もちろん同盟派も存在する。国民の多くは、南北関係の脈略から韓米同盟が重要だと考える。しかし、米中対決において純粋な同盟派は少数だ。安保は米国、経済は中国に依存する構造で、ある程度米中間のバランス外交が必要だという立場が多数を占めている。過去の保守政権も一定部分で米中間のバランスを取ろうとしてきた。さらには、どちらでもない国家との連帯を強化しようという中堅国外交を提起する専門家もいて、米中間で事案別に韓国の国益を反映して立場を決めようといった考えがソロモンの知恵であるかのように提起されている。
バランス外交や中堅国外交は、果たして可能なのだろうか。韓国が脅威に直面した際に、連帯した中堅国は韓国を助けてくれるだろうか。米中間に立たされて、韓国と連帯する中堅国が果たしてあるだろうか。すぐにでも中国の強力で激しい覇権的挑戦に直面するほか、韓国よりはるかに国力の強い日本やインドもバランス外交を掲げておらず、米国との戦略連帯を強化している。米ソ冷戦の経験から見るなら、事案別に韓国の立場を決めるのも容易でない。バランス外交を横目で見つめつつ、中国はすでに韓国を米国の対中包囲網を破る最も弱いリンクと考え、今も攻略中だ。
中国がアジアを支配することは、韓国にとって本当にいいことなのか。韓国の歴史は、大国に囲まれている最悪の地政学的環境がどれほど危険であるかを物語っている。中国、日本、ロシアは共に朝鮮半島を支配しようとする野心をちらつかせていた。20世紀には、ロシアの野心により日露戦争と朝鮮戦争が勃発した。周辺の強国が地域の覇権を追求するとき、韓国にはどのようなことが起こったのかを忘れてはならない。ところが過去70年近く韓国は歴史上初めて日中露を忘れて発展し、産業化と民主化を成し遂げ、檀君(タングン、韓国の始祖)以来、最高の繁栄を謳歌(おうか)している。それは、韓米同盟と米国主導の国際秩序がもたらした地域の安定的バランスのおかげだ。大韓民国の国益は、地域のバランスを維持するところにある。米国の国益も伝統的にアジアでの地域覇権を阻止するところにある。日本とロシアを阻止し、今では中国を阻止しようと考えている。