どうもさぼ(@ce_sabo)です。
1ヶ月ほど前に臨床研究における重要な概念、「CQ・RQ」について書きました。
まだ読んでいない方は先に↑の記事を読むとこの記事の理解が進むと思います。
是非、一読してください。
今回は臨床研究に必要なCQ・RQから更に進んだPICO・PECOについてまとめていきたいと思います。
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目次 [閉じる]
PICO・PECOとは?
定義から先にいきましょう。
表にまとめてみました。
引用一部改変.参考文献2)14
表のように、PICO・PECOは、2文字目が「I」か「E」かの違いです。
介入する研究なのか、介入しない観察研究などかによって使い分けがあるということです。
ちなみに読み方は「ピーアイシーオー」「ピーイーシーオー」または「ピコ」「「ペコ」どちらでもよいみたいです。
↑のPICO・PECOの表は確かに分かりやすいですが、もっともっと簡単にすると
「AとBを比較してどうなるのか?」
というように、1文に要約することができます。
ⅠまたはEがないと思いますが、AとBは、A(介入する)、B(介入しない)と考えればよいかと思います。
PICO・PECOを意識するとどんな効果があるか?
PECO・PICOを意識すると、どんなメリットがあるか考えてきます。
研究計画の枠組みが決まり、研究計画を立てやすくする
「臨床研究におけるCQ、RQとは?」で、説明したCQ、RQでは残念ながら研究には直結しません。
臨床研究は『CQ⇒RQ⇒PICO・PECO⇒研究計画』のような流れでCQをどんどん変化させ、磨きをかけるイメージで進めていきます。
たとえば
CQ:「下肢挙上で下肢の血流が少なくなるのではないか?」
RQ:「下肢挙上で下肢血流の指標SPPが小さくなるのではないか?」
PICO:
P:下肢挙上した患者群
I:透析中に下肢挙上
C:下肢挙上しなかった群
O:SPPは両群間で差があるか?
このような流れです。
かなり研究計画は見えてたんではないでしょうか?
このようにCQをPICO・PECOまでもってくると、あとは実際どうやってサンプリングし、比較する群を決めるのか?n数はどれくらいか?SPPの測定方法はどうやっていつ測るのか?バイアスを減らすためにどんなことができるか?統計学的解析はどの手法を使えば良いか?などより研究寄りに構造化することができます。
このことから、PICO・PECOをしっかり意識することで、研究計画が立てやすくなるといえます。
論文が読みやすくなり、時短にも繋がる
PECO・PICOを意識することで、論文を書きやすくだけではなく、論文が読みやすくなります。
なぜなら、PECO・PICOの4項目を意識することで、論文が「なにとなにを比較してどうなるのか?」を素早くとらえることができるからです。
論文から欲しい情報を探すとき、欲しい情報がありそうなタイトルを見つけて読むとします。
PICO・PECOを意識できないと、なにとなにを比較してどうなるのか?を見つけるのに時間がかかってしまいます。
自分が欲しい情報、たとえば「オンラインHDFの〇〇というフィルターの膜面積別の違いが知りたい」と思ったら、PICO・PECOのPとCに意識を集中して、方法から目を通せばいいのです。
「論文は難しい。」と思っている方は、そもそも論文はどのような構造で、成り立っているのか、なにを示しているかが曖昧になっているかもしれません。
PICO・PECOを意識し、論文が「なにとなにを比較してどうなるのか?」を読み取ることができれば、あらゆる論文は理解できると思います。(統計学的知識も必要。)
「論文読む時間がない。」と思っている方は、先入観から論文を最初から丁寧に読んでいる人がいるのではないでしょうか。
もちろん論文を精読するというのは、間違った解釈がないか、正しく情報を読み取るうえで大切です。
しかし、論文も本と一緒で、最初から最後まで読むというルールはどこにもありません。
限られた時間で欲しい情報を欲しい分だけ読みとることも、色んな論文を読むためには必要なことだと思います。
PICO・PECOにできないものもある
注意点はPICO・PECOにできないものあるということです。
アウトカムに影響を及ぼす要因や因子(E)を探す研究や(Eがない研究)や、症例報告などの記述的研究は比較する群がない研究(Cがない研究)なのでPICO・PECOに当てはめることができません。
まとめ
PICO・PECOとは、以下の通り。
引用一部改変.参考文献2)14
PICO・PECOを意識することで、
①研究計画の枠組みが決まり、研究計画を立てやすくする
②論文が読みやすくなり、時短にも繋がる
PICO・PECOを一文で表すと、
「AとBを比較してどうなるのか?」
A:介入・曝露あり、B:介入・曝露なし(比較群)
PICO・PECOに当てはめることができない研究もあるので注意。
PICO・PECOも大事ですが、正しい統計学的知識も必要です。
こちらもご覧ください。
[参考文献]
1)対馬栄輝.医療系研究論文の読み方・まとめ方.東京図書.2015.6-16
2)谷澤雅彦,柴垣有吾.透析室での臨床研究ー研究デザインと研究のまとめ方.臨床透析 Vol.29 No.4.日本メディカルセンター.2013.10-14
3)佐藤正広.臨床工学技士が知っておくべき多変量解析の基礎.統計基礎研修会テキスト.2018.47
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