講座:強~い女たち・フチタン(3)処女喪失
おっぴろげ...アラまちがえた、開けっぴろげなフチタン社会。
ですが意外なことに、淑女の処女性が重んじられています。
例の本では調査が1990年ごろなので、今は事情が変わっているかもしれませんが...。
女の子は年頃になると恋人を作ります。
でも初恋は家族に隠したがります。家族、特に母親が、心配するからです。
娘にはまだ生きていくための技能も、自力で貯めた財産もないのに、未熟で無責任な若者と結婚して、困った事態になりやしないかと。
確かに若すぎる恋愛は危険です。フチタンのしっかりものの女の子は、母親に言われずとも、わかっているでしょう。それでも彼女がリスクを背負い、一線を超えることを望む場合は...
「駆け落ち」によってセクースをおこないます。
それは半ば公認された行為。結婚を前提としています。
合法的駆け落ち婚の習慣は、昔のバリ島などにもありました。
フチタンでは、男の子の側の母親が、息子の駆け落ちをひそかに認めていたりします。
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若いふたりはこっそりと家を出、前もって用意された部屋でまぐはひます。
喪失の儀式はとても痛そう。男の子が処女膜を指で破るのだそうです。そして血をシーツに染み込ませます。
コトが済むと、クラッカーを鳴らして「一件落着」を知らせます。
そして血のついたシーツを、両家と隣人と女の子の友人たちに見せます。
新婚初夜にシーツをさらす風習は、英国の田舎、ロマ人(ジプシー)の社会、モロッコ、エチオピアなどにもありました。
それらの国々では、血染めのシーツは花嫁の純潔を示す証拠でした。紳士側のシュミでしょうか?
フチタンにおけるこの“初体験の公表”も、宗主国スペインあたりから輸入されたものかもしれません。
が、フチタンの場合、女の子の純真さを重んじてというのではなさそうです。もっとポジティブで、公的なものです。
処女喪失は、一人前の女になったことを知らしめるできごとなのです。
彼女は大人としてフチタン共同体に参加し、仕事や義務をこなしながら生きてゆかねばならないのです。
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さて、女の子の親は、娘の駆け落ちを知らされて、少しは動転するかもしれません。
が、さっそく駆け落ち成立の儀式(お祭り)に入ります。
それはなかなかにぎやかなパーティなのですけれども、まだ正式な結婚式ではありません。
それが済むと、交渉が始まります。女の子の母親の出番です。
男の子の側に対して、賠償金を請求するのです。
女の子の母親は、娘ができるだけ有利になるようにねばります。
駆け引きの末、賠償額が決まります。
また本当の結婚式の日取りも決められます。
もしも男の子が結婚を回避したり、女の子の親がどうしても相手を気に入らなかった場合には、男の子側は女の子側に、高額の賠償金を支払わねばなりません。
女の子は体が資本だから、その価値を尊ぶ。
男の子は女の子の将来に関して責任を持つ。
そういう考え方なのです。
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既婚で、妻と同居していない紳士が、女の子と駆け落ちした場合は?
駆け落ち成立の儀式はありますが、紳士側がやはり高額の賠償金を支払います。
駆け落ちも結婚もないままに、淑女が妊娠した場合は?
本には「一時世間から軽視されるかもしれないが、思慮深く賢明に人生を受け止め、勤労意欲と分別のあるところを見せればもう大丈夫」云々とありました。
しかし個々のケースでは未婚の母の例がいくつか登場するのです。未婚の母はちっとも珍しくないのかもしれません。
***画像***
出産する女神トラソルテオトル。
(『Kahlo』)
アステカの土偶ですので、サポテカ系のフチタンとは何の関係もありません。スイマセン。中南米系の画像が少ないんです。
余談ですが、トラソルテオトルは愛や豪奢の女神。太古には偉大な地母神だったのでしょう。後代には“不浄”の女神でもあり、至高神と罪穢れた人間との仲介役でした。アステカには戦士のための儀式がありました。淑女たちが集められ、トラソルテオトルに帰依し、娼婦にさせられて、戦士とまぐはひ、その後で殺されたのです。フチタンの女とはずいぶん違う人生ですね。それはそれで神様の役にたつのだから幸せだったのでしょうけど。
Posted by maririanna at 23:36│
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(^_^)/ 久しぶりの記事が3連続で‥ 一気に‥(^^;;;
生き方、性、死‥
深く深く、結びついていますよネ‥
世界は広いナ~ってつくづく思わされます。
本当に“七つの海”ですネ‥
毎回、深い思いにさせられます。
m(_ _)m
一気にドカッと載せてごめんなさい(^^;;)
書いたのは2、3日がかりなんですけどね。
七つの海。私が大航海時代に生まれていたら船乗りになっていたかも。多様性を見つけることは私の喜びです。さまざまな形態こそ生命の本質だと思います。