Tech TIPS:Windowsの「robocopy」コマンドでフォルダをバックアップ/同期させる

Windowsでファイルをバックアップするには、2つのフォルダの内容を同期させるrobocopyコマンドが利用できる。robocopyではフォルダの同期機能をはじめ、さまざまなオプションを指定してのコピーができる。2つのフォルダの内容を完全に同期させるには/mirオプションを利用する。

» 2017年11月29日 05時00分 公開
[打越浩幸, 島田広道デジタルアドバンテージ]

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対象OS:Windows 7/Windows 8/Windows 8.1/Windows 10/Windows Server 2008 R2/Windows Server 2012/Windows Server 2012 R2/Windows Server 2016

robocopyコマンドとは

 2つのフォルダの内容を同期させ、ファイルやフォルダの内容を同じ状態に保つ機能は、ファイルサーバのバックアップや個人的なデータのバックアップ、リモートオフィス同士でのデータの同期など、システム管理のさまざまな場面で利用される。

 このような用途に利用できるコマンドとして、copyやxcopyコマンドがある。

 フォルダの同期に利用できるツールとしては、この他にも「robocopy.exe」というコマンドラインツールがある。

 robocopyは、もともとはリモートのファイルサーバ同士でファイルやフォルダ、ユーザープロファイルデータなどを同期させるために作られたコマンドである。その名前は「Robust File Copy」の略であり、堅固(robust)で確実なファイルコピーという意味を持つ。具体的な機能の例を以下に記す。

  • エラー時の再試行回数の制限や待ち時間の指定
  • ネットワーク切断時のコピーの中断と再開
  • 属性やセキュリティ設定のコピー
  • ファイルサイズや変更時刻などを限定してのコピー
  • コピー先にある余分なファイルの削除
  • 256文字を超える長いパス名の処理
  • 動作ログの記録
  • 作業内容やオプション設定などをジョブとして保存
robocopyコマンドの動作 robocopyコマンドの動作
フォルダ間で更新コピーするには、「xcopy /e /d……」コマンドも利用できる。だがxcopyと比較すると、robocopyコマンドは、コピー先だけにあるファイルやフォルダ(EXTRA File)を削除できる他、サイズや更新日付を限定してのコピー、再試行回数制限、ログの記録、ジョブ定義、ファイルやフォルダの(コピーではなく)移動ができるなど、機能が豊富である。

 このようにrobocopyは多くの機能を備えている。本TIPSではrobocopyの基本的な使い方として、2つのフォルダを同期させる機能と、ログや設定を保存する機能について解説しておく。それ以外の機能については次のTIPS記事を参照していただきたい。

 より高度なrobocopyの使い方については、今後別TIPSで紹介する。

robocopyのヘルプを参照するには

 robocopyコマンドの使い方やオプションは、コマンドプロンプトで「robocopy /?」を実行すると表示される。

robocopyのヘルプ robocopyのヘルプ

robocopyの基本的な使い方

 robocopyでは、copyやxcopyコマンドのように、引数としてコピー元とコピー先、オプションなどを指定する。

robocopyコマンドの書式 robocopyコマンドの書式
2つのフォルダ間でファイルをコピーする
コピー元フォルダの内容を、指定したフォルダへコピーする。何もオプションを付けないと、コピー元フォルダにある「ファイルのみ」がコピーされる。フォルダは対象外。

 コピー元もコピー先もフォルダであり(ファイル名やワイルドカードは指定不可)、指定されたフォルダ間で、その中にあるファイルがコピーされる。コピー先として指定されているフォルダが存在しない場合は、フォルダが新規作成され、その中へコピーされる。

 コピー元やコピー先には、ローカルのフォルダだけでなく(例:c:\srcfolder)、UNCによるリモートのサーバ上の共有フォルダも指定できる(例:\\server1\drivec\destfolder)。

 ただしデフォルトではサブフォルダはコピーされず、さらに次の種類のファイルだけが上書きでコピーされる。

  • コピー先に存在しないファイル
  • 名前が同じでも、更新日付が異なるファイル(新しいファイルだけではなく、コピー元の方が古くてもコピー対象となる)
  • 名前と日付が同じでも、サイズが異なるファイル
robocopyでコピーされるファイルの種類 robocopyでコピーされるファイルの種類
デフォルトでは、このような条件に一致するファイルがコピーされる。オプションを指定すれば、新しいファイルだけをコピーさせたり、同じファイルでも強制上書き再コピーさせたりできる。

 xcopyコマンドに/dオプションを付けると更新されたファイルだけをコピーするが(TIPS「xcopyでファイルをバックアップする」参照)、robocopyではコピー元の方が古くてもコピーされるなど、少し挙動が異なる。

 どのような種類のファイルをコピーするかは、ファイルの「クラス」に基づいて決まる。クラスとは例えば、日付が新しいか古いか、サイズが異なるか、属性が異なるか、などの状態のことを指す。どのクラスに該当するファイルをコピーするかはオプションで指定できる。詳細なオプションについては以下のTIPSを参照していただきたい。

 実際に利用する例を次に示す。

ファイルのコピー ファイルのコピー
オプションなしでrobocopyを実行すると、コピー元のフォルダにあるファイルが、コピー先フォルダへコピーされる。フォルダはコピーされない。

特定の拡張子やワイルドカード指定に一致するファイルのみをコピーする

 robocopyをオプション指定なしで実行すると、デフォルトでは「*.*」、つまり全てのファイルがコピーの対象となる。オプションとしてファイルのパターンを指定すると、そのパターンに合うファイルのみがコピーの対象となる。例えばJPG/JPEG画像ファイルだけをコピーするには、次のようワイルドカード指定を追加する(パターンは複数指定可能)。

※2つのフォルダ間でJPG/JPEGファイルをコピーする例

robocopy c:\src d:\dest *.jpg *.jpeg

サブフォルダまで含めて再帰的にコピーする

 robocopyに何もオプションを付けないと、指定されたフォルダ中にあるファイルだけがコピーの対象となる。これをサブフォルダも含めて全部コピー(上書き更新)するには「/s」オプションを付ける。ただし/sだけでは、空のフォルダはコピーされない。空フォルダも含めてサブフォルダをコピーするには「/e」(/s /eでも同じ)を付けて実行する。これらのオプション名はxcopyコマンドと同じである。

サブフォルダも含めてコピーするためのオプション サブフォルダも含めてコピーするためのオプション
/sを付けるとサブフォルダもコピーされるが、空フォルダは除外される。空フォルダもコピーしたい場合は、/sの代わりに/eを付ける(/s /eのように両方付けても問題ない)。

 実行すると次のようになる。

サブフォルダのコピー サブフォルダのコピー
/sや/eオプションを付けると、サブフォルダもコピー対象となる。

2つのフォルダを完全に同期させて、ミラーコピーを作る

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