2020-10-02

取り返しのつかない人間職場に来た

30歳過ぎたあたりで、突然気づいたんだけど

意識高い系」を見かけなくなったなと気が付く。


なんというか、野球バカ野球する側から見る側になって、オタクアニメ見ずにVtuberラジオ聞いてるし、キラキラ女子子育てマウントに移行してる

みたいな「年取っていく過程で元気がなくなっていってる」という現象は見受けられるんだけど、

相も変わらず、野球バカ野球好きだし、オタクかわいいアニメの女が好きだし、キラキラ女子はずっと誰かと何かと戦い続けているっていう根底は変わっていない。



けど、どうも大学3年生くらいに雨後のタケノコかってくらい湧いて出てた「意識高い系」がどこにもいない。

若さ特有自意識に飲み込まれている感覚も、就活を終えて年を取ると同時に消えてしまい、何か特別だと思っていた自分は超ドドド級の凡人だと気づき

クソみたいな上司に叱られながら「まあ、人生ってこんなもんだよな」とあきらめて、一般の人々に紛れていく。そんな過程イメージしていた。



んだけど、たまには諦められずに生き残ってしま人間というのもいるわけで、そういう人間たまたま話す機会があった。

田端オンラインサロンNewsPicks課金をしつづける3X歳。

誰でも知っているあの有名なHから始まる広告代理店新卒入社後3ヶ月で辞めて、弊社で5社目。

プログラミングスクールRubyを習って実務経験はなし。ポートフォリオがうんたらかんたらでマーケティングがうんたらかんたらでサービスを作って世界を変えるらしい。



「へー、なんかこういう感じの人久々に見たな。キツ」と思ったらOJT担当から「『gemって何ですか?』って質問された...」とSlackが来た。

さすがにプログラミングスクールとか派遣でもやるんじゃないのかと思ったけど、俺は何も聞かなかったことにして、なるべく一緒の案件が振られないことを願った。



そんなこんなでコロナ禍がやってきて、人々はリモートで働くことになった。彼はというと、JIRAのチケット特に割り振られることもなく、

全体のMTGでも特に何をやっているわけでもなく、Zoomでの進捗報告の場でも「本を読んでいます今日は何章まで進みました」しか言わない。

「あの人大丈夫ですか」と上司に聞いてみたら、「gitの使い方が分からんらしいので自習してもらっている。今度人事と面談して部署替えを検討する」という話だった。




なんか不憫だな。。。と思っていたら、いつの間にかslackログインしなくなっていた。定例ミーティングにも顔を出さないし、勤怠もつけていない。

人事から連絡はしたらしいが、連絡はつかなかったらしい。「3X歳なのにバックレとかないっしょw」と思っていたが、

4社とも1年続いたことが無くて、派遣で働いていた後にプログラミングスクール通ってうちに来た。という人だしな。。と思うと、何も意外性はなかったのかもしれない。



ある日、全体ミーティングで彼が退職した旨が部長から伝えられ、面接コーディングテストが追加されたという話が同時にされ、部署内で爆笑が巻き起こった。

俺はなぜか笑うことが出来なかった。



まあ、冷静に考えると痛い中途が入ってきてバイトみたいな辞め方したってだけの話だと思うんだけど、

彼が会社に来なくなってから色々と考え事をしてしまうようになった。




会話のパターンが4つくらいしかない人だった。「H堂の話」「オンラインサロンの話」「落合陽一の話」「Googleの話」

落合陽一の本は読んだことないらしいけど、「天才だ」「天才だ」とあがめて、当時の博報堂いかにヤバく、Googleいかヤバいのかを教えてくれる。主に年収の話。



率直な感想として、「コピペみたいだな」って思った。話も。人生も。

自分で語りえるものはなく、情熱をもって成し遂げることもなく、「一発逆転ストーリー」を純粋に夢見て行動を続ける彼は、まるでYoutube広告コピペみたいな人生

オンラインサロンに通い、プログラミングスクールに通い、養分として過ごした自分に気づいたときには、元H堂のプライド邪魔をしてもう抜け出せない。

彼が見ている地獄はきっとそんな感じの景色なんだろうと思う。



じゃあどうすれば良かったのかってことも考えたんだけど、たぶん彼の振る舞いはある一定の時期においてはプラスに働くこともあったんだと思う。

よかれと思ってやっていたし、それがきっと良いことだとも思っていた時期もあるんだと思う。

多分、ピュアに彼は「世界を変えられる」って信じてたんじゃないかなと思うし、アクションはクソほど誤っていたけど行動はしていた。

それが深くアイデンティティと結びついた状態でなにも成長しないとああいキメラが生まれしまう。というのが事の顛末なのではなかろうか。



言動能力は年々差が開いているなかで、年齢を積み重ねてどこかでまたクソ高い会費のオンラインサロンプログラミングスクールにまた通うのだろうかと思うと、変な声が出そうになる。

そして、現在完了進行形養分になっているのだ。この広い世界のどこかで。こんなにしんどい話があっていいのかと思うが、ある。



3X歳で突然Rubyを習い始めても、技術者になるのはかなり難しいし、隠れた才能が突然開花する! みたいな異世界転生ものみたいなことも起きえない。

きっとアイデンティティと結びついた、彼の行動を変えることはもう誰にもできない。

けど、彼を救える人間はもうどこにもいなくて、ただただ養分として奪われてゆくだけの人生が待っている。



なんというか、人生って詰むのは簡単だけど、ひたすらに長いよな。とかそんなことを考えていた。

  • gemって何ですか?

    • 絶望すると濁るんだよ。 ってえらいまつもとさんが言ってました!

  • 人生詰んだ者だけど、詰むのも結構積み重ねが要るよ

  • 誰でも知っているあの有名なHから始まる広告代理店を新卒入社 って案外凄いことだよねぇ・・・? 3年で辞めたのは、イケハヤ辺りに感化されたんだろうか。。

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