どうもさぼです。
2017年7月2日に日本血液浄化技術学会から
「透析液成分濃度測定装置の認証指針 第2版」が発表されました。
少し前にTwitterでツイートしましたが、
ここで改めてその指針についての周知と
透析液濃度測定の現状と問題点を掘り下げていこうと思います。
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透析液成分濃度測定装置の認証指針 第2版 要約
自分の言葉で要約していきます。
今までは血液検査用の測定機器で、血液検査用の校正液を使って透析液の濃度を測定していた。
透析液専用の測定機器ではないし、透析液用の校正液も使っていないので、
測定機器ごと(メーカーの違いも含む)で透析液濃度の測定値に誤差が生じることが問題となっている。
そこで日本血液浄化技術学会が検討ワーキンググループを組み、以下のような取り組みを行った。
①透析液測定用常用参照標準物質(JCCRM 300)を作成した。
②各メーカーの測定機器で①を校正液として使用し、一定の信頼性と測定システム間の測定値の互換性が確保されることを確認した。
③実際に透析施設で、現在市販されているイオン選択性電解質測定装置および血液ガス分析装置に対し、透析液成分濃度の測定に適した装置であるかどうか認証審査を行った結果、認証できると判断した。
④現在、装置変更時(パラメータ変更を含む)にともなう、手順や安全な濃度調整に関する注意喚起の文書を作成中。
⑤ ④を作成後、パラメータ変更や新規導入開始日を連絡する。
2018年1月5日更新<new>
⑥透析液成分濃度測定装置の校正パラメータの変更は、2018年2月1日より測定装置メーカによって順次行われる。
2018年2月1日より、実際に動き出すみたいですね。
透析液濃度測定の現状
次に、今までの透析液濃度測定の現状を述べていきます。
指針が出る前は問題点が多く、各学会で議論が繰り広げられていました。
議論されていた内容をまとめると以下のようになります。
①~④は現状、→で改善点または対策(実際に実施しているものも含む)を書きました。
①血液用の測定装置で透析液濃度を測定していた。(透析液専用の測定装置がない)
→血液でも透析液でも精確に測定できる装置を調べる必要がある。
②校正液も血液用を使っていた。
→透析液測定用常用参照標準物質(JCCRM 300)を作成。
③メーカー・機種により、測定値がバラバラ
→各装置において認証試験を行う。
④濃度測定の管理が施設による場合が多く、管理指針などもない。
→現在進行形で作成中。
ワークショップの抄録などをみて、おおまかにまとめてみました。
恥ずかしながらこの指針を知るまではこの現状を把握できていませんでした。
この記事を機会に是非、広まって欲しいです。
問題点
現状をみていくと問題点が浮き彫りになってくると思います。
問題点はずばり、、、
現状①~④により
測定値がバラつき、設定した透析液濃度ではない濃度で透析を行う恐れがある。
ということに尽きると思います。
透析液を直接体内に入れるオンラインHDFなどはもちろんのこと、
透析液濃度が異常に高かったり、低かったりするとNaなら血圧に、Kなら心臓に、Caなら骨代謝に関わってきます。
このように安定した透析を提供するためには透析液濃度を精確に測定し、管理することはかなり重要なのです。
測定誤差
問題点に加えて気にして欲しいのが、「測定誤差」についてです。
僕が調べて、予想できる測定誤差を挙げていきます。
①測定機器・メーカー
②サンプル場所
③測定する時間・タイミング
④供給装置によるもの
供給装置メーカーにより透析液を希釈する方式に違いがある。
⑤透析液粉末(メーカーにより粉末の形状?溶けやすさなど?)
⑥配管の構造(供給装置とコンソールの位置関係)
⑦コンソールの数(多ければ多いほど濃度が安定しないのでは?)
※測定誤差については文献が少なく、推測段階であるので参考までにお願いします。
付録:認証された透析液成分濃度測定装置と認証項目
現時点で認証されている装置と認証項目は以下の通りです。
日本血液浄化技術学会のHPにもありますが、一応載せておきます。
各施設の透析液濃度測定装置が該当するか確認してみてください。
引用:透析液成分濃度測定装置認証委員会.日本血液浄化技術学会HP
以上となります。
今回は「透析液濃度測定の現状と問題点」を述べました。
今年からは日本血液浄化技術学会が実際に動き出すので、更新情報がないかたまにHPを確認するべきだと思います。
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