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mymemineyouさん

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nakamiさんの小説

「もしも世界を好きなように操れるとしたら、お前ならどうする?」

地球の王様になれる権利を手に入れて、まず最初にしてみたいことって何だろう。僕は何か欲しいものでもあるのだろうか。今と違う何者かになるだろうか。
お金は欲しいかもしれない。便利な手下もいたほうがいい。
小説家にもなれる。ノーベル文学賞だって夢じゃない。
総理大臣になって戦争ゴッコでもするかな。それとも、ここは僕のものだと世界の中心で高らかに宣言するだろうか。
考え出すときりがない。というより、深く考えても意味がない問いだと気づいた。
「よくわかんないけど、まずはクラスの人気者にでもなるかな?」
世界中の人間を思い通りにできるのなら、お金も地位も名声も意味がない。むしろあっても邪魔なだけだ。
それなら、何でもできる子供のままでいた方がいい。面倒なことは考えないで、今を楽しめばいいだけだ。
とりあえず、僕はこの退屈な毎日を少しは愉快に変えると思う。自由で、強くて、遊び相手に困らないような、みんなの人気者として振る舞うに違いない。
ようするに、ナツミみたいになるだろう。
「あはははっ」
その答えに満足したのか、ナツミは愉快そうに笑った。

じつはコマキ、ちょっぴり魔法っぽい世界からやってきた、魔法的な何かの力を使う魔法的な何か少女なんです。
今は優しい両親とお兄ちゃんのいる日本人家庭を洗脳して、とぼけて一緒に暮らしてます。
最初は戸惑うこともあったけど、こっちの暮らしはとっても楽しいです。
みんなオシャレだし、友だちも出来たし、遊ぶの楽しいし、BLはキュンキュンだし、トイレは水洗だし寒さや飢えで倒れることもないし、もう最高って感じです。

でも、コマキには最近困ってることがあります。
それはお兄ちゃんに私が魔法的な何か少女であることがバレちゃってること。
そして、そのお兄ちゃんに魔法っぽい力をエッチな目的に利用されちゃってることです。

「私の父は漁師だった。町一番の漁師だった。でも、私が子どもの頃にマグロに食われて死んだの。だから私が代わりに海に出た。父の復讐と家族を養うために、マグロというマグロを狩った。大間のアマゾネスとは私のこと。朝から晩まで海で戦ったわ。それに私は勉強でも誰にも負けなかった。将来は教師になりたいと思っていた。けど、家は貧しいから大学なんて無理だと諦めてたの。だけど地元の人たちがそんな私を応援してくれた。私は念願の東京の大学に進むことができた。夢への第1歩が始まるはずだった。でも…私はそこで、うっかりバブルに踊らされてしまったのよ。

ある日、俺は目が覚めたら自分が超能力を使えることに気づいた。どうやら俺は、他人を自分の思いどおりに操ることができるらしい。
こんな力を手に入れたからには、することは決まっている。いろんな女とセックスだ。

○○○○○大百科さんの小説

悪の組織の人たちは、コウモリに似た不格好な生き物に生まれ変わった僕を見て、とても満足そうに笑っていた。
そして何やらもったいつけた名前を僕に付けようと頭をひねっていたけど、僕はどう見てもただのコウモリ男なので、『コウモリ男』でいいんじゃないでしょうかと、僕の方から提案した。
こうして名前も簡単に決まった。これから僕は悪の怪人『コウモリ男』として登場して、正義の味方に殺される。
それだけでいいんだ。行き場のなかった僕の人生に、これ以上ないくらい明確なピリオドを打ってくれた悪の組織の皆さんには、お礼を言いたいくらい清々しい気持ちだった。
ザコなりに、一応は武器もあるそうだ。
不揃いな牙の生えた僕の醜い口からは、超音波が出た。それは人間の脳を直接攻撃し、行動を、あるいは思考や感覚を支配できる。『超音波催眠』という技だそうだ。
とはいってもザコはザコなので、それほど強力なものではなく、せいぜい30分程度しか支配能力はない。

ドヤ顔のカプリを無視して、僕は試しに口から超音波を発してみる。
グラスの中の麦茶に波紋が生じて、氷だけが粉々に砕け散った。

「なるほど……確かにこっちの能力はそのままだ。すごい」
「でっしょー? 君、なかなか褒めてくれないから自分で言っちゃうけど、あたしって可愛いだけじゃなくて、頭も良くて気のきく優しい子ちゃんなんだよねー、てへへ」

一度は死を受け入れ、諦観してたはずの僕だけど、現状を理解して過去の経緯を思い出すにつれ、少しずつ『感情』というやつが満ちていった。
恐怖。屈辱。怒り。嫉妬。
どれも僕が今までに抱いたことのない気持ちだ。
死んで生まれ変わった僕はゾンビで、渦巻く感情もドロドロに腐ってる。たとえ見た目だけ人に戻ったとしても、僕はもうただの高校生に戻るつもりはない。
僕は悪の怪人だ。

「これから家族の大事なルールを決めたいと思います」

花純さんはイヤホンを持ったままぼんやりと僕を見つめ、優惟姉さんと綾子さんは口を開いたまま顔を合わせ、睦都美さんは食器を持ち上げようとする体勢のまま固まり、父さんも新聞の向こう側でたぶん同じような顔をしている。

「それは、家族はみんな仲良くするということです。お互いを思いやり、信頼し、会話を楽しむこと。それがこの家の一番大切なルールです。睦都美さんも家族と一緒だよ。みんなで仲良くしよう」

ぼんやりしたまま、かすかに頷く家族のみんな。
僕は安堵してコインを下げる。

「僕が手を叩いたら、みんな目を覚ます。僕が決めたルールに従って、それをいつもどおりだと思うこと。我が家は前から仲良し家族だよ。それじゃ、朝食を続けよう」

パン、と手を打ち鳴らす。

「……ありがとう」

誰にともなく、自然と感謝の言葉を言っていた。
そうして口に出してみてから、あらためてその空々しさに寒くなった。
ぐつぐつと煮える鍋。笑う家族。僕の夢見ていた幸せな光景に、心はなんだか冷えていく。

「蓮、本当にどうしたの。何か変なの入ってた?」

偽物だった。
この光景は白々しい僕の妄想で、キャストが演じているだけだ。
催眠術で暴いてきた家族の本性と、そして催眠術で芽生えた僕の本性が、この間違い探しのような笑顔に悲鳴を上げている。
とにかく今は、この空々しい家族ゴッコから早く逃げ出したい。息が詰まって死にそうだ。

――キィン!

コインはポケットの中に常備している。僕は食卓の前で軽やかな音を立てる。

「……今朝、僕が決めた家族のルールは無効にします」

ぐつぐつと湯気を立てる鍋の音しかしない。
虚ろ色になった瞳を僕に向けて、みんな緩く口を開いている。

「別に、無理して仲良くする必要はありません。みんな、それぞれの自分に戻りましょう。今朝までの僕らに。僕が間違ってました。これは……僕たちらしくない。そうだよね? みんなもそう思ってるんだよね?」

○○○○アイランドさんの小説

ひっく、ひっく、と泣くじゃくるチカ。女王はもうただの女の子で、僕の前では非力だった。
僕はそんな彼女たちとのセックスに満足を感じていた。でも、僕の魔法は僕1人のものじゃない。大事な人に捧げるものだ。
エリは、教室の『空気』だった。
そしてそれを命令したのはチカだった。

「チカ、今日から君は『空気』だ」

僕はチカのまぶたを開いて、そこに自分の目を近づける。

「見ろ。僕の目から魔法が注がれる。君の目に魔法をかける。君は『空気』だ。全身が『空気』だ。君の目から僕の魔法がビームになって飛んでいく。それは24時間、365日、いつでも君の目から発せられる。よく見て覚えろ。これが魔法だ。君の無意識に植え付ける魔法だ」

FX_MCさんの小説

「わたしに、なにをしたんですか?」
怯えるような、期待するような、潤んだ瞳でマヤはアレクを見る。
「なにをされたかは、だいたいわかってるはずだよ」
今のマヤは、胸のうちから湧いてくるアレクへの恋愛感情を持て余しているはずだ。
さっき、マヤの心臓に撃ち込んだ矢には、アレクが召喚した夜魔(コボルト)が“乗せて”あった。コボルトは色恋沙汰が好きな気のいい奴等で、今もマヤの精神にこつこつとアレクへの好意を植え付けている。
もっと強力な、淫魔(インプ)あたりを憑けてやることもできたのだが、アレクはマヤに関しては性欲で縛るようなやり方は取る気はない。あとで他の女に試して見よう、と内心思っているにしても。

――すっ
マヤは無抵抗に両手を上げた。
もちろん完全な降参ではなく、一瞬でもセアラが隙を作るのを待っているだけのはずだ。
「簡潔に答えなさい。
あなたは、フィクス君――アレクサンドル・フィクスに操られているのね」
「そうみたいです」
「あなたのうちに泊まったノエルも」
「はい」
「では、ノエルとコンビを組んでいたレジェナも?」
「そう聞いています」
「加えて、あなたに命じてわたくしを操ろうとしている――」
「はい、まあ、そうです。わたしが自分からやるって言ったんですけど」
かわいらしい声はそのままに、信じられないような言葉を口にする。
「嫌だなんて思うの最初だけですよ。すぐに幸せな気持ちになれるはずです。

ギデオンさんの小説