週刊金曜日 編集後記

1298号

▼「アンコンシャスバイアス」特集で掲載している太田啓子さんへのインタビュー中、「子どもが男女両方いる家庭では、親が娘と息子で態度を分けることは結構ある」という話題から、「現在でも『教育費が高いから息子に集中させる。娘までは無理』と言う人がいる」という話にもなった。
 私は姉妹なので家庭内の男女格差なく育ったが、社会人になって同世代の女性から「自分は現役で地元の公立大学しかだめと言われたのに、弟は浪人も私立もOKで東京の大学だった」とか「兄を大学に行かせるからお前は高校までと言われた」という話を聞いた。親が無自覚に、性差別構造の一部を担っていることになる。
「女の子は、やがて結婚して養ってもらえるという感覚がまだある。現実には現在すでにそうではないのに」と太田さん。子どもの未来の地平線を、性別を理由に親が狭めないでほしい。(宮本有紀)

▼介護は、突然、わが身に降りかかります。それは、介護者となるか、自らが要介護者となることで。
 今週号から12週にわたり「転ばぬ先の『介護』」として、6人によるリレーコラムが始まりました。介護情報誌『Better Care』名物編集長の野田真智子さんを第一走者に、「仕事と介護の両立」について数多くの講演を行なっている角田とよ子さん、高校時代から母親の介護を始めたフリーアナウンサーの町亞聖さんへとバトンをつないでいきます。
 折り返しでは、実母、義母、義父の介護を経験した講談師の田辺鶴瑛さん、施設選びのプロである小嶋勝利さんが力走。ラストランナーは介護保険専門紙『シルバー新報』前編集長の川名佐貴子さんで、豊富な取材経験をもとにゴールのテープを切ってくれます。
 転ばぬ先の「杖」として、いざ介護に直面したときのヒントになればと願っています。(秋山晴康)

▼グループ現代は、今から55年前に創業。記録映画『農薬禍』を世に出し、環境問題に一石を投じ、それ以来、環境以外に、教育、福祉、介護、医療、平和、人権、芸能、文化に至るまで、数多くのドキュメンタリー映画を製作し、自ら上映活動を続けてきた。設立当初、「自分たちが発信したい映像を制作できる『場』をつくろう」というスピリットで 、歩み続けてきたが、新型コロナウイルス禍という歴史的危機を機に、新たな「場」づくりを始めようとしている。「この半世紀、人々は何に向かって、どう生きてきたのか」、その歴史を振り返る手立ての一翼を一連の映像が担うことができればという思いから、歴代作品を順次有料配信していく事を決定した。レンタル視聴/1本500円(72時間視聴)、見放題/1000円(月額)※毎月作品が追加される。URL・https://vimeo.com/groupgendai(本田政昭)

▼9月4日号の「話の特集・下段倶楽部」(53ページ)において、「間違っているかも知れないが、自由劇場の『上海バンスキング』の衣裳は寛斎だったかも知れない」の記述は間違っていました。吉田日出子さんとの記憶を混同されたものです。掲載前に確認を怠った担当(私)のミスです。おわびいたします。(土井伸一郎)