もろい「学問の自由」 歴史の反省、軽んじた政治の介入

編集委員・豊秀一

2020年10月5日23時38分

2020年10月1日に開かれた日本学術会議の総会=東京都港区、鎌田悠撮影

 日本学術会議の会員になれなくても自由に研究は続けられるのだから、「学問の自由」と関係ないのではないか、という声を聞くことがある。本当にそういえるのだろうか。

 憲法23条は「学問の自由は、これを保障する」と定めている。では、ここで何が保障されているのか。憲法学者の間の一般的な理解では、①学問研究の自由②研究成果を発表する自由③研究結果を教える自由――の主に三つが挙げられる。

 日本国憲法には「表現の自由」(21条)や「思想・良心の自由」(19条)があるが、それに加えて23条も作って学問の自由を守ろうとしたのは、政治が学問に介入したり、干渉したりすることを防ぐためだった。

 真理を探究しようとする学問は、社会の既成の考えを疑い、新たな発見をしていく作業でもある。社会の多数派の価値観とぶつかったり、政権の政策を批判したりすることはしばしばある。政治や社会から学説が痛烈に批判を浴びることは世界中で経験してきたことだ。戦前の日本の歴史を振り返ると、政府が何が正しい学説かを決め、それに反する説を唱えた学者が排斥される事件が起きている。

PR

「世界人口の約10%が感染」 WHO、根拠は示さず

10月6日10時10分

 世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン氏は5日に始まった執行理事会の特別会合で、新型コロナウイルスの感染が南アジアや欧州、中東などで増えているとしたうえで「我々の見積もりでは、世界の…

Unable to Load More