第6話:追放と覚醒【六】
「ルーグ、今のは……!?」
「ルーグ殿、あなたは……いったい……!?」
ノエルとゼノさんが、声を震わせた次の瞬間、
「き、き、き、貴様……今のはいったい何をしたのだ!?」
帝国の司祭長ラームの
「『何をした』って……ただ斬撃で消火しただけですよ。それより、こんなところで火の魔法を使うのはやめてください。畑や山に
俺はこれでもウォーカー家という貴族の生まれであり、街や村を治める際の基本的な事項を学んできた。
その中で何度も耳にした教えが、『火の取り扱いには細心の注意を払え』、だ。
特にオココ村みたく大自然に囲まれた場所では、火属性の魔法は使用厳禁である。
「『斬撃で消火した』、だと? 何をわけのわからぬことを……はっ!? ……なるほどな、そういう
ラームは「全てを理解した」と言わんばかりに口角を釣り上げた。
「大袈裟な発言・壮大な演出・胡散臭いポーカーフェイス――ふんっ、一昔前に使い古されたペテン師のやり口だな」
「ぺ、ペテン師……?」
「自分を大きく見せ、こちらの戦意を削ぎ、なんとかこの窮地を切り抜けようと考えたのだろう? まぁ確かに驚かされた。なにせ我らの行使可能な『最強クラスの攻撃魔法』が、いとも容易く破られたのだからな。――だが、所詮は子どもの浅知恵! 大魔司教であるこの私、ラーム=ススゲラスにそのようなトリックは通用せぬ!」
彼は自信に満ち溢れた笑みを称えながら、俺の腰に差された剣をジッと見つめた。
「第六位階の大魔法<
「いえ、違います」
さっきからこの人は、いったい何を言っているんだ?
「口ではそう言っても、体というのは正直なものだ。瞳の奥が揺れているぞ? 図星だったのだろう? 小僧、貴様は『火属性の魔法を無効化するギフト』を持つと見た!」
「いや、だからその……俺は、なんのギフトも授かっていないので……」
強力な回復系統のギフトをもらった可能性はあるけれど……。
それはまだ推測の域を出ない。
「無効化系統のギフトは、非常に強力かつ希少なものだが……。その対処法は、いたってシンプル!」
ラームは完全に自分の世界へ入っており、とても楽しそうに騒いでいた。彼はアレだ。人の話を聞かないタイプの人だ。
「総員! 火属性以外の魔法をもって、あのちょこざいな小僧を抹殺せよ!」
彼の号令が響いた次の瞬間、
「――<
「――<
「――<
九人の司祭たちが、多種多様な魔法を繰り出した。
帝国の最高戦力が放つ魔法……の割には、えらくこじんまりしたものばかりだ。
もしかしたら、俺が子どもだから手加減をしているのかもしれない。
「
俺は大上段からの斬り落としをもって、迫り来る魔法を叩き斬った。
今度こそ、ラームの顔が引きつった。
「ば、馬鹿な……ッ!? 小僧……もしや貴様、伝説の『魔法を無効化するギフト』を保有しているとでも言うのか!?」
「ですから……さっきも言いましたが、俺はなんのギフトも持っていませんってば……」
なんのギフトも授かっていないことは、誇れることでもなんでもないので、あまり何度も言わせないでほしい。
「ぐっ……へ、ヘルメス神官! あの小僧のギフトは、なんなのだ!? 神の声はなんと言っているのだ!?」
「あ、ありません……っ。あの子どもは、なんのギフトも保有しておりません!」
「なんだとぉ!?」
俺の恥ずかしいところをそんな盛大に発表しないでほしい。
(……もしやこれは、新手の精神攻撃ではないのだろうか?)
そんなことを考えていると――ラームが大きく息を吐き出した。
「ふぅー……。どうやら小僧は、並外れた『剣術の才能』を持っているようだな」
「そんなの、持っていませんが……」
剣術の才能を持って生まれたのは――次男のマルクス兄さん。
彼はとても嫌な性格をしていて、いつも俺のことをいじめてきたけれど……その剣捌きだけは、本当に見事だった。
単純な剣術の腕だけで言えば、あの父さんに届くかもしれないほどだ。
「その研ぎ澄まされた剣術に敬意を表し――貴様の名前を聞いてやろう! さぁ、名乗るがいい!」
この人は、どうしてこんなに上からなのだろう?
あまり腑に落ちないが、ここでゴネても余計面倒なことになりそうだ。
「……ルーグです」
「ルーグだと? 我らが神と同じ名を持つとは、どこまでも人を食った奴め!」
「えぇ……」
名乗っただけで、罵倒されるなんて……もう無茶苦茶である。
「さて、ときにルーグよ。先ほども少し述べたが、私は貴様の剣術を高く買っている。どうだろう? 未来のない王国など見限り、私の下で働いてみない――」
「――いえ、それだけはけっこうです」
こんな
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目標の【3万ポイント】まで、後ほんの少し……っ。
なんとか今日中に達成したいっ! が、ここからの伸びが本当に難しいんです……っ。
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