キャッシュカードが手元になくても現金自動受払機(ATM)から現金を引き出せる金融機関の公式アプリを不正利用される被害が6~7月に32件あったことが1日、警察庁のまとめで明らかになった。被害額は計約1000万円に上る。警察庁は金融庁に情報を伝え、新たな手口として警戒している。
アプリは、スマートフォンにダウンロードして銀行の口座番号などの個人情報を入力して使用する。ATMに表示されるQRコードをスマホで読み取ったり暗証番号を入力したりすれば、「カードレス」で現金を引き出せる仕組みだ。
本人が知らない間に現金が引き出される被害は6月に入ってから確認されるようになった。6月は5件(被害額計約60万円)の被害があり、7月は27件(同計約1000万円)と大幅に増えた。8月は確認されていない。二つの金融機関が使われたが、警察庁は名前を明らかにしていない。
アプリを使う際に必要となる個人情報は金融機関によって異なる。ショートメールなどを送り個人情報を入力させる「フィッシング」の手口についても被害者には心当たりはないといい、個人情報が流出した経緯は判明していない。【町田徳丈】