どうもさぼです。
4月になりました。すっかり暖かくなってきましたね。
4月は新卒で働く方、転職して職場が変わった方、新人の指導になる方も多いのではないでしょうか。
というわけで、
今回はモニタリングの基礎中の基礎である
「透析中の静脈圧のモニタリング・アラーム対処法」を
簡単に説明していきたいと思います。
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目次 [閉じる]
静脈圧のモニタリング
静脈圧(V圧)とは
静脈圧(以下V圧)とはその名の通り、
血液回路の静脈側の圧です。
こういわれてもピンとこないと思うので、
具体的に言うと
V側の針先からVチャンバーまでの圧力です。
通常は血液ポンプ以降はポンプから血液が送り出されるので、静脈圧は陽圧になります。
Vチャンバーの上から静脈圧ラインが出て、コンソールに繋がっています。
V圧が陰圧になることもあります。
CEブロガーであるkazurockさんの記事を参考にしてください。
コンソールに表示されているV圧って本当の静脈圧を表していないんですよね。
勉強になります。
透析装置 静脈圧表示の科学 陰圧??/医療と看護と透析で時々CE
静脈圧のモニタリングの目的・必要性
V圧ってなんで大事なんでしょうか。
目的と必要性を知っておきましょう。
結論から先にいいますと、
V圧は治療を安全に行えているかどうか簡便に知ることができる。
もう少し具体的にいうと、
V圧を知ることで、シャント血管・針先・回路・クランプ・血液凝固の状態を知るうえでの指標となる。
こんな感じだと思います。
注意してておきたいのは、V圧は簡便な指標であり、何かを判断する上での判断材料でしかないということです。
CEとしてはV圧が異常値の場合、治療継続可能なのか、もしくはすぐ対処しなければならないのかを、迅速に判断し、それに対した行動をとることが重要になってきます。
どんなアラーム対処でもこの心得は大事などで覚えておいてください。
アラームの名前見ないで警報リセットなんで言語両断です。
静脈圧が上下する原因と対処法
さて、本題にはいるとします。
透析中は実にいろいろなアラームが鳴ります。
その中でも、V圧系のアラームが一番多い気がします。
なかでも、緊急度の高いものは患者さんに被害を与えてしまう恐れもあるので、
しっかり原因と対処法をしっかり理解しましょう。
V圧の正常値
アラームが鳴るのは当たり前ですが、正常ではない異常値が出たときです。
V圧には正常値というのはなく、シャント血管の状態や穿刺針、血液ポンプ速度(QB)など様々な要因によって決められます。
固定の正常値はないので、V圧のモニタリングでは、過去のデータや治療中の推移、透析条件、シャント血管の状態をみて総合的に判断します。
静脈圧が上がる原因と対処法
詳しくいうとキリがないので、思いついた分までで、頻度が多そうな順に並べます。
・患者さんがシャント肢を曲げた
穿刺部によってはシャント肢の肘を屈曲させたり、内旋・外旋・回内・回外する場合に、
V側の針先が妨げられV圧が上がる。
対処:
穿刺部位が圧迫されないような腕の位置にする
・外筒が血管内に留置されていない(緊急)
V側の外筒がしっかり血管に入っていないと、血液が血管外に漏れる、いわゆる血腫ができます。
対処:
これはれっきとした穿刺ミスなので、すぐポンプを止め、クランプをし、抜針してしっかり止血しましょう。
・V側穿刺部中枢に狭窄・閉塞・血栓・静脈弁がある
V側が狭くなったり閉塞していると圧がかかります。
対処:
狭窄・血栓などは程度によりますが、あまりにV圧が高いと再循環している恐れがあるため、穿刺部変更を検討します。
閉塞している場合も、側副路などがあれば透析可能ですが、再循環している恐れが更に高いので、穿刺部変更、最悪刺し直します。
静脈弁は外筒を少しひいたり、奥に入れたりして調整します。
<2018.5.5追記>
穿刺針が血管に正しく留置しているのに、
V圧が上がるということは中枢に狭窄・閉塞などが考えられます。
穿刺部を変えたり、針先を修正してもV圧が上昇したままとなる場合は、シャント血管になんらかのトラブルがあるので、PTAなどの治療が必要となる場合があります。
その病変部位を探すには、シャントエコーが有効です。
こちらの記事も参考にしてください。
・QBに見合った、穿刺針を使っていない
QBは穿刺針の太さにある程度依存してしまいます。
QB300とかなのに、17GをV側にするとかですね。(ありえませんが)
対処:
QBに見合った穿刺針の選択をする。
穿刺する前に透析条件をしっかり確認し、間違わないようにする(重要)
これは施設によると思いますが、基本的にA側穿刺針と同じ太さのをV側穿刺針にします。
・回路の折れ曲がり
V側の血液回路が折れていたら圧がかかりますよね。
対処:
回路の折曲がりを解除する。
・脱血時Vクランプ外し忘れ
意外によくあります。焦ります汗
対処:
ポンプを止め、V圧を見ながらなるべくゆっくりクランプを開けます。
・Vチャンバー凝固
Vチャンバーが凝固し、圧力がかかる事で起こる。
めったに起こらないが、抗凝固剤の種類や単位の注入ミスや、血液濃縮などが考えられる。
対処:
抗凝固剤の確認、再循環などの血液濃縮する原因を確認し、それに見合った対処をする。
静脈圧が下がる原因と対処法
・脱血不良
設定QBよりも血液が脱血できないときに起こります。
対処法:
針先を修正する。それでも変わらなけらば、狭窄または、外筒が血管の外にある可能性がある。
外筒が血管の外にある場合は、直ちに抜針し、止血して、再穿刺。
・ダイアライザー・Aチャンバー凝固
Vチャンバー同様、抗凝固剤の種類や単位の注入ミスや、血液濃縮などが考えられる。
ダイアライザーの凝固に関しては、生体不適合やなんらかの炎症反応(疾病など)でも起こる。
対処法:
Vチャンバーの凝固同様に、抗凝固剤の確認、再循環などの血液濃縮する原因を確認し、それに見合った対処をする。
ダイアライザーの凝固の場合は、回路全交換か、ダイアライザー変更も検討する。
・V圧ラインのフィルター詰まり
自動プライミングでよく起こる。
V圧ラインとコンソールの接続が緩いと起こる。(しっかり締めましょう)
V圧ラインのフィルターにプライミングの際に透析液などが詰まると、圧を感知できなくなる。
対処法:
V圧ラインの透析液などを戻す。それでも改善されない場合、フィルターごと交換する。
まとめ
原因についてまとめます。
対処は前述したとおりですが、原因を理解していれば、自ずと分かります。
V圧が上がる原因
・患者さんがシャント肢を曲げた
・外筒が血管内に留置されていない(緊急)
・V側穿刺部中枢に狭窄・閉塞・血栓・静脈弁がある
・QBに見合った、穿刺針を使っていない
・回路の折れ曲がり
・脱血時Vクランプ外し忘れ
・Vチャンバー凝固
V圧が下がる原因
・脱血不良
・ダイアライザー・Aチャンバー凝固
・V圧ラインのフィルター詰まり
今回はV圧のモニタリングとその対処法について書きました。
最近ではAチャンバーがある回路の場合では、動脈圧(A圧)をモニタリングできるコンソールもあります。
ちなみにA圧も基本的に陽圧で、常にV圧より高いです。
なんでA圧>V圧が成り立つのかも考えてみてください。
A圧、TMPなどの関係はCEでしたらきちんと理解できるようになりたいですね。
僕が過去に書いたTMPの記事も合わせて読んでみてください。
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