んだものを作れるわけだ、と思います。
ライトな味を求めるのであれば、宮城峡のほうが勧められるでしょう。
<個人的評価>
・香り A: シェリー樽原酒と思われる華やかな香りが前に出ていて心地よい。スモーキーさは抑えられている。
・味わい B: ライトでスムーズ。比較的甘目。
・総評 B: あまり重さがなく、水割りやハイボールでも飲みやすい。
G&G
(750mL 43度 1800円)
実際、ほかに比べると余市モルトの特徴というべきピート由来のスモーキーな香りと重厚な味わいが強く出ているものになっています。おそらくは宮城峡モルトをほとんど使っていないのではないでしょうか(発売当時はまだ竣工していないので含んでないとみてもいいかも)。
酒屋さんでしか見つけられない銘柄ですが、余市モルトが好きな人や昔ながらのウイスキーらしさを求めるご年配の方にはおすすめできるでしょう。価格も上記モルトウイスキーよりもお得になっています。
かつては黒瓶がありましたが現在は販売終了し、透明な白瓶のみとなっています。ただし北海道限定の白いラベルのものも存在します。
<個人的評価>
・香り C:ほどよいスモーキーなピート香の中にバニラのような甘い香りが漂う。後には磯の香りがほんのりする。
・味わい B:アルコールによるスパイシーな味の後にクリーミーな味わい。ガツンとくる重いボディ。
・総合評価 B:本格的なウイスキーとして十分楽しめる。初心者向きではないが、スコッチ派でも不満がこない重厚なウイスキー。
<キリン>
ロバートブラウン
(700mL 43度 1800円)
キリンがシーグラム社と合弁会社を起こして作り上げた第1号のウイスキーです。
発売された1970年代は、まだアルコールを混合させた1級、2級ウイスキーが主体で、ウイスキー原酒のみの特級ウイスキーは高嶺の花でした。
それを企業努力で3000円台まで抑えて生み出したのがロバートブラウンでした。
現在はブレンドを変えて御殿場蒸留所のモルトを主体にしています。
先にキリンならではのバーボンのようなエステリーな香りが来ますが、富士山麓に比べてとても控えめです。その後、青リンゴ、ナッツの香りがやってきます。
味わいはアルコールの刺激、辛みが強めで、後から酸味が来ます。スモーキーな感じはほとんどなく、 甘さもほとんど感じられません。
全体的にはバーボンを彷彿とさせます。
ただ、より価格の安い富士山麓と比べると、価格ほどの熟成感に乏しく、コスパの点でも低く感じられます。
十分に御殿場の原酒があるのでしたら、全く違う樽やモルト原酒を使うか、スコッチのモルトをブレンドに使うなどの工夫をしてほしいと感じます。
実はこの価格帯にはエンブレムというウイスキーもあり、異なる香り、味わいを持っていたのですが、残念ながら販売終了してしまいました。そのために、なおさらロバートブラウンには残念感が強くなります。
<個人的評価>
・香り C: 御殿場モルト、グレーンならではの香りが強く、スコッチモルト側の声が聞こえない。
・味わい D:アルコールの刺激が強く未熟な印象。酸味があるが深くはない。
・総評 D:ハイニッカには出回らない疑問がわいたが、ロバートブラウンにはわかない。なぜこれを残してエンブレムを捨てた!?
(700mL 43度 1800円)
発売された1970年代は、まだアルコールを混合させた1級、2級ウイスキーが主体で、ウイスキー原酒のみの特級ウイスキーは高嶺の花でした。
それを企業努力で3000円台まで抑えて生み出したのがロバートブラウンでした。
現在はブレンドを変えて御殿場蒸留所のモルトを主体にしています。
先にキリンならではのバーボンのようなエステリーな香りが来ますが、富士山麓に比べてとても控えめです。その後、青リンゴ、ナッツの香りがやってきます。
味わいはアルコールの刺激、辛みが強めで、後から酸味が来ます。スモーキーな感じはほとんどなく、 甘さもほとんど感じられません。
全体的にはバーボンを彷彿とさせます。
ただ、より価格の安い富士山麓と比べると、価格ほどの熟成感に乏しく、コスパの点でも低く感じられます。
十分に御殿場の原酒があるのでしたら、全く違う樽やモルト原酒を使うか、スコッチのモルトをブレンドに使うなどの工夫をしてほしいと感じます。
実はこの価格帯にはエンブレムというウイスキーもあり、異なる香り、味わいを持っていたのですが、残念ながら販売終了してしまいました。そのために、なおさらロバートブラウンには残念感が強くなります。
<個人的評価>
・香り C: 御殿場モルト、グレーンならではの香りが強く、スコッチモルト側の声が聞こえない。
・味わい D:アルコールの刺激が強く未熟な印象。酸味があるが深くはない。
・総評 D:ハイニッカには出回らない疑問がわいたが、ロバートブラウンにはわかない。なぜこれを残してエンブレムを捨てた!?
<まとめ>
全部で9銘柄を紹介しましたが、ほとんどがニッカでした。
サントリーは1000円台前半に商品を集中させていたのとは対照的です。
さらにニッカはノンエイジながらもモルトウイスキーを多くそろえていて、より多くの人たちに本格的なウイスキーの味の違いを楽しんでほしいという意欲を感じます。かといってG&Gも抜かりはなく、昔ながらのウイスキーらしさがあるものに仕上がっています。
一方でサントリーは、団塊の世代にとってのあこがれであり、長らく看板を務めているオールドを据えています。
かといって乏しいというわけではなく、初心者でもウイスキー飲みでも不満の少ない香りと味になっています。
お店によっては1000円台前半で買えますが、オールドに備わった格のことを考えてこの価格帯で紹介しました。
対照的にプレミアム角瓶はライトで上品に仕上げていて、若い人に受けるブレンドになっています。ただ、ニッカにはブラックニッカ リッチブレンドがあり、ほぼ同等の仕上がりになっていることを考えると、立場が不利に思えます。
キリンはロバートブラウンがブレンデッドの最上位で、この上になると1万円を超える富士山麓シングルモルト18年を残すのみとなります。
1000円台全体とみると、実に19品という豊富なラインナップとなりますが、格の違いやブレンデッド、モルトと幅広いため、2つに分けて紹介することにしました。
いずれにしても国産ウイスキーの激戦区であることは間違いなく、そこに幅広い味の広がりがあります。
2000円を超えると、国産であっても高級感、本格感が一気に増してきます。
<個人的順位>
1位:シングルモルト余市 ノンエイジ
2位:ニッカ ピュアモルトホワイト
3位:G&G
4位:サントリーオールド
5位:ニッカ ピュアモルトレッド
全部で9銘柄を紹介しましたが、ほとんどがニッカでした。
サントリーは1000円台前半に商品を集中させていたのとは対照的です。
さらにニッカはノンエイジながらもモルトウイスキーを多くそろえていて、より多くの人たちに本格的なウイスキーの味の違いを楽しんでほしいという意欲を感じます。かといってG&Gも抜かりはなく、昔ながらのウイスキーらしさがあるものに仕上がっています。
一方でサントリーは、団塊の世代にとってのあこがれであり、長らく看板を務めているオールドを据えています。
かといって乏しいというわけではなく、初心者でもウイスキー飲みでも不満の少ない香りと味になっています。
お店によっては1000円台前半で買えますが、オールドに備わった格のことを考えてこの価格帯で紹介しました。
対照的にプレミアム角瓶はライトで上品に仕上げていて、若い人に受けるブレンドになっています。ただ、ニッカにはブラックニッカ リッチブレンドがあり、ほぼ同等の仕上がりになっていることを考えると、立場が不利に思えます。
キリンはロバートブラウンがブレンデッドの最上位で、この上になると1万円を超える富士山麓シングルモルト18年を残すのみとなります。
1000円台全体とみると、実に19品という豊富なラインナップとなりますが、格の違いやブレンデッド、モルトと幅広いため、2つに分けて紹介することにしました。
いずれにしても国産ウイスキーの激戦区であることは間違いなく、そこに幅広い味の広がりがあります。
2000円を超えると、国産であっても高級感、本格感が一気に増してきます。
<個人的順位>
1位:シングルモルト余市 ノンエイジ
2位:ニッカ ピュアモルトホワイト
3位:G&G
4位:サントリーオールド
5位:ニッカ ピュアモルトレッド