部下や従業員のモチベーションを高めたい場合、皆さんはどのような手段を使うでしょうか?
給与や報酬を増やしたり、ひたすら褒める手段などが真っ先に思い浮かぶと思います。
どの方法も間違ってはいませんが、長期的にモチベーションを高く維持したいのであれば、モチベーションが上がるように仕事を工夫することがおすすめです。
今回の記事では、仕事内容面からモチベーションを考えた理論「職務特性モデル」についてわかりやすくご説明します。
従業員や部下のモチベーション向上を果たしたい経営者や管理職の方は必見です!
職務特性モデルとは
職務特性モデルとは、仕事の内容がモチベーションを左右するとした理論です。
職務特性モデルは、ハックマンとオルダムという二人の学者によって提唱されました。
仕事内容によってモチベーションが変わるとしている点で、金銭や評価によって動機付けされるとする他の外発的動機付け理論とは一線を画しています。
モチベーションをもたらす5つの特性
職務特性モデルでは、「技能多様性」、「タスク完結性」、「タスク重要性」、「自律性」、「フィードバック」という5つの特性が存在する仕事であれば、モチベーションが高まるとしています。
この章では、モチベーションの向上をもたらす5つの特性についてくわしく説明します。
技能多様性
技能多様性とは、仕事を行う上で必要となるスキルの多さです。
業務を遂行する上でさまざまなスキルが必要な場合に、モチベーションは向上します。
例えば同じ部品を組み立てるだけの仕事よりも、新規事業のように営業や会計など、多様なスキルが求められる仕事の方が、モチベーションが高まるということです。
タスク完結性
タスク完結性とはとは、ある仕事全体において、一人が関与する度合いです。
自分自身が行う仕事が、社内(部署内)全体の仕事により多く関与しているほど、モチベーションが向上します。
例えば利益の創出にほとんど関わらない雑務よりも、利益に直結するマーケティングや営業の方がモチベーションが向上すると職務特性モデルでは考えます。
タスク重要性
タスク重要性とは、自身の仕事が第三者に与える影響の度合いです。
職務特性モデルでは、ある仕事が社内外の人に多くの影響を与えるほど、モチベーションが高まると考えます。
例えば上司の雑務をこなすだけよりも、社会を変えるような新規事業の方が、モチベーションが高まるということです。
自律性
自律性とは、仕事に対する自由度です。
職務特性モデルでは、自分なりに創意工夫して行える仕事であるほど、モチベーションが高まると考えます。
例えば上司の言いなりにこなす仕事よりも、計画段階から全て自分で行える仕事の方がやる気はアップします。
フィードバック
フィードバックとは、仕事から得られる手ごたえや成果の度合いを意味します。
自分自身が行なった仕事の成果が自身に返ってくるほど、モチベーションがアップすると職務特性モデルでは考えます。
例えば自分がタスクを行なった結果、商品の購入数や問い合わせ数、売上高が増加したことを知ることができれば、モチベーションは高まります。
モチベーションの度合い(MPS)を測る計算式
ハックマンとオルタムは、職務特性モデルを用いてモチベーションの度合いを以下の計算式で表しました。
- MPS(Motivating Potential Score)
= {(技能多様性 + タスク完結性 + タスク重要性) ÷3} ×自律性 × フィードバック
例えば下記のように5つの特性を数値化できる場合、MPSは以下のように計算できます。
- 技能多様性:10
- タスク完結性:7
- タスク重要性:4
- 自律性:6
- フィードバック:3
MPS = {(10 + 7 + 4) ÷3} × 6 × 3 = 126
上記はあくまで、理論的なものに過ぎません。
確固たる基準がないため、5つの特性を数値化するのは難しいでしょう。
ですがモチベーションの度合いが掛け算で決まるという点については、職務特性モデルを理解する上で重要なポイントです。
たとえば一つの特性が0の場合、モチベーションの度合い(MPS)は0となってしまいます。
つまり何か一つの特性が突出して高い仕事よりも、全ての特性がバランスよく備わっている仕事の方が、モチベーションが高まることを意味しています。
従業員のモチベーションを高めたいのであれば、5つの特性を満遍なく高めるように仕事を振ると良いでしょう。
こんにちは、経営者JPの井上です。新年度も3カ月が過ぎ、GWもいまや昔という感じではないでしょうか。改元ブームも一段落、…
職務特性モデルのまとめ
従業員のモチベーション向上は、企業の業績をアップさせる上で最優先に解決すべき課題です。
金銭的な部分でモチベーションを高めるのは短期的には有効であるものの、長期的に維持するのは難しい上に、その給与水準に慣れてしまうとモチベーション向上の効果が薄まります。
長期的にモチベーションを高い水準で保ちたいのであれば、職務特性モデルの5つの特性を満たすような仕事を従業員に課すのがベストです。
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