今回はアイラモルト、カリラのディスティラーズエディションを飲んでみます。

モスカテル樽フィニッシュされた12年もの

cal_09_ゲール語で「アイラ島の海峡」という意味を持つカリラは、その名の通り、アイラ島に隣接するジュラ島の間にある海峡に蒸溜所が立地しています。

そんなカリラの原酒は、シングルモルトだけではなく、ジョニーウォーカーのキーモルトとしても使われ、そのほかのブレンデッドウイスキーにも使われています。
そのため、年間6000kLを超える生産を行う大規模な蒸溜所となっています。

しかし、2002年になるまでシングルモルトとしての販売はされておらず、それ以前の知名度は低かったのです。

今回採り上げるディスティラーズエディションは、ここ数年連続で限定販売されるボトルになります。

熟成期間は12年ですが、最後の1年をシェリー酒の一つモスカテルの樽で熟成、フィニッシュさせることが特徴となっています。

私が手に入れたのは、2001年蒸溜、2013年ボトリングされたものになります(年によって味が変わるのか?)。

レーズンを感じつつパンチの効いた香りと味

グラスからの香り、液色

アイラモルトらしい正露丸の香りと共に、ラムレーズンの香りがともに得られます。
液色は少し淡い琥珀色です。

ストレート

正露丸、灰、海藻が入り交じったスモーキーさが広がり、奥からレーズンが感じ取れます。
味わいは、アルコールからの辛みが少々強めで、その後は酸味が一気に広がります。
かなりガツンとくる味で、ある程度飲み慣れてないときついでしょう。

ロック

正露丸の香りが目立つようになり、スモーキーさが薄れた分、モスカテル樽からのレーズンの香りが目立ってきます。その後はシナモンや黒こしょうのスパイシーな香りがついてきます。

味わいは、多少の辛みがあるものの、酸味が表立つようになり、奥からはほのかな甘みも出てきます。

ハイボール

正露丸の香りが強く、スモーキーさの後にバニラ、青リンゴなどのバーボン樽由来の香りが続きます。
レーズンの香りは奥に潜みます。

味わいは、苦みが前に出た後、軽く酸味を得られます。
あまりハイボールでスッキリ飲める印象ではありません。

まとめ

アイラモルトらしさは健在で、モスカテル樽でフィニッシュすることでのレーズンらしさは感じられますが、シェリー樽原酒を使うボウモア12年と比べるととげとげしさ、スパイシーさが強く感じられます。

加水が進むほどモスカテル樽らしさが影を潜め、苦みが強くなって嫌気が目立つようになります。
ロックで飲む方が楽しめるでしょう。

700mL、アルコール度数43度、価格は7000円ほど。
値段が張る上に、年を指定すると尚更入手が難しいですが、カリラのスパイシーさとはちょっと違った香りを楽しみたいのであれば、買ってみる価値はあるかと思います。

<個人的評価>

  • 香り A: 正露丸を思わせるピート、シナモンや黒こしょうの香りにレーズンが加わる。
  • 味わい C: ストレートでは辛みが強いが、ロックで酸味と甘みがバランス良くなって楽しめる。
  • 総評 B: ボウモアとは方向の異なるシェリー感のあるウイスキーとしては面白い。