文/宮本タケロウ
ジャパンライフ事件と皇室
ついにジャパンライフの会長・山口隆祥氏が18日、警視庁によって逮捕されました。
通称「ジャパンライフ事件」においては会長が首相主催の“桜を見る会”に招かれていたことで、安倍元総理をはじめ、大物政治家などが事実上の広告塔とされたことが問題になっており、総理大臣との「コネ」が顧客集めに利用されたとして耳目を集めていました。
「総理大臣」が人集めの広告塔となってしまったジャパンライフ事件ですが、ジャパンライフのWikipediaを見てみると、総理大臣だけではなく、なんと皇族(!)も広告塔とされていた可能性を疑わせる驚くべき記載がありました。
それがこちらです。
ジャパンライフの関連企業・団体
一般社団法人日本文化協会 – 文化活動の支援を目的とする。2014年9月設立。所在地はジャパンライフ本社と同一。会長は外交評論家加瀬英明、副会長は山口(2019年2月現在は役員から退いている)。駐日サンマリノ大使マンリオ・カデロを顧問に据え、宣仁親王妃喜久子と寬仁親王が名誉会員であると称している。
ジャパンライフ(wikipedia)
なんと、ジャパンライフの関連団体である「(社)日本文化協会」の名誉会員が故・高松宮妃喜久子さまと寛仁親王であったとのこと…
さっそく、日本文化協会のホームページを開いてみると、確かに両方が名前と写真入りで掲載されています。
「役員紹介」の欄に高松宮妃や寛仁親王が名誉会員として名を連ねているのが分かります。寛仁親王といえば、宮家ビジネスで荒稼ぎして国会で取り上げられてしまったことがあるだけに、「まさか…」と思ってしまうのが人の情けというもの。具体的には、前橋市営競輪の「寛仁親王牌」で同市と関東自転車競技会から1992年から1995年までので3年間に計2200万円を“お車代”として得ていました。
日本文化協会は二つあった
これが本当ならば、皇室と反社とのつながりを示すばかりか、よりによってその広告塔になってしまっているという、「完全にアウト」といって間違いないでしょう。
しかしながら、同「日本文化協会」のホームページを参照していると、不可解な記述を見つけました。
日本文化協会は、1946年(昭和21年)6月に設立された認可公益法人です。多くの著名な知識人が集っての協会の設立から現在まで、由緒ある55年の歴史を有します。
日本文化協会のホームページ
この通り、日本文化協会のホームページには1946年に設立と書かれるのに、先に引用したウィキペディアの記事には2014年9月設立と書かれているのです。ウィキペディアの記述が不正確なのかと思い、東京商工リサーチの企業データベースで調べましたが、一般社団法人「日本文化協会」の設立は平成26年(2014年)9月となっており、ウィキペディアの記載は不正確ではなさそうです。
「日本文化協会」が設立されたのは1946年なのか、それとも2014年なのか…
調査を進めると、意外なことが分かりました。
なんと、「社団法人 日本文化協会」は2つあった…
ジャパンライフの関連団体である“日本文化協会”と、高松宮妃や寛仁親王が関わっていた“日本文化協会”は同じ名前の別団体だったのです。
二つあった「日本文化協会」
インターネット上を隈なく探すと、先ほど引用した「日本文化協会」とは別の「日本文化協会ホームページ」を発見。
これがジャパンライフ系列の日本文化協会(以後、「ジャパンライフ系日本文化協会」)であり、そのホームページには沿革が、このように書かれていたのです。
日本文化協会は、一九四六年(昭和二十二年)に設立された旧社団法人日本文化協会から枝分かれする形で、新たな理念と陣容のもと、一般社団法人としてスタートしました。
(ジャパンライフ系日本文化協会ホームページ)
「皇族が関わっていた日本文化協会から枝分かれしてジャパンライフ系日本文化協会が誕生した」と書いてありますね。
どうやら、幸運なことに、「反社会的勢力と皇室のかかわりはなかった」ということになりそうです。
両者をつなぐあのフィクサー
新旧「日本文化協会」の役員を確認すると、安倍政権に親しく、日本会議の代表委員も務める作家の加瀬英明が両団体ともに会長(名義貸しでしょうが)を務めているのが分かります。
(旧・日本文化協会) (ジャパンライフ系日本文化協会)
そして、ジャパンライフ系日本文化協会の「副会長」には先日逮捕されたジャパンライフの山口隆祥の名前も確認できます。
興味深いのは「ジャパンライフ系日本文化協会」の顧問にサンマリノ共和国大使のマンリオ・カデロ氏が就任していることでしょう。なぜ、サンマリノ共和国の特命全権大使が、ジャパンライフ関連団体の名誉職に就いているのでしょうか。
「山口隆祥容疑者の人脈が広かった」というだけでは説明できない何かがありそうです。
この謎を解くカギが、旧・日本文化協会が入居する東京都中央区の雑居ビル(ビクトビル)にありました。
旧・日本文化協会は雑居ビルの9階に事務所を構えていますが、同じビルの同じ階になんと「日本サンマリノ友好協会」なる団体が入居しているのです。
「日本サンマリノ友好協会」…と聞いてピンとくる人はあまりいないかもしれませんが、実は、この団体の代表が先ほど紹介した作家・加瀬英明氏なのです。
ちなみに、この「日本サンマリノ友好協会」は2014年にサンマリノに神道の神社「サンマリノ神社」を建立しており、創建の鎮座式には安倍総理の母、安倍洋子氏が参列が神社本庁関係者とともに出席したことで有名です。
これらの事実をつなげてみますと、ジャパンライフが旧・日本文化協会から枝分かれした形で「ジャパンライフ系日本文化協会」を立ち上げた経緯のフィクサーは、実は加瀬英明氏であったのではないだろうかと推察することができます。
つまり、
2014年に「旧日本文化協会」から「ジャパンライフ系日本文化協会」が分離独立した。同会副会長でジャパンライフ会長の山口隆祥が、「旧日本文化協会」の会長で日本サンマリノ友好協会代表の加瀬英明に依頼し、団体の“箔付け”としてサンマリノ大使に顧問就任を依頼した——
このようなストーリーがあったのではないかと推測することができるでしょう。
いずれにせよ、今回の検証により、反社会的勢力と皇室が関わっていなかった、ウィキペディアの記載は誤っていたということが判明しました。
「皇室」と「反社」のゆる~い関係
さて、今回明らかになった事実の総括を皇室や保守論壇業界の裏事情に詳しいジャーナリストのU氏に伺ってみました。
「確かに、今回の検証で皇族が“ジャパンライフ詐欺事件”の関連団体に皇族は関わっていないことが分かりましたが、しかし、もしかしたら今回逮捕された山口隆祥容疑者は『ジャパンライフ系日本文化協会』を創設したときに、旧日本文化協会と同様に、皇族を顧問に据えたかったのかもしれません。『顔の広い加瀬英明氏なら皇族を引っ張ってこれると踏んで会長に据えて頼んだが、さすがに宮内庁からストップがかかった』と」(U氏)
確かに、旧・日本文化協会の名誉会員となっている寛仁親王は加瀬英明のインタビューで書籍も出版していたことがあります。
「ジャパンライフ系の『日本文化協会』は皇族が関わっていないわけですが、しかし、それでも、一歩引いて考えてみれば、『旧日本文化協会から枝分かれしたのがジャパンライフ系日本文化協会』であるのは事実ですよね。これはつまり、そもそも『旧・日本文化協会』側と山口隆祥容疑者とに何らかの関係があったということに他ならないでしょう」(U氏)
なるほど、確かに、非常に“ゆるい形”ではあるが、「皇族の関係組織が反社会勢力が繋がっていた」ということは言えるだろう。
「考えてみますと、戦後に皇籍離脱した旧宮家の方々も山師的な人たちに金集め・人集めに担ぎ上げられて利用されてきたということがあります。有名なところでは東久邇宮が関わった『東久邇宮記念会』や梨本宮や伏見宮が関わった『日本文化振興会』などですね。
基本的に皇族が何らかの団体に名義貸しをするとなると、宮内庁の役人(宮務官)というストッパーが一応は不十分ながらも機能する形になりますが、旧宮家の方にはそれがなく、“ザル”のように素通りで利用されてしまうわけです。今回の件も、もしかしたら、宮内庁の役人の眼力がなかったら『ジャパンライフの関連団体に皇族が名義貸ししていた』という事態にもなっていたかもしれません」(U氏)
当たりが強まり「秋篠宮家は皇籍離脱すべき」との声まであがってます。ですがマジで皇籍離脱した場合、秋篠宮さまが反社の広告塔に利用されるようなコトが起こるかも…。
「秋篠宮詐欺事件」…
U氏はこう述べます。
「秋篠宮さまが皇籍離脱なんて想像するだけで恐ろしい! 育ち良く人を疑うことを知らない純真無垢なあの秋篠宮さまのことです。元皇族を利用して一山あてようとする奴らがすぐに集まってきて、とんでもない『詐欺事件』が起こるでしょう。『秋篠宮詐欺事件』とでも名前がついてしまったら、皇室の終わりです。
そうなりますと、もはや、小室圭さん問題どころではありませんよ!」(U氏)
今回の“ジャパンライフ事件”には運よく皇族の直接的な関係はなかったものの、社会とかかわり、社会に貢献していくのが確かに皇族の使命ではありますが、その際には真偽を見極める目と慎重な姿勢が不可欠であることが痛感されますね。
とりわけ紀子さまのご尊父・川嶋辰彦さん(学習院大名誉教授)は、パチンコ会社「三井企画」を営む三井慶昭社長とお付き合いがあることが報道されたりしています(週刊新潮 2019年6月6日号)。どこから見られてもクリーンな秋篠宮家と川嶋家であったこそ、悠仁さまは立派な天皇に即位できるのではないでしょうか?