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魔力ゼロなんだが、この世界で知られている魔術理論が根本的に間違っていることに気がついた俺にはどうやら関係ないようです。 作者:北川ニ喜多
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―12― 受験

「おー、中々賑わっているな」


 プラム魔術学院に行くと、たくさんの人で賑わっていた。

 大人の人たちも門に構えて、入っていく受験生にエールを送っているが、もしかしたら中学の先生とかかもしれない。

 これだけ人がいれば、妹と顔を合わせることはなさそうだな。

 まぁ、受験の前に下手に会って驚かせるのも悪いし、会わないほうがお互いのためにもいいだろう。


 ちなみに、ここに来るのに魔導列車を利用した。

 中々快適な旅だった。




 そんなわけで校門をくぐり抜ける。


「では、受験生の皆さんは試験の前に魔力測定を行います!」


 見ると、先生が拡声器と呼ばれる魔道具を用いて指示を出していた。


 なるほど魔力測定をするのか。


 そんなわけでいくつかある列の1つに並んで順番を待つ。


「お名前は?」

「アベル・ギルバートです」

「そう、じゃあ、この魔道具の上に手をかざして」


 言われたとおり水晶の形をした魔道具に手をかざす。

 ゼロ、と表示された。


 まぁ、当然だろう。


「え、えっと……」


 ゼロの数字に動揺したのか先生が困惑した目でこちらを伺う。


「別に魔力が少ないからって、受験資格がないってルールはありませんよね」

「まぁ、そうだけど」


 そんなわけで俺は魔力測定をスルーして次の会場に向かった。


「ねぇ、あなた。冷やかしなら帰ってくれないかしら」


 ふと、真後ろから話しかけられる。


「はぁ」


 面倒そうなのに絡まれたな、と思いながら俺は振り向く。


 立っていたのはいかにも気が強そうな女だった。

 赤毛の入った髪をツインテールに纏めている。

 大きなつり目が特徴的だ。


「別に冷やかしではないのだが……」

「あなたの魔力量見たわ。ゼロって。ここは魔術師でない人間が来るとこじゃないのよ!」


 声が大きい。

 おかげで他の受験生たちがギョッとした目でこっちを見た。

 ゼロって言葉に反応したのだろう。


「人の魔力量を勝手に見るなんて失礼すぎないか?」

「話を逸さないで! あなたは今すぐ帰りなさい」


 面倒くさっ。

 付き合いきれん。


「俺が受けようが受けなかろうが、俺の勝手だろ。勝手に介入してくんな」


 俺は一蹴すると女を無視して受験会場のほうに向かった。


「では、これから受験の説明を行います! まずは対戦表をお配りしますので、それに従って会場に向かってください」


 俺は自分の対戦表を確認して、その会場に向かった。


 試験はすべて5戦行われるらしい。

 そのうち4勝すれば合格とのことだ。


 他の魔術師と戦うなんて初めての経験だ。

 だからか、少しだけ緊張していた。

 とはいえ、今日のため開発した数々の魔術を使いこなせば、なんとか合格できるだろう。

 そう俺は確信していた。



蒸気機関があるのは変かもしれないと思い魔導列車に変更してみました

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