としまえん跡に「ハリポタ」、西武が描く将来図
世界で2番目の「スタジオツアー」2023年開業
長年、若者や家族連れに親しまれてきた東京都練馬区の遊園地「としまえん」が8月末で閉園となる。しかし、その敷地の一部に2023年の前半、「ハリー・ポッター」の体験型施設がオープンすることが決定した。8月18日、としまえんを運営する西武鉄道など関係者の間でハリポタ施設の開発に関する契約が締結された。
日本でハリポタのテーマパークといえば、迫力のライドアトラクションで人気を集めるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」がよく知られているが、世界を見渡すと、ロンドンにはハリポタシリーズを製作したアメリカの大手映画会社ワーナー・ブラザースが撮影時に使用したセットを一般公開した「ワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー・ロンドン−ザ・メイキング・オブ・ハリー・ポッター」というスタジオツアーがある。
今回、としまえん跡地にオープンするのは、その東京版だ。
としまえん跡地の「にぎわい」を担う
としまえん跡地を中心とした区域は、1957年に決定した都市計画に沿って「練馬城址公園」として整備される計画だ。
その後、東日本大震災が起きた2011年に計画が改定され、この公園は災害発生時の避難場所としての機能を持つことになった。また、防災目的だけでなく、緑地整備による自然との共生やスポーツ・文化活動などの多様なリクリエーションの場として活用するといったことも目標として定められた。
スタジオツアーの施設もこの公園整備のプロセスに合わせて建設される。整備方針の計画期間は10年間。その意味でタイムリミット直前にようやく方向性が決まったといえる。
練馬といえば、日本のアニメ制作が本格的に始まった「アニメ発祥の地」である。その意味では、公園内にアニメ関連施設を設けるという可能性もあった。しかし、その後、ワーナー・ブラザースがロンドンのスタジオツアーを日本でも展開したいと考え、相談を受けた伊藤忠商事はとしまえん跡地が適地だと判断、さっそく土地を所有する西武と検討に入った。