坂上忍

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 平日昼の帯番組「バイキング」(フジテレビ)がリニューアル。9月28日より番組枠を1時間拡大し、「バイキングMORE」としてスタートした。MCの坂上忍(53)との不仲説が流れた榎並大二郎アナ(35)に替わって、ベテラン伊藤利尋アナ(48)が進行役に。単に放送時間が長くなるだけと思われたが、意外や意外、この時間帯に大激変が起きていた。

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「バイキング」に“MORE”がついたのは、終了した後番組「直撃LIVE グッディ!」(13:45~15:50)の1時間を吸収したためだ。2時間番組の「バイキング」を約3時間に拡大することについては異論も少なくなかった。民放プロデューサーは言う。

「『グッディ』でMCを務め、長年にわたってフジに貢献した安藤優子を切ってまで、『バイキング』を拡大する意味があるのかとか、アンチ坂上派からは、キャスター面(づら)して説教するのが見ていられないのになぜ拡大するのか、といった声もあったそうです」

坂上忍

坂上の機嫌も変わった

 だが、実際、「バイキングMORE」を見ると、良い方向に変わったと分析する。

「番組の色が変わりました。まず制作を担当するスタッフが変わりました。フジのお昼の枠は、『笑っていいとも!』よりもずっと前から、第二制作室というバラエティ班の制作でした。それが、終了した『グッディ』の情報制作局のスタッフと交代したんです。情報制作局はニュース総局内にあり、報道と情報番組を制作する部署です。坂上さんが総合MCとなってからの『バイキング』は、バラエティと言うよりも情報番組の色が濃くなっていました。もともとこちらのスタッフのほうが、相性がいいのかも知れません」(同)

 そして、進行として加わった伊藤アナある。

安藤優子

「『とくダネ!』から移ってきた伊藤アナは、それ以前から情報制作局とのつきあいが非常に長い。10年以上前からフジのエースアナと言われ、アナウンス室情報担当部長を務め、情報番組はもちろん、報道、バラエティまで何でもこなせる実力派です」(同)

 そういえば、全く別のネタをやっている最中、トランプ大統領がコロナ感染したという緊急ニュースが飛び込んできた時にも、慌てずアナウンス。スタジオのコメンテーターに詫びつつ、元のネタに戻すということもすんなりとこなしていた。

フジテレビ

「しかも、風貌に愛嬌があるから、堅いネタもおだやかに聞こえます。彼が進行に回って仕切っているので、ニュースに安定感がある。かつての坂上さんが仕切ってひな壇芸人との激論は、情報主体の明るく楽しいワイドショーに生まれ変わりました。坂上さんも以前のようにイラついて見えるところがなくなり、伸び伸びとやっているように見えます」(同)

下克上に突入した昼番組

 その影響が視聴率にも現れている。各局の昼番組の勢力図が変わってきたというのだ。

 改編前の各局の昼番組の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)は以下の通りだった。

●9月23日(水)
1位 TBS「ひるおび!」(10:25~13:55)視聴率6・4%
2位 テレ朝「大下容子ワイドスクランブル」視聴率5・9%
3位 フジ「バイキング」視聴率5・8%
4位 日テレ「ヒルナンデス」視聴率5・0%

●9月25日(金)
1位 TBS「ひるおび!」(10:25~13:55)視聴率6・7%
2位 テレ朝「大下容子ワイドスクランブル」視聴率6・2%
3位 フジ「バイキング」視聴率5・4%
4位 日テレ「ヒルナンデス」視聴率5・1%

「ひるおび」(TBS)の独走状態は、ずいぶん前から続いている。

 対して、改編後は以下のようになった。

●9月28日
1位 フジ「バイキングMORE」視聴率6・3%
2位 TBS「ひるおび!」視聴率6・1%
3位 テレ朝「大下容子ワイドスクランブル」視聴率5・5%
4位 日テレ「ヒルナンデス」視聴率5・2%

「バイキングMORE」が1位を取ったのだ。もちろん、初回のご祝儀ということもあるだろう。週末に入ると以下のようになった。

●10月1日
1位 テレ朝「大下容子ワイドスクランブル」視聴率5・8%
2位 フジ「バイキングMORE」視聴率5・2%
3位 日テレ「ヒルナンデス」視聴率5・0%
4位 TBS「ひるおび!」視聴率4・9%

 なんと1位に立ったのは「ワイドスクランブル」(テレ朝)だった。そこに食らいついているのが「バイキングMORE」。そして、王者「ひるおび」が最下位に落ちた。

「昼の帯番組の順位がこれほど入れ替わるのは異例です。昼の視聴者は案外保守的で、改編しても定着するには時間がかかるものなのですが……。それにしても『ひるおび』が最下位になるなんて、ここ10年は記憶にありませんね」(同)

 しかも各局とも接近戦であり、いつまたひっくり返ってもおかしくない。はたして、生き残るのはどの番組だろうか。

「ワイドショーに戻ってきた『バイキングMORE』は、午後2時頃には“2時プロジェクト”などという日テレの“Nizi Project”の名だけパクったコーナーまで始めました。もはや開き直りに清々しささえ感じるほど。そうなると、伊藤アナの安定感と坂上忍という子役時代からの元国民的スターの共演は強い。この下克上から抜け出すのは、『バイキングMORE』かもしれません」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年10月6日 掲載