戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会(第4回)議事要旨
1.日時
平成21年10月8日(木)14:00~16:00
2.場所
防衛省A棟11階 第1省議室
3.出席者
《有識者》
今清水委員、森本委員、安江委員
《(社)日本航空宇宙工業会》
宮部常務理事、三菱重工業(株)浜田航空機技術部長、(株)IHI識名防衛システム事業部副事業部長、三菱電機(株)黒川管制システム第三部長
《防衛省》
岩井審議官(座長)、秋山技術監、齋藤航空機課長、室伏航空機課先任部員、外園技術計画官、航空幕僚監部福井装備部長、吉田技術部長、井上装備課長、安川技術課長
《オブザーバー》
陸上幕僚監部装備部 服部航空機課長、海上幕僚監部装備部 石田航空機課航空機班長、経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課 武尾課長補佐
4.議題
- (1)戦闘機の生産中断により喪失が懸念される技術・技能
- (2)その他
5.議事概要
(社)日本航空宇宙工業会から戦闘機生産の中断により喪失が懸念される技術・技能について資料1に基づいて、アビオニクスの生産技術基盤の概況について資料2に基づいて説明。事務局から今後の検討の進め方について資料3に基づき説明・了承。
《主要な議論内容》
■喪失が懸念される技術・技能について
○ 資料1では、機体のシステムインテグレーション技術の維持の可否に関する評価が△となっている。これは、ライセンス国産などの生産を継続していれば当該技術は維持できるものの、実証機等の研究事業では維持できないということか。
○ 上記の点については、実証機では部隊における運用情報のフィードバックが得られないため、当該技術の向上が図れないという観点で△とした。当該技術の向上には、開発のみならず、実飛行ないしはフライトテストによる運用情報のフィードバックが必要であると考えている。
○ 資料1における各技術の現状については、機体は第5世代機を念頭において記述されているのに対し、エンジンは現状を、レーダーは国内における技術水準を念頭においている。このため、機体・エンジン・アビオニクスで評価の基準がまちまち。また、今後それらの技術を単純に維持すればよいのか、あるいはより先進的な技術を求める必要があるのかについての議論が必要ではないか。
○ 資料1における維持の可否については、履行中等の事業のみで評価されているが、生産中止による影響を一般的な研究開発や能力向上などで局限することが可能かを検討することも必要ではないか。また、それが如何なる研究開発等であるかについても検討が必要ではないか。
○ 資料には「喪失が懸念される技術・技能」とあるが、説明を聞いていると、技術・技能が完全に無くなるのではなく、今まで築いてきた技術・技能のレベルが相対的に低下するということではないか。また、維持の可否については、例えば、何もしない、能力向上、研究・開発、新しいウェポンシステムの導入といった複数のクライテリアを導入すれば、今後の方針が見えるのではないか。
○ 上記の点については、装備品メーカーの中には防衛事業から撤退を表明している企業もあり、そのような観点からは「喪失」といえる。
○ 「喪失」という言葉を使うか、クライテリアをどのようにするかについては事務局で検討したい。また、機体・エンジン・アビオニクスで、評価や前提となる考え方に差違があるため、今後、事務局において今回提示された技術・技能に関するヒアリングを行い、再度整理したい。
○ 空自の運用支援に関する影響については明確にする必要がある。ただし、それのみに焦点を当てているのではなく、将来の戦闘機の開発等の防衛力の整備に与える影響といった観点もあるのではないか。それぞれの観点で問題が同じであっても対策は異なり、評価も異なるかもしれない。この点をよく理解した上で整理することが重要。
○ 今回の分析は、戦闘機に必要な技術が明確となり有益。我が国が培ってきた技術の中には、非開示技術であるが故に、独自に開発してきたものもある。整理する上で、その技術が開示ないしは非開示の傾向にあるのかといった観点も重要。また、今回の調査では、戦闘機を支える全てのベンダーが対象とされていない点に留意しなければいけない。
■アビオニクスの生産技術基盤の概況について
○ 製造中止による問題は、我が国に限らず、米国にも同様に発生するのではないか。米国ではどのように対応しているのか。
○ 上記の点については、米国では、当該部品に対する能力向上を実施した上で、製造中止部品と置き換えている。
○ ライセンサーによる技術の非開示が、部品製造中止に対する我が国における対応をより困難なものとしているのか。
○ 上記の点については、従来であれば、ライセンサー側において製造中止部品対策を講じるケースがあったが、今後はブラックボックス化の更なる進展によって、これまで実施できていた対策の検討すら困難なものとなると認識している。
○ アビオニクスについては換装の頻度が高く、結果的に生産技術基盤が維持されているといえるのか。
○ 上記の点については、我が国において換装を自由に行えるF-2のような戦闘機であれば、装備品の独自開発が可能であり、結果的に基盤維持に繋がっているといえる。
- 防衛省の取組