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世界最強の大魔王、貴族の落ちこぼれに転生する~無能・生き恥・面汚しと蔑まれ、実家を追い出されたけど、二千年前の力が覚醒して無双する~ 作者:月島 秀一
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第5話:追放と覚醒【五】


 翌日。


「ほぅかほぅか! ルゥっこ、目が見えるようになっただか!」


「あんれまぁ! ルゥちゃん! 綺麗なお目めがパチクリしとるざ!」


「えがったえがった! こりゃめでてぇなぁ!」


 目が見えるようになったルゥは、たくさんの村人たちから、わしゃわしゃと頭を撫でられていた。

 どうやら彼女は、村の人たちからとても大切にされているようだ。


「えへへ、みんなありがとう!」


 ルゥが天真爛漫(てんしんらんまん)な笑顔でお礼を言えば、周りの人たちはみんな嬉しそうに笑った。


(しかし、オココ村の人たちは、南(なま)りなんだな……)


 もしかしたらこの村は、王国南部の人が集まって出来たものなのかもしれない。

 ルゥやグレアおばあさんだけが標準語なのは……あちこちの街へ出向いてお医者様巡りをしていたため、いつの間にか訛りが抜けたんだろうか?


 俺がぼんやりそんなことを考えていると――オココ村の人たちが、ぞろぞろとこちらへ集まって来た。


「ルーグせんせ。ルゥっこの目さ、治してくれて、本当にありがとうごぜぇます」


「ルゥちゃんのあげに嬉しそうな顔、初めて見れただ。これも全部全部、ルーグせんせのおかげじゃき。ほんにありがとうごぜぇますだ」


「こげに(わか)かなのに、せんせは凄いお人なんだなぁ……」


 わざわざ感謝の言葉を伝えに来てくれたみたいだ。


「いえ、俺は当たり前のことをしただけですから」


 そう返事をしつつ、目の前のおじいさんにちょっと声を掛けた。


「ところでその……足が悪いんですか?」


「うんだ。数年前さかに、ちょっち傷めてしもうた。お医者様とこ行けば金が掛かるで、もう長らくこのまんまだ」


「俺たつみたいな先の短か老いぼれより、まだまだ若ぇルゥっこの目さ治してやりたかったもんでな。村のみんなで節約ばして、お金さ貯めちょったのよ」


「村のみんなは家族、ルゥちゃんはみんなの娘じゃきな! 目ぇ見えるようになっち、ほんにえがっただ!」


 彼らはそう言って、みんな嬉しそうに笑う。


 オココ村の人たちは、とても(あたた)かかった。

 ここには『人の(ぬく)もり』というものがあった。

 俺の家には……なかったものだ。


「俺、ちょっとした回復魔法が使えるので、もしよかったらその足を治療させてもらえませんか?」


「あぁー……。せっかくのお話じゃが、ルーグせんせに払える、まとまったお金はねぇんど……」


「いえ、お金はけっこうですよ」


「いんや。あなたのその御力は、きっとすげぇ努力なすって身に付けたもんだ。(ろく)な対価も払わんで、その恩恵に(あずか)るわけにはいげん」


 おじいさんはそう言って、首を横へ振った。


(うーん、対価か……)


 俺は頬を掻きつつ、周囲を軽く見回してみる。


(オココ村には、とても大きな畑がいくつもあるし、村人たちも年齢の割にはしっかりとした体つきだ)


 食糧事情は、かなり明るいと見て間違いない。

 これなら治療の対価として農作物をお願いしても、おじいさんの懐はほとんど全く痛まないだろう――そう判断した俺は、ゴホンと咳払いをした。


「実は俺、こう見えてとってもよく食べるんです。特に採れたての野菜が大好物! なので――回復魔法を使う対価として、この村で採れたおいしい農作物をちょっとだけ分けてもらえませんか?」


 俺がそんなお願いをすると、彼は目を丸くした。


「……ルーグせんせは、ほんに優しいお人だなぁ。気を遣わせちまっち、申し訳ねぇだ。後でうちの山芋さ持っていきますけ、おらの足さ、診てもらえっていいだか?」


「はい、任せてください!」


 それから俺は<完全回復(リ・ティルト)>の魔法で、おじいさんの足を治療し――その後は、オココ村にいる体の不自由な人を片っ端から診ていった。


「いんやぁ、ルーグせんせの魔法は凄ぇだ!」


「うんだ、こりゃ助かる!」


「あんれまぁ! 体がほんに軽ぅなった! まるで一回り若返ったみたいじゃき!」


「やっだ、あんた! 一回り若げぇっても、まだまだ婆さんだけれ!」


「はっはっはっ、ちげぇねぇだ!」


 体が楽になった村の人たちは、みんな嬉しそうに笑っていた。


「ルーグせんせ、ルーグせんせ! これさ、もってってけろ! うちの畑で採れた山芋だ!」


「ルーグせんせ! うちのキャベツも食っちゃってけれ! 今年のは、特別いぃ出来なんさ!」


「こりゃ、うちの旦那さが仕留めた魔獣の干し肉だ。せんせのお口に合えばええじゃが、もらってやってけろ!」


 一つ誤算だったのは……田舎の『ちょっと』を甘く見ていたことだ。

 俺の手元には、次から次へとんでもない量の農作物が届けられた。


「き、気持ちはとてもありがたいのですが……。こんなにたくさん……っ?」


「そんな遠慮なさらんで! ルーグせんせは、とんでもねぇ大食いだって聞いてますだ! それに……倉庫にはまだまだたくさんの野菜がありますんで、いくら」


「……そう、ですか……。お気遣い、どうもありがとうございます……っ」


 自分の()いた種なうえ、純粋な善意だけに断るわけにはいかない。


(腐らせたらもったいないし、今日から死ぬ気で食べよう……)


 キャルルと一緒なら、きっとなんとかなる……はずだ。

 いただいた大量の農作物を家まで運ぶ途中、とある考えが脳裏をよぎった。


(もしかしたら俺は、『ギフト』を授かっていたんじゃないか?)


 突然使えるようになった<完全回復(リ・ティルト)>や<蘇生(シリカ)>。その共通点は、どちらも『高位の回復魔法』であるということだ。


 俺はあのとき――『天授の儀』で強力な回復系統のギフトを授かっていたのだけれど、神官様がうっかり神様の声を聞き逃してしまった。

 そう考えたら、話の筋は通る。


(もしそうだとしたら、嬉しいなぁ……)


 昨日今日と、たくさんの人を治療してわかった。

 魔王を討つための強い力より、人を治せる優しい力の方が、俺の性にあっているのだ。


「――よっこいしょっと」


 ようやく全ての農作物を家に運び込んだ俺が、ホッと一息をついたそのとき――深い森の中から、緊迫した声と馬の荒々しい鳴き声が轟いた。


「な、なんだ……?」


 何事か家を出てみれば――王国の旗を掲げた騎馬兵たちが、次から次へとオココ村に飛び込んできた。


「あんれは……王国の兵隊さんたちだぁ」


「えらい怪我しよってるみたいじゃぎ、いったい何があったさね……?」


 村の人たちが言う通り、百人規模の大軍団は――何故かみんな酷い怪我を負っていた。


「はぁはぁ……て、帝国(・・)の司祭どもは!? まだ追って来ているのか!?」


「いや、今のところ姿は見えねぇ。なんとか、振り切れたみてぇだ……っ」


「くっ、油断すんじゃねぇぞ。敵は『攻撃魔法のスペシャリスト』たちだ! いつどこから不可思議な魔法を仕掛けてくるかわからん!」


「そんなことよりも、俺たちを庇ってくれた戦士長だ! 衛生兵、早く診てくれよ……ッ」


 酷く消耗した彼らは、大声で様々なことを言い合っている。


「戦士長……?」


 俺がポツリとそう呟けば、横合いからノエルが詳しく説明してくれた。


「あそこで仰向けになっている血まみれの重傷者が、グランバルト王国の戦士長ゼノ=ドルファ。長い王国の歴史上、『最強の戦士』と名高い傑物(けつぶつ)。民に優しく、とても誠実な人柄だと評判。ただ……出自(しゅつじ)が農民ということもあって、政府・貴族・神殿からの扱いはあまりよくない」


 彼女が指さした先には――身の丈二メートルほどの巨大な男が、苦悶の表情を浮かべており、その横では衛生兵らしき人が、必死に応急処置を施していた。


「戦士長! もうすぐ王都へ着きますから、気をしっかりとお持ちください……っ」


「あぁ……もちろん、だ……っ。俺はこんなところで……死ぬわけには、いかぬから、な……。民のため、国のため、この命を有効に使わね、ば……っ」


 戦士長ゼノさんの目は焦点があっておらず、ボソボソとうわごとを口にしており、その腹部からはとめどなく血が流れ出ている。


(あれはさすがにマズいな……) 


 時は一刻を争う状況ということもあり、俺は意を決して声を掛けることにした。


「あの、もしよかったら……俺が回復魔法を――」


「気持ちはありがてぇが……坊主にゃ無理だ。戦士長は帝国の司祭長ラームの糞野郎に、回復阻害の<呪言(アド)>を掛けられている。この呪いは賢者様クラスの魔法技能がねぇと絶対に解けね……ッ!? あ、あなたは……もしやノエル様ですか!?」


「うん」


 さすがは『賢者』というべきか、ノエルはけっこうな有名人らしい。

 絶望に暮れた衛生兵の目に希望の光が宿った。


「あぁ、これはなんという幸運だ……! ノエル様、どうかお願いいたします……っ。戦士長に掛けられた呪いを解き、彼の命をお救いください……!」


「私でも解呪は可能だけれど……大儀式が必要。それには最低でも十時間以上掛かってしまう。どう見ても、この人はそこまでもたない」


「そ、そんな……っ」


「だけど――ここにいるルーグなら、今すぐこの場で簡単に治せる」


「んなっ!? それは本当ですか!?」


「本当」


「坊主は……いや、貴方様はそんなに凄い御方だったのですか……!?」


 衛生兵は期待と尊敬の籠った視線を向けてきた。


「え、いや、俺はそんな大した――」


「――ルーグはとても凄い。間違いなく、『世界一の大賢者』。この私が保証する」


「な、なんと!? 『世界一の大賢者様』ッ!?」


「ちょっとノエル!?」


 さすがにそれは言い過ぎなので、「待った」の声を掛けたのだが……。


「……? 事実を言っただけ」


 彼女はあっけらかんとそう答えた。

 その顔を見れば、当の本人にまったく悪気がないことがよくわかった。


 すると――今の話を聞いていたのか、大勢の戦士たちが俺のもとに集まって来た。


「――お願いします、ルーグ様! どうか、どうか我らが戦士長に御慈悲(ごじひ)をお掛けください……ッ」


「戦士長は、腐敗した王国を立て直すために必要なお人なのです……!」


「我ら戦士隊一同、()してお願い申し上げます……。どうか、どうか何卒、戦士長の命をお救いくださいませ……ッ」


 百人近い屈強な戦士たちが、俺の前に(ひざまず)く。


(こ、これは……万が一にでも失敗は許されないぞ……っ)


 かつてないほどのプレッシャーに晒されたことで、胃のあたりにキリキリと妙な痛みを覚えた。


「わ、わかりました……っ。やれるだけのことはやってみます……!」


 俺は精神を統一し、右手に魔力を集中させる。


「――<完全回復(リ・ティルト)>」


 まばゆい光がゼノさんを包み込んだその瞬間、『黒いモヤっとしたもの』が、こちらの魔法を妨害しようとしてきた。


 おそらくこれが、<呪言(アド)>なのだろうけれど……。

 ノエルの言っていた『運命神のなんちゃら』とは、比べ物にならないほど弱々しかった。


 俺の魔力と黒いモヤとぶつかったその瞬間、<呪言(アド)>らしきものは、いとも容易く弾け飛んだ。


「やっぱり凄い……。魔力だけで強引に呪いを捻じ伏せるなんて、とんでもない力業(ちからわざ)……っ」


 ノエルは何やら大きな衝撃を受けているようだった。


「うっ、こ、ここは……?」


完全回復(リ・ティルト)>によって、完全回復を果たした戦士長様は、ゆっくりと上体を起こす。


「あぁ、よかったぁ……」


 プレッシャーから解放された俺が、ホッと胸を撫で下ろすと、


「う、うぉおおおおおおおお!」


「戦士長、よかった……本当によかった……っ」


「ルーグさん、あんた凄ぇよ! 本当に凄ぇ人だ! 世界一の大賢者様だ!」


 王国の戦士たちはみんな、歓喜の声をあげる。 

 そのとてつもない熱狂っぷりに対し、戦士長のゼノさんは呆然としていた。


「俺は、いったい……? というかお前たち、何をそんなに騒いでいるんだ……?」


 おそらくは、とても重篤な状態だったことが原因の 前後の記憶が少し飛んでいるようだった。


「戦士長、この御方は『世界一の大賢者』ルーグ様です!」


「司祭長ラームの糞ったれが使用した<呪言(アド)>をいとも容易く消し去り、瀕死の重傷を負ったあなたを救ってくださったのですよ!」


 戦士の方々は鼻息を荒くしながら、口々に事情を説明した。


「……なるほど、貴殿が命を救ってくれたというわけか……。ルーグ殿といったか。――ありがとう、恩に着る」


 ゼノさんはゆっくりと立ち上がり、深く頭を下げた。


「いえ、気にしないでください。俺は当たり前のことをしただけですから」


 それにしても……改めて見ると、本当に大きな人だな。


 ゼノ=ドルファ。

 臙脂(えんじ)色の短髪。

 身の丈二メートルほどの巨躯。

 年齢はおそらく、三十代半ばぐらいだろう。


 ()りの深い野性的な顔・低く渋みのある低音・鍛え抜かれた筋肉――近くにいるだけで、ちょっと圧迫感を覚える。

 重厚な鎧を全身に纏い、背中にはとても重そうな大剣、まさに『重戦士』という言葉がぴったりとあてはまる人だ。


「――ねぇ、これはいったいなんの騒ぎなの?」


 平常運転のノエルが、至極もっともな問いを投げ掛ける。


「おや、ノエル様もいらっしゃったのですか」――ゼノさんは少し驚きながら、詳しい事情を喋り始めた。


「ドーラ帝国がたびたびこちらの領土を侵犯していたため、王の勅命(ちょくめい)を受けた我々戦士隊は、王国西部の国境警備を強化しておりました。ここ一か月ほどは、睨み合いの膠着(こうちゃく)状態が続いていたのですが……。二日ほど前、帝国は突如として最精鋭部隊の『大魔(だいま)司教(しきょう)』を送り込んできたのです。奴等は『遥か悠久の時を超え、神が復活なされた!』などと、わけのわからぬことを叫び散らしながら、いきなり襲い掛かって――」


「――くくっ、やはり異教徒の阿呆どもは、まだ気付いていないようだな。世界が今、とてつもない『大変革』の途中にあるということを!」


 声のする方へ目を向ければ――何もない空間を引き裂いて、十人の男たちが姿を見せた。

 あの魔法は、第四位階の<空間転移(トリア)>だ。


「貴様は……ラーム=ススゲラス……ッ!?」


 ゼノさんをはじめとした戦士隊の人たちは、それぞれの得物を抜き放ち、すぐさま戦闘態勢を取った。


(あれが……帝国の大魔司教ラーム=ススゲラスか)


 ラーム=ススゲラス。

 背まで伸びたピンク色の長髪。

 身長は百九十センチほど。

 年齢はおそらくゼノさんと同じ三十代半ばぐらいだろう。


 吊り上がった眉毛・鷹のように鋭い目・冷笑を張り付けた口、なんだかとても近寄りがたい雰囲気の人だ。

 地肌の上から黒のコートを羽織り、赤のぴっちりとしたズボンを穿()いている。

 独特なセンスというかなんというか、とにかくとても目立つ服装だった。


「ラーム! 自分たちが何をしているのか、わかっているのか!? ここは既に我が王国領! 貴様等のやっていることは、紛れもない戦争行為なんだぞ!?」


「ふっ、『戦争』か……。戦士長ゼノ、貴様は――いや貴様等王国の民は、相も変わらず視座(しざ)が低いな」


 ラームがクスクスと笑えば、背後に控える九人の司祭たちも嘲笑(ちょうしょう)をあげた。


「くっ、いったい何が可笑(おか)しいというのだ!?」


「ふはは、貴様等のような異教徒の阿呆にはわかるまいよ」


 ラームはゼノさんを散々小馬鹿にした後、真剣な表情を浮かべる。


「――さて、年がら年中暇なお前たちと違って、我々はとても忙しい。特に今は(・・・・)、一分一秒の時間さえ惜しいのだ。悪いが、一瞬で終わらせてもらおう」


 ラームがパチンと指を鳴らせば、背後に控える九人の司祭たちが天に祈り始め――彼のもとに九人分の魔力が集結していった。


「さぁ、刮目(かつもく)するがいい! 第六位階! 神話の時代の大魔法を! ――<大虚の黒炎(レノ・グランデ)>ッ!」


 ラームの解き放った黒い炎の玉は、あちこちに火の粉を飛び散らせながら、ゼノさんたち戦士隊のもとへ突き進む。


「な、なんて巨大な炎だ……ッ」


「こんな大魔法、どうしようもねぇよ……」


「お、終わった……っ」


 一人また一人と腰を折る中、


「――諦めるな!」


 ゼノさんは激励の声を発した。


「俺はこれよりギフト<命魂の対価(レグ・ノクシス)>を完全解放し、あの大魔法を打ち破る!」


「で、ですが戦士長……! あれを全開にしたら、あなたの命が……っ」


「ふっ、そんなものは覚悟の上だ。――さぁ、よく聞け、これは俺の『最後の命令』だ! お前たちはこの後、何があっても生き残り、オココ村の人たちを救出せよ! いいな!?」


「「「……はぃッ!」」」


 戦士隊のみなさんが何やら真剣なお話をしている間――俺は気が気ではなかった。


(あのラームとかいう人、なんて危ないことをするんだ……っ)


『火』というものは、決して甘く見ちゃいけない。

 たとえそれが、吹けば消えるような弱々しいものであったとしても、絶対に侮ってはいけない。


 山が全焼するほどの大火(たいか)でさえ、もとを辿れば小火(ぼや)から始まるのだ。


「ギフト<命魂の対価(レグ・ノクシス)>発動! ぬ、ぅおおおおお゛お゛お゛お゛……ッ! 金剛流奥義――」


 ゼノさんが何やら大きな雄叫びをあげている中、


真影(しんえい)流・七の太刀――風影斬(ふうえいざん)


 俺はすぐさま剣を抜き放ち、烈風を発生される強力な斬撃をもって、<大虚の黒炎(レノ・グランデ)>と周囲に散った火の粉を完璧に掻き消した。


「ふぅ、危ない危ない……」


 畑や木々に燃え移りでもしたら、大変なことになるところだった。


 迅速な消化活動を終えた俺が、ゆっくり剣を鞘に納めると――何故か周囲は、しんと静まり返っていた。

■とても大切なお願い■


夢の【日間総合一位】まで、後ほんのもう少し……!

ですが、ここからの伸びが本当に難しいんです……っ。


どうかお願いします。

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