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米当局、2カ月のコロナワクチン安全データ要請 承認ずれ込みも

[6日 ロイター] - 米食品医薬局(FDA)は6日、新型コロナウイルスのワクチン開発企業に対し、緊急使用認可に向けて少なくとも2カ月分の安全性データを求める方針を示した。これにより、米国でコロナワクチンが利用可能になるのは11月3日の大統領選以降になる可能性が高まった。

米食品医薬局(FDA)は新型コロナウイルスのワクチン開発企業に対し、緊急使の承認に向けて臨床試験(治験)対象者の半数から少なくとも2カ月にわたる安全データを求めている。独テュービンゲンの製薬会社で6月撮影(2020年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)

トランプ政権の高官は、ホワイトハウスはFDAの方針を承認したと確認。しかし、トランプ氏はツイッターに「新たなFDAのルールは、大統領選投票日前の承認に向けたワクチン開発加速をさらに難しくした。つまり新たな政治的打撃ということだ!」と投稿して不快感を示した。

FDAの示した指針は、緊急使用認可の申請基準の厳格化を意味する。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5日、新型コロナワクチンの緊急承認の基準を厳格化したFDAの新たなガイドラインにホワイトハウスの高官らが反対していると報じた。[nL4N2GX092]

しかし、前出の政権高官は、指針を阻止する動きはなかったと述べた。

FDAのワクチン承認を担当する部門のトップ、ピーター・マークス氏は文書で「コロナ感染症ワクチンの緊急使用認可を出す条件をオープンで明確にすることが適切であるほか、国民の信頼構築や利用可能になった際のワクチンの使用を図る上で非常に重要」と説明した。

ホワイトハウスが、追加の安全性データなしでワクチン承認を押し進めることはなお可能。ただ、それによりFDA側との意見相違が表面化し、ワクチンの早期開発に政治が絡んでいるとの見方が強まる。

FDAが自らの指針に従い行動すれば、11月下旬前にワクチンが承認される可能性は低い。FDAは治験の被験者の半数について2カ月分のデータを求めている。

コロナワクチン候補の中では、米製薬大手ファイザーPFE.Nとドイツのバイオ医薬品ビオンテック22UAy.Fが共同開発中のワクチンの米国での後期治験の結果が最も早く公表されると見込まれている。第3相臨床試験に参加している4万4000人のボランティア被験者のうち、約半数が9月下旬までに最後となる2回目の投与を受けた。

ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)はこの日のツイッターへの投稿で、同社がFDAの基準についてホワイトハウスと協議していないとし、協議すればFDAの独立性が損なわれると述べた。

「(FDAの)職員は高潔さと科学的専門性の高さで知られており、コロナのワクチンまたは治療薬の適切な承認基準の設定についてわれわれは全幅の信頼を置いている」とした。

*政権高官のコメントなどを追加しました。

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