東大劣化の象徴…総長選「消された音声データ」の中身が示す「ヤバい実態」

一体、何を封印したかったのか
伊藤 博敏 プロフィール

「私のところに告発文が来ました」

私も反訳を入手した。

消去したくなるのは、例えば次のようなくだりだろう。

<要は、私のところに告発文が来ました。非常に短いものです>

小宮山議長がこう切り出したのは、「宮園問題」で堂々巡りが続き、選考委員の多くがモヤモヤとしたものを抱え、ある委員が<具体的に開示していただきたい>と、小宮山氏に迫った時だった。

<前半は、コロナ対応ができない、こういろんなことが書いてあるけどたいしたことはない。その次の段に、処分された教授とのリトラクト(撤回)された多数の共著があると書いてあって、事務が調べると、ひとつだけ共著があるんですね>

宮園とは、第一次総長候補者であった宮園浩平副学長のこと。小宮山氏は、<(医学系研究科長であった宮園氏が、この共著問題をきっかけに)これまでの不祥事に対する非常に甘い体制の帰結だ、といった話をされるリスクは小さくない、と私は思って心配している>と、続けた。

 

しかも小宮山氏は、文書が匿名であることを明かしている。<有志一同、匿名の封筒で来てる>といい、つまり怪文書で特定候補を攻撃。その姿勢は、選考委員に伝わるわけで、次のような発言もあった。

<小宮山先生の発言って重いので、やっぱり議長ですから、そのご意向を聞いてしまうと、その後が難しいんですよ>