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魔力ゼロなんだが、この世界で知られている魔術理論が根本的に間違っていることに気がついた俺にはどうやら関係ないようです。 作者:北川ニ喜多
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―10― 新しい魔術

 今まで魔術は四大元素をベースに構築されていった。


 それを科学を用いて構築していったらどうなるのか?


 早速、俺は試してみることにする。


 詠唱に必要なのは、魔力、魔法陣、詠唱、イメージの4つだ。


 体内にある魔力を外に放出することで光となる。

 その光を用いて魔法陣を形成し、魔術のトリガーとなる詠唱を行う。

 そのさい、魔法陣で補えない箇所をイメージで補完する必要がある。


 まぁ、俺の場合、肝心の魔力がないわけだが。


 しかし、その辺の魔術師なんかよりもずっと魔導書を読み込んでいる。

 魔法陣のアレンジに関しては右に出るものがいないと自称するぐらいには詳しい。



 魔術師なら魔力をもって魔法陣を描くが、俺の場合はペンと紙を用いて描く。


「ふむ、魔法陣は四大元素をベースに構築されているから、一から作り直す必要があるな」


 俺は人類の誰もがやったことがないだろう初めての挑戦に、手探りで当たっていく。


「あれ? こうして改めて見ると魔法陣って余計な情報が多いな」


 現実の物理現象を無理矢理、四大元素で解釈しようとしているせいか、余計なことに魔力を割いている気がする。


 そんな余計な情報をすべて省いていく。


「一応、完成した」


 俺は紙に書かれた魔法陣を見て、そう呟いた。

 できた魔法陣は幾何学的な図形と現代文字で構成されていた。



 俺が今回、作った魔術は物を燃やすという単純なものだ。

 物と酸素が結合し燃焼を起こすという手順通りになるよう魔法陣を描いていった。


「魔法陣を作ったからには誰かに実践してもらいたいわけだが……」


 また、妹のプロセルを頼ろうか。



 いや、1つ試してみたいことがある。


 もし本当にこの魔法陣で魔術が行えたとしたら、従来の魔法陣に比べて1万分の1以下の魔力量で済むんじゃないかと、俺は予測を立てていた。


 もし、そうだとしたら俺でも魔術を使える可能性がある。



 俺は昔、魔力がゼロと言われたが、厳密に全くないというわけではない。

 というのも人間の生命活動において魔力は必要とされているからだ。

 だからこそ、生きている限りどんな人間でも微量ながら魔力を保有している。


 だが、俺みたいな魔力ゼロといわれた人間は魔力を使おうとすると、生命維持に必要な魔力まで消費してしまうため死に至ることがある。


 だから俺は魔術を使えない。


 けど、この魔法陣を起動するのに必要な魔力ぐらいなら、俺でもなんとかなるかもしれない。



 ゴクリ、と喉を鳴らす。


 新たな可能性に期待すると共に、もし失敗したらどうしよう? という不安が入り交じる。


 下手したら命を失う可能性だってある。



 けど、好奇心が勝った。



「〈発火しろ(エンセンディド)〉!」


 瞬間、魔法陣が光り始める。

 そして魔法陣の上に置かれていた木炭がボウッと燃えた。


 成功した。


「ゴファッ」


 成功したと同時、俺は口から血を吐いた。


 生命維持に必要な魔力を失ったせいだろう。


「まだまだ改良が必要ってことか」


 血を吐いていたけど俺は笑っていた。


 初めて魔術に成功した。


 その感動に俺は打ち震えていた。



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