東大劣化の象徴…総長選「消された音声データ」の中身が示す「ヤバい実態」

一体、何を封印したかったのか
伊藤 博敏 プロフィール

音声データ消去の問題点

NHKによれば、文書管理規則では総長選考に関わる電子データを含む文書は、1年から30年間にわたって保管が義務付けられているとのこと。

また、行政文書に準ずる扱いを受ける国立大学作成文書の意思決定に至る過程を残さなかったのは、「社会的に信頼されるレベルに達していない」という専門家の指摘も報じていた。

 

音声データ消去の問題点は、「手続き上のミス」では済まされない。

「議長の強い誘導による選考」、「何度も繰り返された投票」、「女性や文化系など多様性のある候補者の排除」、「怪文書を利用した特定候補の排除」など、東大の各層から寄せられた疑問や不満を、証拠隠滅によって封印するものだった。

しかし、音声データのコピーも保存も容易に行える時代に、「消去しました」で逃げ切れるものではない。現に、反訳(テープ起こし)は複数、出回り、大学関係者の手元にある。

9月7日の選考会議以降、批判が相次ぎ、質問状や要望書が相次いだのは、議事進行の実態が情報共有されていたからだ。