この記事は2020年9月ごろに公開を終了する予定です。
管制用語
Comply with procedural speed
Procedural speedとは、IAPチャートに示された速度制限です。
Approach | Point | Procedural Speed |
ILS Z RWY34L LOC Z RWY34L |
IHA 10.0DME | 180 kt (IAS) |
IHA 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
ILS X RWY34L | KAIHO | 180 kt (IAS) |
ALLIE | 160 kt (IAS) | |
ILS Z RWY34R LOC Z RWY34R |
ITC 10.0DME | 180 kt (IAS) |
ITC 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
ILS RWY22 LOC RWY22 |
IAD 10.0DME | 180 kt (IAS) |
IAD 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
LDA Z RWY22 LDA X RWY22 LDA W RWY22 |
IKL 8.0DME | 180 kt (IAS) |
IKL 3.0DME | 160 kt (IAS) | |
ILS Z RWY23 LOC Z RWY23 |
ITD 10.0DME | 180 kt (IAS) |
ITD 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
LDA Z RWY23 LDA X RWY23 LDA W RWY23 |
ITL 12.0DME | 180 kt (IAS) |
ITL 7.0DME | 160 kt (IAS) | |
ILS RWY16R | ITA 10.0DME | 180 kt (IAS) |
ITA 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
RNAV RWY16R | 10.2NM from THR | 170 kt (IAS) |
ILS RWY16L | IOC 10.0DME | 180 kt (IAS) |
IOC 5.0DME | 160 kt (IAS) | |
RNAV RWY16L | 9.2NM from THR | 170 kt (IAS) |
この制限はそれ以上やそれ以下ではなく、その速度ジャストで通過しなければなりません。
Reduce speed to 180 kt, comply with procedural speed. Contact Tokyo Tower 118.1.
速度を180 ktに減速し、プロシージャルスピードを守ってください。東京タワーと118.1で交信して下さい。
Procedural speedを無効にするときは「Procedural speed not required」の用語が使用されます。
後続機との間隔が近いときや、追い風が強いときなどに使用されますが、パイロットの方から制限解除をリクエストすることも可能です。
Procedural speed is not required, keep high speed.
Procedural speedは無効です。できるだけ速い速度を維持して下さい。
Route 5
いちいち誘導路を指定して指示するのは、混雑した空港では効率的ではありません。羽田空港ではA誘導路-R誘導路-S誘導路をRoute 5と名付けて使用しています。
例えばJAL機がRWY05にタクシーする場合は「RWY05, taxi via W5, Route 5.」等となります。
滑走路の運用
羽田空港にはたくさんのIAPが設定されています。ここでは離陸滑走路と、よく使用されるIAP及びその使用条件について解説します。
羽田空港の新運用については国土交通省ホームページ『羽田空港のこれから』でわかりやすく解説されてます。
使用するSID
こちらの記事に分割しました。
北風運用
離陸滑走路はRWY34RとRWY05です。概ね北行きはRWY34R、西行きはRWY05というように分けられています。
着陸滑走路はRWY34LとRWY34Rで、概ね西からは34L、北からは34Rに着陸します。
RWY34Lへの着陸
西方面からのトラフィックはXAC(大島)、AKSELもしくはAROSAから進入してきます。
通常はXAC1K ARR.-ILS X RWY34Lなど”1K”アライバルが使用され、下記のHighway Visual RWY34Rが天候等により使用出来ない場合は、XAC1A ARR.-ILS A RWY34Lなど”1A”アライバルが使用されます。
Xアプローチは浦賀水道から東京湾を通り、滑走路から6NMほどのポイントでローカライザーに会合するコースをとります。
VATSIMでどちらが使われるかは管制官の裁量次第です。
IAP | 開始点 | STAR |
ILS X RWY34L | XAC | XAC1K ARR. |
AKSEL | AKSEL1K ARR. | |
AROSA | AROSA1K ARR. | |
ILS Z RWY34L | XAC | XAC1A ARR. |
AKSEL | AKSEL1A ARR. | |
AROSA | AROSA1A ARR. |
北・東からRWY34Lに着陸する場合は以下のSTARを使用します。
IAP | 開始点 | STAR |
ILS X RWY34L | GODIN | GODIN2K ARR. |
POLIX | POLIX2K ARR. | |
ILS Z RWY34L | GODIN | GODIN2A ARR. |
POLIX | POLIX2A ARR. |
RWY34Rへの着陸
北方面・東方面からのトラフィックはGODINもしくはPOLIXから進入してきます。
CACAOからHighway Visual RWY34Rを優先的に使用する旨が公示されています。これによってILS X RWY34Lとの平行進入が可能になります。
Highway Visual RWY34RはCharted Visual Approach(CVA)とかCharted Visual Flight Procedure(CVFP)等と呼ばれるアプローチ方法として設定されているもので、普通のビジュアルアプローチとは違い、チャートに示された方法で飛行する必要があります。チャートには視認すべき目標物や高度・速度制限、使用すべきVORコースやLOCについての記載等があります。
天候等の理由でHighway Visual RWY34Rが使用されない場合はILS Z RWY34Rが使用され、ILS Z RWY34Lとの平行進入となります。
IAP | 開始点 | STAR |
Highway Visual RWY34R | GODIN | GODIN1H ARR. |
POLIX | POLIX1H ARR. | |
ILS Z RWY34R | GODIN | GODIN1C ARR. |
POLIX | POLIX1C ARR. |
西・南からHighway Visual RWY34Rを使用する場合は、XAC2H ARR.など”2H”アライバルが使用され、ILS Z RWY34Rを使用する場合は、XAC2C ARR.など”2C”アライバルが使用されます。
IAP | 開始点 | STAR |
Highway Visual RWY34R | XAC | XAC2H ARR. |
AKSEL | AKSEL2H ARR. | |
AROSA | AROSA2H ARR. | |
ILS Z RWY34R | XAC | XAC2C ARR. |
AKSEL | AKSEL2C ARR. | |
AROSA | AROSA2C ARR. |
アプローチクリアランスは以下のようになります。
Maintain 4000 until CACAO, cleared Highway Visual RWY34R approach.
CACAOまで4000 ftを維持して下さい。Highway Visual RWY34Rでの進入を許可します。
南風運用(RWY22/23着陸)
離陸滑走路はRWY16LとRWY16Rです。概ね北行きはRWY16L、西行きはRWY16Rというように分けられています。RWY16R出発機は滑走路端まで行かず、A14かA15へ地上走行します。
着陸滑走路は、概ね西・南からがRWY22、北・東からがRWY23となります。羽田は西方面から進入してくるトラフィックの方が圧倒的に多く、離陸機と干渉するRWY23は機数の少ない北からの便に割り当てられています。
その為、千葉県上空で北方面からの便と西方面からの便が交差します。
RWY22への着陸
通常XAC1B ARR.など”1B”アライバルからLDA W RWY22が使用されます。
LDAアプローチとは、滑走路端ではない場所に設置されたローカライザーの誘導電波にのって滑走路へ接近し、途中でローカライザーのコースから離脱し、着陸する方法です。
デフォルトではLDAの電波は飛んでいませんので、自力で設置するか、LDA付のシーナリーを導入する必要があります。テクノブレインのシーナリーにはLDAが含まれています。
FMSを使用出来る場合は擬似的にLDAを再現可能ですが、FMSの使用方法を熟知していない場合は避けた方が無難です。
天候が悪い場合はGODIN1N ARR.もしくはPOLIX1N ARR.からILS RWY22を使用します。LDAアプローチが使えない場合もILSアプローチをリクエストしましょう。
IAP | 開始点 | STAR |
LDA W RWY22 | XAC | XAC1B ARR. |
AKSEL | AKSEL1B ARR. | |
AROSA | AROSA1B ARR. | |
ILS RWY22 | XAC | XAC1N ARR. |
AKSEL | AKSEL1N ARR. | |
AROSA | AROSA1N ARR. |
なおLDA W RWY22の場合、騒音軽減とTCAS誤作動防止(対RWY23到着機)のため、BACONからBEASTの間は1500ft/min以下の降下率で降下するよう指示されています。
天候等によりLDA W RWY22のプロシージャを守れない場合は、パイロット側からLDA Z RWY22を要求することになっており、管制側からZアプローチを指示することはないようです。
北・東からRWY22アプローチを使用する場合は、GODIN1D ARR.もしくはPOLIX1D ARR.からLDA X RWY22、天候が悪い場合などILS RWY22を使用する場合は、GODIN1S ARR.もしくはPOLIX1S ARR.を経由します。
IAP | 開始点 | STAR |
LDA X RWY22 | GODIN | GODIN1D ARR. |
POLIX | POLIX1D ARR. | |
ILS RWY22 | GODIN | GODIN1S ARR. |
POLIX | POLIX1S ARR. |
RWY23への着陸
通常GODIN1D ARR.もしくはPOLIX1D ARR.からLDA W RWY23が使用されます。
天気が悪い場合はGODIN1S ARR.もしくはPOLIX1S ARR.を経由してILS Z RWY23が使用されます。
LDA W RWY22と同様、天候等によりLDA W RWY23のプロシージャを守れない場合は、パイロット側からLDA Z RWY23を要求するよう規定されています。
IAP | 開始点 | STAR |
LDA W RWY23 | GODIN | GODIN1D ARR. |
POLIX | POLIX1D ARR. | |
ILS Z RWY23 | GODIN | GODIN1S ARR. |
POLIX | POLIX1S ARR. |
北・東からLDAでRWY23に着陸する場合は、XAC2B ARR.など”2B”アライバルからLDA X RWY23が使用され、ILS Z RWY23を使用する場合は、XAC2N ARR.など”2N”アライバルが使用されます。
IAP | 開始点 | STAR |
LDA X RWY23 | XAC | XAC2B ARR. |
AKSEL | AKSEL2B ARR. | |
AROSA | AROSA2B ARR. | |
ILS Z RWY23 | XAC | XAC2N ARR. |
AKSEL | AKSEL2N ARR. | |
AROSA | AROSA2N ARR. |
南風運用(RWY16L/R着陸)
離陸滑走路はRWY16RとRWY22です。ROVER1Cなど数字の他にアルファベットのついてるSIDを使用する場合はRWY16R、NINOX2やLAXAS2などアルファベットのつかないSIDはRWY22というように分けられています。RWY16R出発機は滑走路端まで行かず、A14かA15へ地上走行します。
なお、南風新運用中のSIDは“1C”が使用されます。
“1A”などそれ以外のSIDを使用するとRWY22からの出発機と衝突してしまうので注意しましょう。
SID名 | 使用滑走路 |
RITLA1C・BEKLA1C・ROVER1C | RWY16R |
VAMOS2・LAXAS2・NINOX2 | RWY22 |
着陸滑走路は、概ね西・南からがRWY16L、北・東からがRWY16Rとなりますが、この通りにならないことが多々あります。
南風新運用は通常、15:00~19:00の間に限って運用されますが、管制官次第ではVATSIMのゴールデンタイムにも体験することができるかもしれません。
RWY16Lへの着陸
通常XACL・AKSELL・AROSAL ARR.からRNAV RWY16Lが使用されます。
北・東からRWY16Lアプローチを行う場合は、GODINL ARR.もしくはPOLIXL ARR.が使用されます。
天候が悪い場合はILS RWY16Lを使用します。RNAVアプローチができない場合はILSアプローチをリクエストしましょう。
IAP | 開始点 | STAR |
RNAV RWY16L ILS RWY16L |
XAC | XACL ARR. |
AKSEL | AKSELL ARR. | |
AROSA | AROSAL ARR. | |
GODIN | GODINL ARR. | |
POLIX | POLIXL ARR. |
RWY16Rへの着陸
通常GODINR ARR.もしくはPOLIXR ARR.からRNAV RWY16Rが使用されます。
西・南からRWY16Rアプローチを行う場合は、XACR・AKSELR・AROSAR ARR.が使用されます。
天気が悪い場合はILS RWY16Rが使用されます。
IAP | 開始点 | STAR |
RNAV RWY16R ILS RWY16R |
GODIN | GODINR ARR. |
POLIX | POLIXR ARR. | |
XAC | XACR ARR. | |
AKSEL | AKSELR ARR. | |
AROSA | AROSAR ARR. |
深夜運用
日本時間の23:00から翌朝6:00までの時間帯は、周辺地域への騒音の影響を軽減する為、深夜専用のIAPを使用します。VATSIMで再現するかはパイロットや管制官の好みと、交通状況次第になります。
深夜運用で飛ぶ場合は、どの方向からの進入であっても浦賀水道からアプローチします。したがって北からのアプローチはかなり遠回りになります。また、北方面からは、アライバルやアプローチだけでなく、エンルートも深夜用を使用し、DAIGOもしくはINUBOからY108を経由してMESSEまでのフライトプランで飛びます。
使用滑走路/IAP
羽田のYアプローチは、すべて深夜用です。
VOR Aアプローチを使用しているとき以外はXAC Night ARR.など“Night”アライバルが使用されます。
IAP | 開始点 | STAR |
ILS Y RWY34R ILS Y RWY34L LDA Y RWY23 ILS Y RWY23 |
XAC | XAC Night ARR. |
AKSEL | AKSEL Night ARR. | |
AROSA | AROSA Night ARR. | |
MESSE | MESSE Night ARR. | |
VOR A | XAC | XACV ARR. |
AKSEL | AKSELV ARR. | |
AROSA | AROSAV ARR. | |
MESSE | MESSEV ARR. |
羽田空港は、日によって閉鎖される滑走路が決められています。
滑走路名 | 閉鎖予定日 | 備考 |
RWY16R/34L (A滑走路) | 月/水/木/土/日曜日 23:00~06:30 |
閉鎖誘導路以外からの滑走路横断可 |
RWY04/22 (B滑走路) | 月/火/木/金/日曜日 23:30~06:00 |
閉鎖誘導路以外からの滑走路横断可 |
RWY16L/34R (C滑走路) | 火/金曜日 24:00~06:30 |
|
RWY05/23 (D滑走路) | 水曜日 23:30~06:00 土曜日 02:00~06:00 |
また、滑走路の閉鎖状況と天候によって、運用も決まっています。
滑走路 | 天候 | 進入方式 | 着陸滑走路 | 出発滑走路 |
パターン① C&D滑走路運用
A滑走路閉鎖 A&B滑走路閉鎖 |
北風強風 | ILS Y RWY34R | 34R | 05 |
北風微風 | ||||
北風悪天 | ||||
南風微風 | ||||
南風強風 | LDA Y RWY23 | 23 | 16L | |
南風悪天 | ILS Y RWY23 | |||
パターン② A&D滑走路運用
B&C滑走路閉鎖 |
北風強風 | ILS Y RWY34L | 34L | 05 |
北風微風 | ||||
北風悪天 | ||||
南風微風 | ||||
南風強風 | LDA Y RWY23 | 23 | 16R | |
南風悪天 | ILS Y RWY23 | |||
パターン③ C滑走路運用
A&D滑走路閉鎖 |
北風強風 | ILS Y RWY34R | 34R | |
北風微風 | 34R | 16L | ||
VOR A or VISUAL | 16L | |||
北風悪天 | ILS Y RWY34R | 34R | 16L | |
南風微風 | ||||
VOR A or VISUAL | 16L | |||
南風微風 | ||||
南風強風 | ||||
南風悪天 | D滑走路をオープンして①の運用へ |
使用SID
基本的にすべてOPPAR3 Dep.を使います。西行きはJYOGAトランジションからY566でLAXASへ、北行きはJYOGAトランジションで一旦JYOGAへ出て、Y371で北へ向かいます。
コメント