ビートたけしのTVタックル「ロリコン・暴力 アニメ規制は必要か?」の批評
2014/9/9 公開

テレビ朝日系で2014年9月1日に放送された「ビートたけしのTVタックル」でなにやらアニメの表現規制について特集しているようだったので見てみました。
しかしこれがあまりにも酷い内容だったので、ここに批評したいと思います。
(放送から1週間は立ってるけど書くのが遅いんです許して)
今回の放送は「ロリコン・暴力 アニメ規制は必要か?」と題して、女子小学生監禁事件の容疑者が部屋にアニメのポスターを貼っていたという事例を切り口に、
アニメの表現について議論していくという内容でした。
番組では最初に「魔法少女リリカルなのは」を紹介。劇場版1st、2ndの映像の中から叩きやすそうなサービスカットを抜き出し、低俗なものを嘲笑するような口調のナレーションが始まります。

↑(ナレーション)「変身シーンでは、ちょっとエッチに変身!」

↑(ナレーション)「そして戦いの後には、小学生たちの入浴シーンも」
ナレーションでは「小学生たち」と言ってますが、ヴィータは年齢不詳で学生ではないってところは突っ込んじゃいけないんでしょうか?
次に、「こどものじかん」を紹介。
小学生というワードを強調し、いかにも害があるように紹介しています。

↑(ナレーション)「小学生の女の子が、あの手この手で先生を誘惑するお色気コメディー!」

なぜか「こどものじかん」については、原作漫画のカットのみが紹介され、アニメの映像は一切流れません。
アニメの表現に関する特集なのに、漫画を紹介するのは違うんじゃないですかね?
続いて、「魔法少女まどか☆マギカ」「進撃の巨人」を紹介しています。
どちらも残虐な描写があることを紹介しています。
アニメの性的表現、残虐な表現の例を紹介した後、犯罪心理学者の出口保行教授の意見として、アニメ、漫画に描いてある行為を真似て、犯罪に走ってしまう場合があると言っています。

この時点で番組は出口教授の発言を借りて「アニメ好き=犯罪を起こす」と断定していて、
アニメを規制する方向に持って行きたいという番組の意図が見えます。
ここでスタジオに移り、アニメ表現の規制派と規制反対派に分かれて議論が行われます。
規制派はは女児殺害事件の犯人が、女児に暴行を加える漫画を持っていたという例をあげ、規制すべきと主張。
それに対し反対派はアニメ、漫画と事件との関連を否定。アニメ、漫画好きが皆犯罪を犯す訳ではないと反論。
数分の討論の後、スタジオ内で待機していた「美少女アニメオタクの皆さん」が紹介されます。

↑どんな紹介だよ。
彼らは犯罪とアニメとの関連を否定するも、ミッツ・マングローブなど出演者の質問に対しロリータの趣味があること、また夢の中で犯罪を犯すことがあると語り、自分から叩かれに行ってます。
続いて、アニメオタクの1日に密着という規制の議論との関連性が見えないコーナー
に移ります。
3人のアニオタが、大阪・日本橋で遊ぶ様子が紹介されますが…

3人のアニオタ達。彼女が居たことがないことを面白おかしく紹介されていますが、
番組スタッフから見ると「彼女のいない人間なんて笑っちまうわwwww」みたいな認識なんですかね?酷いもんです。


彼らは御坂美琴っぽいフィギュアを満面の笑みで嫁宣言し、カメラの前で嫁(古手梨花のフィギュア?)にケーキを食べさせています。
こういう嫁宣言とかは2chとかではよく見ますよね。でもそのノリは現実にはマッチしないと思うんです。
私もアニオタの友達は居ますが、現実で嫁宣言をしたりフィギュアにケーキをお供えしたりする奴は居ません。
こういう違和感から、こいつらのヤラセっぽさが半端じゃ無いですがそこんところどうなんですかね?実際にやってる人いるのかな?
その後もフィギュアの話や自衛隊募集のポスターに萌え絵が使われているなど、どうでもいい話が続きました。
途中就職に関する話題になり、番組レギュラーの阿川佐和子が、アニオタゲストの野間口さんに働くことに関心があるか尋ねるやり取りがあったのですが、あまりにも衝撃的でした。

↑大学生の野間口さん(仮名)。艦これを熱く語り目立っていた。比叡がお好きの模様。
阿川「就職は決まってるんですか?」
野間口「決まってます決まってます」
阿川「仕事をするとか社会に出るってことは別に自分の中では…抵抗は無いというか」
野間口「無いです。好きな仕事なんで」
阿川さんは今日の収録を引き篭もりニート特集か何かと勘違いしたんですかね?
もしそうではなく、一般人のアニオタに対する認識がこんなものだとしたら、とても悲しいです。
番組では表題になっている規制の要否については結論を出さず、ただ駄弁っただけで終わりました。
真面目に議論しても詰まらないんでしょうね、バラエティ番組だから。
ちなみにこの放送後、TVタックルに殺人予告が発生がするほどの反響があったようで、不快感を抱いた方は多かったようです。
私が思うに、確かにアニメ(特に深夜)の表現は過激です。
ただ、アニメだけがこうして槍玉に挙げられているのが不思議でなりません。
セックスを映してる昼ドラとか人がぐちゃぐちゃになるグロ映画が叩かれずにアニメだけ叩かれるのは納得がいきません。
番組では小学生のエッチなシーンを描いたアニメがが女子児童に対する犯罪を引き起こす、といった論調ですが、
なら18歳以上のエッチなシーンは大人の女性に対する犯罪を引き起こしかねないですよね?
なぜ児童に対する犯罪だけが危険視されているのか疑問です。
大人に対する性犯罪も児童に対する性犯罪も犯罪でしょ?その罪の重さに違いはないはずなんですがね…。
また番組で規制反対派の岡田斗司夫は、「アニメと犯罪の関係を示す統計が無いにも関わらず、1件2件のアニメオタクの犯罪をピックアップして規制すべきと主張するのはおかしい」と主張します。
統計が無く、規制派も規制反対派も感情論や偏見を多分に含んだ討論しか出来ないことが、この問題のの一番難しい点なんじゃないかと思いました。
規制派は皆、色々理屈をつけて説明してますけど、「なんか気持ち悪いから規制する」っていう感情が第一にあるんでしょうね。
ごちゃごちゃと書きましたが、これからもそれなりに自由で面白いアニメが見られればいいなと思います。