コロナ倒産増加 支援の再点検が急務だ
2020年10月9日 08時02分
コロナ禍による企業倒産が再び増加している。多くの中小零細企業が収益が回復しないまま経営破綻に至っている。国や自治体による支援が息切れしている可能性が高く、対策の再点検が急務だ。
東京商工リサーチが七日に発表した調査では、二月以降のコロナ禍関連の企業倒産が六百件に達した。この結果で不安なのは、七、八月と減少傾向にあった倒産が九月に再び増え始めている点だ。十月も七日時点で三十三件に達しペースは勢いを増している。
倒産まで至らなくても、解雇や雇い止めなど厳しい経営判断に踏み切らざるを得ない企業も激増しているはずだ。中小零細を中心に多くの企業経営は依然、危機的状況にあると分析できるだろう。
政府や自治体は、持続化給付金のほか各地の信用保証協会を通じた貸し付け、日本政策金融公庫など政府系金融機関による低利融資といった支援策で、店舗を含む各事業者の資金繰りを支えている。だが調査は、こうした金融支援の効果が薄れている実態を映し出している。
中小零細の場合、公的支援の申請や各種の支援情報の入手に手間取り、経営状態を一層悪化させるケースも多い。国の出先機関や各自治体には、よりきめ細かい申請作業への助言や情報の周知徹底を求めたい。
業種別の倒産件数では、飲食業や宿泊業などが上位を占める。冬に向け感染拡大の懸念も高まる中、こうした業態はコロナ禍の影響を最も受けやすい。国は「Go To事業」での支援を進めているが、課題も浮き彫りになっている。冬が来る前に制度の問題点を洗い出し修正すべきだ。
内閣府が同日発表した景気動向調査は、景気の基調判断を「下げ止まり」とした。しかし、これはコロナ禍の影響が比較的軽微だった中国などへの輸出が持ち直したことが主因だ。小売業の販売額などは依然低調で、消費意欲は鈍い。消費者に景気の「下げ止まり」感はないだろう。
国は今後、来年度予算の編成作業を本格化させる。予算を査定する財務省は、コロナ対策の要求については上限を設けない姿勢だ。
その方針に異論はない。ただ各省庁は主要課題を巧みに利用しながら実際は関連の薄い予算の獲得を目指す傾向がある。
無駄を極限まで省いた実効性の高いコロナ対策予算の編成を強く望みたい。
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