岩手県盛岡市紺屋町に蔵を構える菊の司酒造。

専務の平井佑樹さん、28歳。

菊の司酒造は創業1772年、県内の酒蔵でも最古の老舗。

平井さんは東京の大学卒業後、家業を継ぐため戻ってきた。

16代目の蔵元となるべく現在修行中だという。

柴田光太郎アナウンサー

「これまで酒つくりに携わってきてどんなことがありましたか」

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「今度の酒つくりで7回目になるけれど、やっぱりいろんなことがあった。失敗したことももちろんたくさんあるし、でも成功したというか結果も出てきていて、チャレンジしながら酒つくりを楽しんでいきたい」

平井さんが中心となって醸造している銘柄がある。

「平井六右衛門」シリーズ(4種類ある)。

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「使っているコメや製法が違っていて、香りも味わいも全然違う」

そのうちの1種類、「盛流」をいただいた。

柴田光太郎アナウンサー

「すっきりしていますね。口の中に米の甘みというかファーっと広がって、とても美味しいです」

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「純盛岡産のお酒なんですが、蔵の裏を流れる中津川をイメージしていて、香りは穏やかめだが、すっきり辛口で、余韻は長く、楽しんでいただける酒を目指してつくっている」

蔵の歴史を受け継ぎながら、革新にも挑戦する平井さん。

しかし、日本酒業界も新型コロナによる暗い影が落ちていると言う。

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「新型コロナが流行って宴会が無くなる、そもそも飲食店に行きにくくなる状況になり、(需要が)がたっと落ちてしまって、影響はかなりある」

それでも逆境の中にあるからこそ、知恵を絞ることが大切だと話す。

そのアイデアの一つ、4月には日本酒好きに向けた利き酒専用の酒を販売した。

ユーチューブでも紹介されるなど、反響があったという。

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「500人くらいの人に参加いただいていて、そういう風に日本酒を楽しんでいただいたのは、かなり大きいかなと思う」

8月、菊の司酒造では蔵で新たな取り組みを始めた。

角打ちと呼ばれる立ち飲みでの酒の提供だ。

200円からという安価な価格で蔵の様々な銘柄を楽しむことができる。

10月1日には、「日本酒の日」に合わせて、鏡開きをして酒をふるまうなど、特別営業をするという。

中にはこの日しか飲めない特別な酒もあると言う。

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「昭和50年につくられたお酒ですね。46歳とか、そういう感じ」

フライングではあるが、今回、特別に飲ませてもらった。

柴田光太郎アナウンサー

「飲んだ後の鼻から抜ける香りが結構ある」

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「口の中で広がる香りは熟成酒ならではの香りがあるので、それを楽しんでもらいたい」

日本酒をより身近に、楽しんでもらいたい。

未来の16代目の挑戦は続く。

菊の司酒造 専務 平井佑樹さん

「酒つくりそのものをお客さんにお伝えして、それを共有して、お客さんの声を酒つくりに取り入れながら、やっていけたらいい」