聡ちゃんが泣くとは思ってなかったなー…っていう話します。
オーラスのあいさつで、1番手のケンティーさんがメンバー1人ずつに言葉を贈って、「もう、健人くんが(泣かせること言うから)」って次のマリちゃんがそれでほろっとしてて、でも聡ちゃんはあまり変わらなくて、でも最後だからか、みんなこゆびだしてください、って言いだした。
約束、かな、って、思った。
私個人のなかにある、こゆびだして、の記憶は、あかにしくん。
はじめてのアリーナツアーの時だった。最後の、大阪城ホールだったとおもう。みんなこゆびだして、って言われて、腕を高く掲げたゆびきりをした。
また絶対ここで会うことを、やくそくー!…って、エアゆびきりをした。
そのあと、NewSがデビューして、KAT-TUNはなかなか単独でライブをする機会がなくて、「でも、仁が約束って言ったもん」って、わりと真面目にみんな思ってた。
わりと真面目に、この時の「約束」を信じてた。
それから1年以上たって海賊帆がやってきて、ごくせんがやってきて、そしてKAT-TUNはデビューした。
あのときの約束が守られたのか守られなかったのか、今となってはなんともいえない。
約束は、守られるかもしれないし、守られないかもしれない。
約束してくれたらうれしいかもしれないけど、しなくてもいいんだよ。
……とか、ちょっと感傷にひたっているうちに、聡ちゃんのあいさつはニコニコと終わってしまい、モニターにはこゆびをたてた自分の手を「えっと」という風情でみつめる勝利の姿が大映しになっていた。
「…出したこゆびはどうしたらいいっすか…」
それまで微動だにしてなかった菊池さんが突っ込んで、聡ちゃんは慌てたように「あっ、しまってくださぁいっ!」って、言った。
(ケンティーさんはこゆびをそっとジャケットの内ポケットにしまったらしい)
(ちなみにケンティーさんは超かっこいい立ち姿でビシッ!とこゆびを前に出していた)
(聡ちゃん、この時のケンティーさんにだけはあやまっといた方がいい)
掲げたこゆびは結局放置されて、約束のゆびきりをする隙もなかった。
笑った。
笑って、そして、なんか、ちょっと、ほっとして、しまった。
約束は、守ったり守られなかったりするものだから。
「しまってくださぁいっ」って言われて、会場は笑いに包まれて、怪訝な顔芸をした勝利を見てまた会場がふふふって笑った。
勝利は初日のあいさつで泣いてたし、それ以降もずっと涙を我慢しながらしゃべる感じだったから、あぁ、ちょっと空気がなごんでよかったな、って、思った。
泣かないように、涙がこぼれ落ちる直前で、少し短めにまとめた勝利のあいさつだった。
菊池さんは過去に言及するタイプのフレンズなので、やっぱり結構な範囲の森を燃やしながら、でも感謝の弁と、わかってるんだよっていう気持ちと、みんなを裏切るのは死ぬときだからっていう重すぎる決意表明を打ち上げて。
それから、STAGEをうたった。
STAGEは5人横並びで、わりと1人ずつの距離をあけて立っている。
客席が、赤い薔薇に誓って歌ってる時だったと思う。
モニターに映っていた聡ちゃんが、急に、本当に急にぐしゃっと顔をゆがませて、うわっと泣き出して、その瞬間、カメラを避けるように肩から後ろを向いた。
聡ちゃん…!って思う間もなく、その時すでに菊池さんは聡ちゃんに向かって大股で歩きだしていて、後ろを向く姿勢で泣いてる聡ちゃんの肩をぎゅっとつかんだ。
ぎゅっと肩をつかまれたその手を、聡ちゃんは、払ったように見えた。
泣いてるとこは見られたくない、って、全身が言ってるように見えた。
それ以上菊池さんは無理強いをせず、また大股で自分の位置まで戻って、今度はうるうるしてる勝利を左腕に抱えて、その手を伸ばして、その時はもう近くに来ていたケンティーさんとマリちゃんを呼んだ。
4人くっついて、聡ちゃんはまだ、1人で背を向けて泣いている。
風磨くんの右手は聡ちゃんまで遠すぎて届かないけど、それでも、必死で呼んでいるのはわかる。
瞬間、ぱっ、と、聡ちゃんが顔をあげてステージ中央の4人を見た。
来い!みたいに、風磨くんの右手が動く。
たたたたっ、と、聡ちゃんは迷いなく小走りに、風磨くんの肩のところへ、どんっ、と、しがみつくと、ぐしゃぐしゃに泣き出した。
風磨くんの腕も、カメラも避けずに、ただ泣いていた。
泣いてるちびーずと、声が出にくい健人くんの間で、風磨くんはめちゃめちゃに大きい声出して歌ってた。
私は、客席で、いくらなんでも声がおっきすぎないか!って、泣き笑いした。
ふまけんはお兄ちゃんでずるいよなー、1人のときはびーびー泣くくせにさーって、思って。
涙もろくなってる勝利と、鬱が始まってからこれまで何があっても泣きごとを言ってこなかった聡ちゃんとマリちゃんと、ここでちゃんと泣けて、よかったなーって、思って。
もし、10周年の日を迎えて、それを私が見ることがあるのなら、その時、泣き出すのはお兄ちゃんの方なんじゃないだろうか、みたいなことを考えた。
たまには肩の力を抜けるようになった、お兄ちゃんの方なんじゃないだろうか。
そんな10周年。
そして、あの夏、ガムシャラJ's Partyに突然呼ばれたセク松を支えるために緑ペンラ握りしめてEXに集まってきた鎌倉武士みたいなお嬢さんたちも、今この瞬間を越えるような10周年が見れたらいいと思った。
STAGE、おもしろかった。
随所に、しぬほどの、会場に対する気遣いが見えた。
セクシー鬱の時のシングルを避けていること、5人一緒に同時に登場して、5人一緒に同時にスライドダウンでハケていくこと。
それは気遣い以外の何者でもないと思うけど、そこをうまく目立たなくさせてるのは、とにかくSTAGEがコンサートとしておもしろかったからだと思ったのね。
5人全員にソロ曲があって、5人全員が1人ずつ最後のあいさつするっていうのも、グループによってはそれは当然のことなんだけど、当然じゃなかったからさ。
キャラメルドリームの勝利と聡ちゃんのオーラスまで飽きることなくやり続けたダバダ芸、いろんなパターンがあったzooの着ぐるみ芸、全力すぎるオキテ、テレポもよすぎるんだけどIt's Going Downも天才すぎて、階段の一番下から一番上までレーザーの下を潜り抜けるのに長い脚を持て余し気味に小さく折りたたみながら階段を這い上がってく健人さんとかレーザーの中から手だけが出されるとことか、聡ちゃんのソロが始まる直前にモニターに抜かれる瞬間の表情とか、帝劇再現VerのSexy Zone(曲)も最高だけどあいさつ前のWith youが振付まんまなことの尊みとか、ジャンケンで最初3回とも勝っちゃうマリちゃんとか全然勝てない風磨くんとか、そのあとのセリフのとこが超楽しみだったこととかブルーオーシャンとか。
終わるの残念だったなー。広島とか仙台とか福井とかで見たかった。
また絶対ここで会えることをやくそくー!…は、しなかったけど、それでよかった。
ゆびきりはしないで、こゆび、しまっときます。
また、今度の時まで。