事業期間:2012年度〜2016年度

2014.07.01 │ voice優秀な仲間と出会えて、深い議論ができる~PBL Summit 2014運営メンバーに聞く~

enPiT 受講生と指導された先生方へのインタビュー特集。今回は、PBL Summit 2014(http://pblsummit.jp/)の会場にお邪魔し、その企画・運営メンバーの方にお話を伺いました。PBLの実施にあたって、学生目線から議論することを目的としたこのイベントも今年で3回目。今回お話を伺ったのは、筑波大学大学院システム情報工学研究科の天本涼太さん、九州大学大学院システム情報科学府情報知能工学専攻の瀬尾英樹さん、井上心太さん、そして、先生を代表して九州大学の大迫周平先生です。

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九州大学 大学院システム情報科学府 情報知能工学専攻
井上 心太さん

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九州大学 大学院システム情報科学府 情報知能工学専攻
瀬尾 英樹さん

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筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻
天本 涼太さん

学生が考えるPBL

PBL Summitについて教えてください

井上さん:PBL Summitは、学生が企画発案したイベントで今回が3回目となります。PBLを実施している大学は全国に数多くありますが、お互いに何をしているかが共有されていなかったため、オープンに交流できるようにしたいということから始まりました。また、PBLが社会的にもあまり認知されていないこともあり、もうちょっと世の中に広めたいというもう一つの目的もあります。実際に大学で行われているPBLの内容を学生達がブース発表したり、学生同士、企業の方も交えた活発な議論が行われます。今回は、学生や社会人の方も含めて100名程度が参加予定です。

PBLを受講された理由は

天本さん:私は5年間高専に行き、さらに2年間専攻科まで行って、筑波大学大学院に編入しました。高専の専攻科から研究を行っていたのですが、もっと実践的なプロジェクトに関わって、企業の方ともいっしょに仕事をしたいと思い、PBL主体のこのコースを志望しました。

瀬尾さん:私の場合、学部生(九州大学)のときに実践的な演習が少なく、モノづくりをもっと経験したかったのが大きな理由です。自分のアイディアを形にできるところに一番の魅力を感じています。

井上さん:大学3年時に進路で迷っていたときに、QITO(http://www.qito.kyushu-u.ac.jp/)を支援されている方の講演を聞く機会がありました。その講演の内容は学生にはかなり厳しいものだったのですが、納得できるところもあって、社会に出るために必要なスキルを身に付けなければいけないと実感しました。そこで、このPBLの存在を知り、受講することを決めました。

PBLは自分達がリードする教育スタイル

自己評価は?

井上さん:最初にイメージしていた方向からかなり違っていますが、受講したことはすごく満足していて、自己採点で100点をあげてもいいかなと自分では思っています。

瀬尾さん:私は自己採点で90点くらいです。残りの10点は今後の発展用に残します。モノづくりを通して、自分達で行動を起こし、自分達で学ぶという力がついたと実感しています。これからの1年間で技術を磨いて、考える力をもっと磨いていきたいと思います。

天本さん:受講前は、プログラミングなど技術を磨くイメージでしたが、実際には顧客との対話やチームマネジメントといった技術以外を学ぶことが多かったです。もう少し、技術力を身に付けていればということで、私の自己評価は85点です。

実際に受けて満足した点、もうちょっと頑張ればよかった点は?

井上さん:PDCAサイクルを繰り返すことで、自分自身で問題解決を進めていくことがようやくできてきたかなという点に満足しています。

瀬尾さん:優秀な仲間と出会えて、問題解決のために深い議論を行えた点にとても満足しています。もちろん、社会に出れば当たり前のことなのかもしれませんが、学生でいる間に経験できたことは大きな収穫です。そして、一からモノづくりを体験できるところも大きな魅力です。一方で、もう少しオープンであってもよかったかもしれません。チームの中で議論が閉じてしまい、外部の人たちと交流しようとか、上の世代の話を聞いてみようという雰囲気がありませんでした。

天本さん:このコースではチームメンバーが一人一人自分のやることを理解していて、より良くしていくためにはどうしようかということを毎日議論していました。この議論を踏まえて良いものをつくる経験ができたことが大きな収穫でした。

後輩の方に向けてメッセージをお願いします

天本さん:疑問に思ったこと、わからないことは周りの人にどんどん聞きましょう。チームメンバー、先輩、先生に遠慮は無用です。また、学生側からいろいろと提案することも必要だと思います。たとえば、現状は修士1年生と2年生がいっしょに活動することはありませんが、基礎技術を学ぶときにはいっしょに活動できるような体制が敷ければいいかなと思います。

井上さん:明確な目標を一つでいいので必ず持って受講することが重要です。明確な目標を持つことで、どこまでできたかという達成度を実感できますし、目標を達成するためにいろいろなアプローチを考えることもできます。

瀬尾さん:挑戦することです。失敗しても良いので挑戦し続けて欲しいですね。周りに迷惑掛けてもいいです。そして、発言することです。自分の意見を自分の言葉で伝えてください。主張することも大事です。

先生の視点:

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執筆者
九州大学 大学院システム情報科学府 情報知能工学専攻
学術研究員
大迫 周平先生

2013年4月から、九州大学でお世話になっています。学生のレベルが高く、特にこのPBLを受講している学生は明確な目標を持って、カリキュラムに臨んでいます。

学生には、いろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。チームでモノづくりをすることを通じて、自分達で新しい価値を創造する、自ら率先して動く意識を醸成することができます。また、失敗も大いに結構です。最終的に妥協してこじんまりした結果を残すよりも、「私達はこんなすごいものを作りたいんです。でも、今は未完成です」ということでもいいと思いますし、そこから次のステップに進むための振返りを行って欲しいです。もちろん、何でも許されるというわけではありませんが。自らの可能性を狭めずに、広い視野でいろいろなことにチャレンジする気持ちを常に持っていて欲しいですね。

(インタビュー・文 西村一彦、取材日:2014年3月11日)