「創作」と「光」は似ている/作家・川上未映子さんPR
真夜中はなぜ、こんなにもきれいなんだろうと思う。
そんな印象的な一節から始まるのが、2011年に出版された作家・川上未映子さんの小説『すべて真夜中の恋人たち』。
08年に『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞して以来、作品だけでなく、オピニオンリーダーとしても多くの人を魅了し続けている彼女に、「光とともに過ごす日常」について話を聞いた。
作家・川上未映子にとっての「光」とは
私は10年近く前に、夜の光にすごくとらわれた時期がありました。夜には光しかない。それにすごく魅了されて一本の小説を書きました。光は調べれば調べるほど不思議な存在です。小説を書くにあたっては、量子力学の先生に光についてのお話を伺いました。色は、物に当たって反射した光線が、その波長の違いで、視覚によって区別されて感じとられるものだといいます。光より速いものはないですし、私たちがモノを見ることができるのは光があるからなんですね。
「存在」と「光」は切り離せません。電気の光も「光子」が常に降り注いでいる。光が動いていて、私たちが手を動かすと風のようなものを感じますが、それも、私たちが光の粒子に触れているということ。私たちの目には見えないものがたくさんあって、その中心にあるのが光なんです。
夜、タクシーの窓から街の景色を見ていると、本当に光が流れるように移動しているんですよ。夜であればどこでも光は美しいですけれど、特に、四谷から広い交差点を見た時に、目線とそんなに違わない高さで、光が動脈のように動いていたことが印象的でした。光のあり方、つかみどころのなさ、光の存在自体が気になったんです。ただ、自分の興味や調べたことをそのまま書いては物語になりません。そうした光のつかみどころのなさみたいなもの、光のあり方みたいなもの、私たちが見ているものはすべて残り物であるということをテーマにし、校閲者を主人公にしました。
校閲という仕事は物語を読んではいけないんですね。間違いを見つめるというすごく矛盾した存在です。そして、校閲者がどんなに調べても間違いは本の中に必ず出てくる。でもその間違いは、見つけた時に現れる。それは、量子力学的な光のあり方とパラレルになっています。そうした構成も含めて、『すべて真夜中の恋人たち』は書いていて楽しかった作品です。
目を酷使する小説家という職業だけに、普段からケアを怠らない
パソコンやスマートフォンの画面の光量は低く設定しています。自宅のリビングルームの窓ガラスには紫外線防止のフィルムを貼っています。気兼ねせずに光を浴びられるようにしたいので。
私はすごく視力が悪く、コンタクトレンズの使用歴は20年くらいになります。その間、酸素透過性の高いものにアップデートしたり、眼科に行って目の調子を診てもらったり。目薬は何種類かを用意して、仕事中はその時の目の状態に応じて差すようにしています。ドライアイまではいってないと思うのですが、疲れている時や睡眠不足の時は目が乾きやすくなります。なので、目の調子で自分の体調を知ることもあります。すごく調子のいい時はよく見えるんですよ。疲れは目に出るなと思います。
最近の変化といえば、まぶしさを強く感じるようになりました。特に、太陽の光が気になる時と気にならない時があるんです。例えば、屋外で撮影をする時や何かを見つめないといけない時にまぶしさを感じます。
あと、子育てをしていると、子どもを寝かしつけた後、暗がりの中でどうしてもスマートフォンで仕事のチェックをしなければならない時があります。暗い所で小さな画面を見つめると、目に突き刺さるような感覚になるので困りますね。目も冴えてしまいますし。対策としては、夜はお手洗いに行く時も電気をつけず、暗い中で移動するようにしています。
サングラスをかけるのは、「もったいない」と感じる
日中は光がきれいなんです。植物のグリーンに反射しているのを見ると、ポエジーがあるなと思います。私は詩も書くんですが、特に詩が降りてくる瞬間って、すごく光と似ているんですよ。詩は“与えられるもの”であって、人間が作り出す光とは違う。詩はどこからかやってくる光という存在に近いんです。創作と光は、すごく親和性が高いと思います。私は光を見ていたい。だから、サングラスをかけることには、少し躊躇(ちゅうちょ)する時があります。
私と同じように、多くの芸術家が光を追いかけているのではないかと思います。光は当たり前のように存在していますが、少し角度を変えて見た時に、光の持っている豊かさや考えさせる力など、いろいろなテーマが詰まっているように感じます。
「光」と聞いて、私が最初に思ったことは、「恩恵」そのものと言いますか……。光は人間が生きていく上でかけがえのない要素ですが、そういうイマジナリーなものとしても、私たちが生きていく物語に欠かせません。どんなに大きな悲しみやつらさを扱っている物語でも、そこには必ず「光」があり、光と影の関係は切り離せません。
光をどのようにとらえるかに一生を捧げる画家がいたり、光をどのように再現するか試行錯誤している音楽家がいたり……。小説家もまた、それに従事しているのかなと思います。
(文・坂口さゆり 撮影・山田秀隆)
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川上未映子(かわかみ・みえこ)
小説家、詩人。1976年大阪府生まれ。2007年、小説第1作『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が刊行されて以来、数々の作品を手がける。08年、『乳と卵』(文春文庫)で第138回芥川賞を受賞。09年詩集『先端で、さすわさされるわそらええわ』(青土社)で中原中也賞を受賞。10年映画「パンドラの匣」でキネマ旬報新人女優賞を受賞。小説『ヘヴン』(講談社)で第60回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。13年『水瓶』(青土社)で第43回高見順賞、『愛の夢とか』(講談社)で第49回谷崎潤一郎賞受賞、16年『あこがれ』(新潮社)で第1回渡辺淳一文学賞を受賞。19年、最新刊『夏物語』(文藝春秋)で第73回毎日出版文化賞受賞。その他、著書多数。
世界初※1 光をあやつる※2
調光機能付きコンタクトレンズが登場
目の健康を第一に考え使い捨てコンタクトレンズを世に送り出してきた「アキュビュー®」に、目に入る光の量を自動で調節するコンタクトレンズ「アキュビュー® オアシス® トランジションズ スマート調光™」が登場!通勤・通学中の朝の光、パソコンやスマホの画面、夜間の車のヘッドライト――。様々なシーンで光にさらされている私たちは、1日を通して知らない間にストレスを感じています。そんな光の影響を軽減するために、調光という技術のもと発想されたのがこのコンタクトレンズ。光の量に応じてレンズの色がスムーズに変化し、目に入る光の量を自動で調節します。レンズの色が変化しても、視界が暗くなることはなく見え方は自然。まずは2週間、違いを感じてみませんか。
アキュビュー®オアシス®トランジションズ スマート調光™
※コンタクトレンズは高度管理医療機器です。必ず眼科医にご相談のうえ、検査・処方を受けてお求めください
※ご使用前に必ず添付文書をよく読み、取り扱い方法を守り、正しく使用してください
遠くまでくっきり、ハッキリ!
※画像はイメージです
左:通常の状態 右:光が調節された状態
日常の様々な光に対応。一日中、光のストレスに負けない快適さへ。電灯の光や運転時の対向車のヘッドライトなど、昼夜・屋内外どのような場面でも光を調節します。また、レンズの色が変化しても、瞳が茶色や黒色の場合は、外観上の印象はほとんど変わりません。
販売名:アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光
承認番号:30100BZX00095000
®登録商標 ©J&JKK 2019
※1Johnson & Johnson, Inc. は光を調節する本タイプのコンタクトレンズを世界で初めて上市しました。
※2光に応じて眼に入る光の量を自動で調節するコンタクトレンズ。
※装用感、見え方には個人差があります。
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー