バルセロナという街と
サロン・デル・マンガ
バルセロナのサロン・デル・マンガは、毎年10月末から11月初めの木金土日の4日間、開催されます。2013年の開催は10月31日から11月4日まで。入場料は基本が1日7ユーロ。4日間通しで20ユーロ。コスプレしている人は無料、という日も。
バルセロナで、日本マンガを中心としたフェスティバル「サロン・デル・マンガ」(Salon del Manga)が初めて開催されたのは、1995年。今年で19回目。
それだけ聞くと、イタリアのルッカ(1966~)やフランスのアングレーム(1974~)に比べてヨーロッパでも比較的新しいマンガイベントであるように思えますが、じつはスペインでは日本マンガでなく欧米のコミックを中心とした国際コミックフェスティバル(サロン・デル・コミック)はそれより以前、1981年から行われており、そちらは今年で31回目。
つまり、バルセロナでは、昔からある欧米のコミック中心の「サロン・デル・コミック」が春(4月)に、比較的新しい、日本マンガ中心の「サロン・デル・マンガ」が秋(10月末~11月初め)に行われているわけで、スペインの中でもバルセロナがいかにマンガ好きな街かがわかろうというもの。
実際、バルセロナは昔から印刷や製紙業、出版が盛んな街で、主な出版社も、首都マドリードではなく、ここバルセロナに集中しています。また、フランスでも、アングレームは1974年からでも、日本マンガ・アニメ中心の「ジャパン・エキスポ」が始まったのは2000年からであることを考えると、日本マンガ中心の「サロン・デル・マンガ」が95年から始まるなんて、スペインの日本マンガへの注目は早かったんですね!
それもそのはず、じつは『ドラゴンボール』をヨーロッパで最初に翻訳出版したのが、ここスペイン・バルセロナの出版社、プラネタ・デ・アゴスティーニ社だったんです。当時のジャンプ編集部に毎日毎日スペイン語のファックスが入り、困った編集部が翻訳版権のエージェントに持っていったら「ぜひぜひ『ドラゴンボール』を翻訳出版したい!!」というスペインからの熱心な申込みだった、というエピソードが残っているくらい。
それが1992年のことで、翌93年には、鳥山明先生こそいらっしゃらなかったものの、春に行われる「サロン・デル・コミック」に、谷口ジロー、池上遼一、田中政志、寺沢武一、丸尾末広……という日本のマンガ家たちが結集し、会場は大歓声に包まれたとか(『オタクの侵略』Glenat社)。これが、95年から、春の「サロン・デル・コミック」と並んで秋の「サロン・デル・マンガ」が開催されるようになる先駆けになったわけです。
「サロン・デル・マンガ」はその後順調に参加者を伸ばし、以前はいくつかの会場に分かれていたものが、2012年からは、スペイン広場の大規模展示会場Fira
Barclcelonaに会場を一本化し、それを機に、それまで7万人ほどだった参加者が、4日間で11万人を超えるまでになりました。
「サロン・デル・マンガ」では、トークショーやコスプレ大会などのイベントも行われていますし、各種の展示もありますが、アーティストアレーはほとんどなく、同人誌は日本マンガのエロチックな二次創作を出している作家さんのみでした。中心となるのは、マンガ・アニメ・ゲーム関係の書籍やDVD、キャラクターグッズの即売会という側面で、お店によっては、街中の店は休業してサロンに出店する、というところもあるほど。サロンでの4日間の売り上げが通常売上の1ヶ月分に相当すると聞けば、さもありなん。
というわけで、やってきました「スペイン広場」。後ろには闘牛場、前には名高いカタルーニャ美術館という立地の会場。開催1日目のこの日はまだ平日だったので待機列もそれほどでもなかったのですが、休日にあたる2日目以降は、ものすごい人・人・人……!
すごい熱気でした。それも20代の若い人が多い。この2日目の混みようを見て、出版社が口をそろえて、取材するなら1日目にしてくれ、と言ったわけだ、と納得。
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