Erika Lust
最近ではネットフリックスの『全裸監督』が話題になるなど、注目を浴びる“アダルトビデオ”というテーマ。日本では「男性のために創られ、男性が観るモノ」という認識がまだまだ一般的かもしれない。しかし、スペインで活躍するエリカ・ラスト監督の作品は違う。彼女の創り出す作品は、「男女問わず楽しむことができるアダルトビデオ」なのだ。観る人はもちろん、出演者までも魅了する、監督エリカ・ラストのアダルトビデオとはどんなものなのか? エリカさんに伺った。
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自分が観たいと思えるような作品が創りたい
「もともとは映画業界に興味があったのですが、大学で政治学とジェンダーを学んでいたとき、“ポルノ”に対して強い関心を抱くようになりました。主流のポルノはどれもセックスの真実を反映するものではなく、男性視点で創られているものばかり。女性の快楽を表現するものや、女性が制作するポルノ動画はほとんど存在しませんでした。だから、学校で短編映画を作成する課題を与えられたときに、女性のセクシュアリティに関する作品を作りたい と考えた。そのためには“自分が観たいと思える作品”を創ることが一番だと気が付いたんです」
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「私のセックスに対する価値観と女性の快楽の重要性について表現し、既存のポルノやジャンルとは完全に異なる映画を創りたかった。最初に創った映画のタイトルは、『The Good Girl(グッド・ガール)』 。ピザの配達人が登場するユーモラスな短編映画を作成してオンラインで無料配信してみたところ、数日でかなりのダウンロード数を記録しました。そのときに気付いたんです。従来のポルノなんかより、オルタナティブ・ポルノ(性的感動を生むポルノ)を欲しているのは私だけではない 、と。世界中の人たちが、私の映画を好きだと言ってくれた。次の映画はいつ公開されるのかとメールも殺到しました。これがポルノ映画監督、エリカ・ラストの誕生の秘話よ!」
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故郷のスウェーデンではなく、スペインで活動する理由
「23歳で故郷のスウェーデンからバルセロナに移りました。移ってすぐにこの街は私のヴィジョンを受け入れてくれると感じました。スウェーデンにいた頃から、私のセックスに対する考えや価値観は既に具体化し始めていたけれど、実際に『Erika Lust Films(エリカ・ラスト フィルム)』 を創設し、ポルノ製作者として活動を開始したのはバルセロナでのこと。初めてバルセロナに移り住んだときに、私は自由や開放感を感じたんです」
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「私がやりたいことや、なりたいものに何だって挑戦できると思えた。誰かの目を気にする必要もなかったし、自国の高い基準に縛られることもなかったから。バルセロナが、ポルノ映画を制作するために、”創造の自由”を私に与えてくれた んです」
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「私には、異なるジェンダーやセクシュアリティを持つ友人がたくさんいます。彼らは、他人の性に偏見を持つことなく、セックスに肯定的 。セクシュアリティとは、受け入れて、祝福すべきもの。 だからこそ彼らは、クリエイティブで刺激的で、とてもセクシー。
今の私の生活は全てバルセロナにあります。パートナーも、2人の美しい娘たちも、仕事も家も全部バロセロナにある。私はこの先もずっとスウェーデン人だけど、私のホームはバルセロナですね」
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重要視していることは”女性の快楽を表現する”ということ
「女性にだって、性欲や欲望はある。それを視聴者に観せていきたい。男性を満足させることに奉仕し、受け身になるばかりではないということを、です。
たとえば『XConfessions(エックス・コンフェッションズ)』 は、女性をリスペクトしたアダルト映画。個人の体験や幻想などを映像化するシリーズを展開しています。人間味のある本物のセックス、女性の快楽やセクシュアリティを視覚的に表現した映画で、従来のポルノではほぼ見られません。この映画がイヤらしいとか、ロマンチックだとか、そんなことが重要ではない んです。女性が意見を言えて、自分の欲望を追求することが大切。それが女性の自信にもつながると思います 」
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「エリカの作品に出たい」と自ら志願する役者たち
「数ヶ月前から制作を始め、セクシュアルワークの複雑さに理解ある堅実な仲間を持つことが、良好な職場環境を作っていると思います。撮影前から配役を頭に入れたうえで、映画のコンセプトや台本、調子、心情、セックスシーンのアイディアなどについて話しています。役者たちには、彼らの性的な嗜好や制限に加え、普段はどんなセックスを楽しむのか、相手の配役は誰がいいかなど、事細かに確認し、一つ一つのセックスシーンにおいて、あらかじめ合意を得ています 」
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「役者たちが安心してセクシュアリティを追求できる撮影環境を提供できるのは、私と私のチーム次第 。 撮影当日には、再度よく打ち合わせをして、本人たちの”超えられない境界線”を再確認します。役者たちが、強制的にやらされていると感じてしまうようなシーンが一つもないことが重要だからです」
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「すべてのシーンにおいて、役者たちが心地よく合意し、心の準備が整えば、カメラを回す。彼らがセックスを始めたら、撮影を止めたり、中断させたりすることはしません。 撮影中、 彼らのプライベートな空間には撮影スタッフと音響技術者しか入りません。私を含め、ほかのスタッフは、撮影現場から離れたモニターの前にいます。役者たちが不快に感じたり、何か必要なものがあったりするときだけは撮影を中断しますが、基本的には彼らにとっての自然なセックスを、自由に演じてもらいます 。これが、親密で愛情深いセックスを創造するうえでベストな方法 だと思うんです。役者にとってだけでなく、視聴者にとってもです。セックスシーンの撮影が終わったら、役者たちがリラックスできるように1人になれるプライベートな空間を必ず与えるようにしています」
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エリカ監督の手掛けるポルノ映画はなぜ愛されるのか
「ほかの監督が手掛ける映画と私の映画を比較することはできないけれど、多くの女性から『自分が表現されているように感じた』『元気づけられた』というコメントが寄せられています 。私の映画を好む理由は、“自分自身がスクリーン上に映し出されたように感じられる” 、“欲望に身を任せ、快楽をありのままに感じている女性を見ることができる” からだと思いますね」
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「『XConfessions』シリーズも、視聴者に共感を持ってもらえていると思います。このシリーズは、匿名で募られた視聴者のリアルな体験を題材に作られているんです。 第三の壁を壊し、視聴者が観たい作品の意見を伺えることはとてもいいこと。大衆の想像力は、尽きることがない から。私自身が想像もできなかったような性的ファンタジーに出会うことだってできる。内心ではみんな、性について曝け出したい一面があると思うから、匿名でセックスの秘密を告白できるシステムは、彼らにとっても嬉しいことのはず。これが、『XConfessions』の反響がいい理由だと思いますね」
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