杉田議員の暴言 自民党の責任も重大だ
2020年10月5日 07時31分
弁明、謝罪したからといって済まされる話ではないだろう。杉田水脈(みお)・自民党衆院議員の「女性はうそをつく」発言だ。繰り返される杉田氏の暴言を見過ごしてきた党の無責任体質も厳しく問われる。
杉田氏は、九月二十五日に行われた自民党内閣第一部会などの合同会議で、性暴力相談事業の今後の展開について、民間委託ではなく警察が積極的に関与するよう主張。その議論の一環で「女性はいくらでもうそをつけますから」と述べたと報じられた。
会議後、記者団に「言っていない」と否定したが、下村博文政調会長から真意を説明するよう求められ、一日、自身のブログで発言を認めた上で「不快な思いをさせてしまった方にはお詫(わ)び申し上げます」と謝罪するに至った。だが撤回はせず、韓国の元慰安婦支援団体女性代表の資金流用問題を念頭に「なにごとも聖域視することなく議論すべきだと述べる中で」の言葉だったと釈明。女性蔑視の意図はなかったというが、女性の性暴力相談には往々にしてうそがあると指摘したとしか思えない。
女性が勇気を出して性暴力やセクハラを訴えると「加害者を陥れるためのうそ」とか「売名行為」と非難され「セカンドレイプ」という深刻な二次被害を受けることがある。杉田氏の発言は女性の尊厳を深く傷つけ、被害者攻撃を助長するもので断じて許されない。
性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」が議員辞職などを求めて集め始めたネット署名は十三万筆余に上っている。杉田氏には、記者会見であらためて経緯説明と誠意ある謝罪をするよう求めたい。部会での発言は自由だが、人権軽視の論議が許されるわけではない。
杉田氏は過去にも公の場で差別的言動を繰り返してきた。かつて「男女平等は反道徳の妄想」と発言したが、自民党は二〇一七年衆院選で杉田氏を比例代表中国ブロックの単独候補として擁立した。
安倍晋三前首相の意向があったとされる。「女性活躍推進」を掲げながら女性蔑視も平気な候補をなぜ担いだのか。有権者を欺く行為ではなかったか。
一八年、杉田氏が月刊誌に性的少数者は「生産性がない」などと寄稿した際、党は関係者への配慮を欠いたとの見解をまとめ杉田氏を「指導した」が、まともな検証や処分をしなかった。そのことが再びの暴言につながっている。一議員の発言とはいえ、それを放置し続けた自民党の責任は重大だ。杉田氏とともに猛省を促したい。
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