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魔力ゼロなんだが、この世界で知られている魔術理論が根本的に間違っていることに気がついた俺にはどうやら関係ないようです。 作者:北川ニ喜多
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―08― 空気の実験

 まず『科学の原理』に書かれていたことで最も目を引いたのは酸素と呼ばれる空気だ。


「水銀を加熱すると水銀灰が生成される。その水銀灰をさらに加熱すると酸素が発生する」


 と、本には書かれていた。


 そんなわけで貴重な水銀を調達してくる。


 それをガラス瓶に入れ、火で熱していく。

 そして発生した空気を水上置換と呼ばれる方法で集めていく。


 酸素は水に溶けない性質を持っているため、一度水を通したほうがより純度の高い酸素が手に入ると本には書かれていた。


「これが酸素か」


 書物によると酸素は燃焼に必要な空気であり、火を近づけるとその火は激しく燃えると書いてある。


 本当かどうか試してみる。


 ボッ、とマッチの火が激しくなった。


 書いていることは正しかった。


 さらに興味深いのが、この酸素と水素という空気を混ぜると水が生成されるという点だ。


 そんな馬鹿なことがあるかと俺は疑っているわけだが、ひとまず試してみる。


 そのためには、まず水素という空気を作る必要があるな。


 水素を生成するには鉄に硫酸をかければいいと書いてあった。

 硫酸をなんとか調達して実験を開始する。

 すると空気が発生した。

 それを水上置換を用いて、より純度の高い水素にしていく。



 そして水素と酸素を混ぜて、火を近づけると水が発生するらしい。

 やってみる。


 水素と酸素の入ったガラス瓶をそれぞれ近づけ、マッチの火を近づける。

 瞬間、ボッ、と大きな音を立てた。


「うわっ」


 思わず驚いた俺はマッチ棒を床に落としてしまう。

 やばっ、床に火が燃え移る。

 俺は慌てて踏んで火を消した。


 そして肝心の水の生成の方だが……


「水滴がついているな」


 実験は成功した。


 今日で俺は色んな発見ができた。


 まず、


 金属 + 酸素 → 金属灰


 これが燃焼の仕組みだ。

 本には火とは急激な酸化に伴う現象と記されている。

 火の元素なんてもんは存在しないということらしい。


 ともかくこの理論だと、金属灰が金属より重たい理由が説明できる。

 結合した酸素の分重たくなったのだ。


 そして、


 水素 + 酸素 = 水


 これは驚きだ。

 つまり水の元素も存在しないってことだよな。


 しかも空気にも酸素や水素といった具合に、様々な種類があるとわかった。

 風の元素もないってことかよ。



 火、風、水、土の4つの元素を基本とした四大元素。

 魔術師にとっては常識であり、最も重要な事実。


 それがたった今、俺の頭の中で崩れたのだった。



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