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東京都 150の温泉施設、実態調査始める 爆発事故

2007年06月20日17時12分

 東京都は20日、都内に約150ある温泉施設すべてを対象に実態調査を始めた。くみ上げ装置など施設の構造を電話で聴き取る。開業後の温泉施設の安全をめぐる法整備が進んでいないため、緊急調査と早急な注意喚起が必要と判断した。

 爆発した渋谷の温泉施設の地下には、温泉水を地中からポンプでくみ上げる装置があった。都への届け出書類には、温泉水に混じる天然ガスを分離する「ガスセパレーター」の設置が記されていたが、こうした安全機構が十分に機能しなかった可能性が出ている。

 都は似た施設で同様の事故が起きる可能性が否定できないとして、ガスセパレーターの有無や機能なども調べる。

 都によると、今年3月現在、都内には144の源泉がある。温泉ブームで需要が増え、95年の84カ所から大幅に増えている。しかし、施設の安全性は十分把握できていない。メタンガスが地中に閉じこめられた「南関東ガス田」が23区の地下の大部分に広がっているとみられ、都は区部の施設を優先して調べて、窓の開放などの注意も促す。

 都は、05年に東京都北区で起きた温泉掘削現場での火災を機に、掘削時にガス検知器の設置などを義務づける「安全対策指導要綱」をつくった。しかし、施設が開業した後にガス事故を防ぐための条例や要綱はない。

 温泉法に基づく利用許可の届け出や温泉の衛生管理などは、区保健所の担当。都の担当局では、温泉掘削が環境局、衛生管理は福祉保健局。局の縦割りが開業後の安全管理に目を行き届きにくくさせている面もある。

 都は調査を進め、開業後の施設の安全対策についても改善策が必要かどうかも判断するという。

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