成績評価はソフトバンクのサービスや商材をどれだけ売ったかの積み上げで決まる。が、大きな比重を占めるのは通信契約の獲得やスマホ端末の販売だ。ソフトバンクはこれを「ボリューム評価」と称している。
ただし、この評価点は単なる量だけでは決まらない。むしろ、ソフトバンクが売りたいものを売っているかが極めて重要となる。
ショップで最も多い販売形態は、通信契約のタイミングでスマホ端末を購入してもらうものだ。
ボリューム評価ではまず、この販売端末の種類によって得点をつける。ソフトバンクが売りたい端末ほど高得点となる。例えばスマホでもグーグル「Pixel」なら7点だが、「iPhone」は消費者に人気なのにわずか2点だ。ここに、通話に必要な音声の「基本プラン」でつく8点を加えたものが基準点となる。
この基準点に、ソフトバンクが重視する通信契約の評価が係数として掛けられ、店舗が得られる点数が確定する仕組みだ。

この係数は、通信契約が「新規」なのか「継続」(いわゆる機種変更)なのかや、他社からの乗り換え(MNP)なのか、月間のデータ容量が50ギガバイトの大容量プランなのか、データ容量が少なく月額料金も安い小容量プランなのかによって大きく変わる。
小容量プランの場合は、係数0.5が掛けられる。つまり大容量プランに加入させることができなければ、端末販売と音声の基本プランで獲得した基準点が半減することになる。他方でMNPの評価は非常に高く、係数は4.0だ。
顧客ニーズは二の次
このボリューム評価に、顧客のニーズに沿った販売なのかはまったく関係がない。むしろニーズを無視してでもソフトバンクが売りたいサービスや商材を売ったほうが高得点となるのだ。
例えばiPhoneの購入を希望し、かつ月間のデータ通信量がさほど多くない顧客が来店した場合。iPhoneを売って小容量プランの契約を取ると獲得できる点数は5点だ。だが、もし端末を先述のPixelに誘導し、かつ大容量プランに加入させれば、点数は3倍の15点になる。
この得点の積み重ねが店舗ランクを左右するため、IFCは「代理店が顧客の希望に沿った販売をしていては獲得ポイントが低下しかねない。顧客の利用形態に合ったプランの提案を行うことを困難にする評価制度だ」として、評価の中身に妥当性がないとしている。