こいけ まこと
小池 誠
年齢 56才
弁理士登録番号 第20464号
主な経歴
昭和61年 東京大学工学部合成化学科卒業
平成3年 米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校博士(化学)
平成8年 弁理士登録(登録番号10926)
平成23年 弁理士登録抹消
平成27年 弁理士再登録(登録番号20464)、マイクロ特許事務所
日本弁理士会等役員暦
平成28年~平成30年 日本弁理士会関東支部 幹事
平成31年~現在 日本弁理士会 常議員
令和2年~現在 日本弁理士共同組合 総代
日本弁理士会委員歴
平成28年~平成31年 日本弁理士会関東支部海外支援委員会
平成29年~現在 日本弁理士会中央知的財産研究所運営委員
平成29年~現在 日本弁理士会広報センター会誌編集部編集委員
平成31年~現在 日本弁理士会関東会相談室運営委員会運営委員
令和2年~現在 日本弁理士会知的財産支援センター支援委員
その他
令和元年~現在 日本知的財産仲裁センター調停人・仲裁人・判定人候補者
所属学会
日本工業所有権法学会、デザインと法協会、日本被害者学会、電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会、アジア太平洋機械翻訳協会、日本化学会、日本生理学会、日本比較生理生化学会、日本神経回路学会、日本神経科学学会、日本社会精神医学会
副会長立候補にあたって
目次
1 副会長の職責
2 常議員から副会長
(1) 議決機関と執行機関
(2) 立候補の契機
3 弁理士再登録
(1) 米国特許の発見
(2) マイクロ波聴覚効果などの研究及び発表
4 日本弁理士会の会派
(1) 無会派
(2) 会派の意義
5 ウィズコロナ時代の日本弁理士会
(1) 研修
(2) 相談室
6 国際知財司法シンポジウム
7 地域会
8 弁理士報酬額表復活
(1) 序
(2) 課題の特定
(3) 課題の分析
(4) 課題の解決
9 まとめ
1 副会長の職責
令和3年度役員定時選挙立候補届、選挙公報資料届出書などを作成している時点(令和2年9月上旬)において、令和3年度日本弁理士会会長(以下、会長という)が誰になるかは当然、決まっていないし、誰が会長に立候補するかということも公表されていません。
一方、副会長の職務は会長を補佐して会務を執行する旨が弁理士会会則に定められているところ、誰が次期会長になるかを問わず、副会長としては副会長の職務を遂行し、全力で会長を補佐いたしますし、当然、会長が定める方針に従うことになります。
とはいっても、日本弁理士会の今後の発展について私なりに考えることがあるので、以下、これらをまとめます。
2 常議員から副会長
(1)議決機関と執行機関
日本弁理士会の機関は議決機関と執行機関に大別されます。ここで、総会及び常議員会が議決機関であるのに対して、センター、委員会、ワーキンググループなどは執行機関になります。
日本弁理士会は私的自治団体ですが、私的自治の根幹はルールの制定になります。ここで、議決機関がルールを制定する権限を分掌しています。総会が日本弁理士会の最高意思決定機関であり、会員一人が一票を投じるという直接民主制を採用しています。常議員会は常議員及び外部常議員で構成されており、総会で審議する議案について、事前に審議する権限があります。
(2)立候補の契機
令和元年度及び令和2年度は常議員を拝命していまして、これに伴って、常議員会及びその後に開催される総会で執行部が提案した議案を審議いたしました。議案の詳細をあれやこれや検討しているうちに、提出された議案を審議するより、議案を提出する側になって、日本弁理士会の発展に直接、貢献できればと考えるようになりました。議案を提出する権限があるのは、会長、副会長からなる執行部ですから、今回、副会長に立候補するに至りました。
換言すれば、議決機関から執行機関に移動を希望しているということになります。
3 弁理士再登録
私は一度、弁理士登録を抹消し、再登録をしていますが、この点について、気になる会員がいるかもしれないので、弁理士登録を抹消していた時代のことを補足いたします。
(1)米国特許の発見
弁理士登録を抹消する前のある日、米国特許6470214号、米国特許3951134号などを偶然に発見して人生が変わりました。今となっては正確な日は覚えていないのですが、平成20年(2008年)、平成21年(2009年)の頃のことです。
米国特許6470214号は、人間の頭部に電波を照射して、頭部に直接、音声を伝える通信方式を開示しています。特許権者は米国空軍ですから、軍事無線通信について機密を解除しているのです。この米国特許は不可能と直感したのですが、念のため、通信方式の原理、即ち、電波が聞こえる現象について調査したところ、マイクロ波聴覚効果という物理現象を発見いたしました。
要するに、電波は聞こえないという社会常識がありますが、実はこの社会常識が間違っており、マイクロ波は一定の条件で音として聴こえるのです。簡単に述べると、頭部に照射したマイクロ波が音波に変換し、この音波が頭部組織を伝搬し、内耳の蝸牛に到達し、骨伝導で聞こえます。大多数は、マイクロ波が音波に変換する原理、その条件などを知らないだけに過ぎないのです。
ちなみに、マイクロ波が音波に変換する原理は水の熱膨張であり、この音波は専門用語で熱弾性波に分類されます。マイクロ波が連続波のときには熱弾性波は発生せず、音として聞こえないのに対して、マイクロ波がパルス波のときには水の熱膨張により熱弾性波が発生して、音として聞こえます。
熱弾性波の発生は、マイクロ波パルスだけでなく、光パルスでも観察されます。太陽や照明器具が放射する可視光は聞こえませんが、雷では雷光という光パルスを見ることができ、雷鳴という音を聞くこともできます。可視光が連続波のときには熱弾性波が発生しませんが、雷では巨大な電流が空気を急激に加熱することに伴って、空気が急激に熱膨張して、熱弾性波、即ち、音が発生します。
マイクロ波聴覚効果、熱弾性波という物理現象が分かれば、米国空軍特許で開示された通信方式が物理法則に違反しないことは明らかであり、米国特許法101条に抵触しないことも明らかということになります。
米国特許3951134号は対人レーダーに関し、レーダーの基本的な機能として、人間が移動していても、自動的に追尾することができます。
要するに、マイクロ波聴覚効果を応用した無線通信と対人レーダーを組み合わせたときには、人間の頭部にマイクロ波を照射して、強制的に音声を聞かせることができるということになります。マイクロ波は携帯電話にも使われているのですが、壁や屋根を透過することができます。人間が屋外から屋内に移動しても、対人レーダーが追尾して、マイクロ波が壁や屋根を透過して、頭部に直接、音声送信を継続できるということになります。
スマホのような製品には千件以上の特許が用いられていますが、米国空軍特許に開示されている無線通信も同様であり、製品としては多数の特許が用いられています。
(2)マイクロ波聴覚効果などの研究及び発表
弁理士登録を抹消していた時代に、マイクロ波聴覚効果を無線通信に応用するというテーマについて研究開発していました。弁理士業務をすることなく、このような研究に没頭していたのですが、弁理士業務をしない以上、毎月の登録費を支払うこともないと考えていました。
ちなみに、マイクロ波聴覚効果やマイクロ波聴覚効果を応用した無線通信などの研究成果について、電子情報通信学会、情報処理学会、日本化学会、日本生理学会などで発表しています。令和2年9月1日の時点において、マイクロ波聴覚効果に関連する学会発表は既に30件を超えています。
4 日本弁理士会の会派
(1)無会派
日本弁理士会には複数の会派があるのですが、最近は会派に所属しない会員も増えており、私もその一人になります。弁理士を再登録したときにどこの会派にも所属しなかったので、今回、無会派で立候補するに至りました。
最初に弁理士登録をしたのは平成8年12月になりますが、その当時は特許事務所に勤務していました。そこで、その特許事務所の所長が所属する会派と同じ会派に所属いたしました。
弁理士再登録したときには、会派に所属しませんでしたが、会派に所属しない理由が特にあるというわけではありません。再登録をした当時、特許事務所、特許業務法人、企業などに勤務していたわけでなく、なんとなく会派に入りそびれてしまっただけのことです。
現在、会派に所属していないといっても、会派の意義が分からないというわけではなく、日本弁理士会の会派は政治の政党と同様に機能しており、会派を中心として日本弁理士会役員選挙が遂行されています。
ところで、政治の世界では、支持政党がない有権者の数は支持政党がある有権者の数を凌駕しており、国政選挙では無党派が選挙の帰趨を左右するに至っています。
弁理士の世界でも同様であり、最近では会派に所属しない弁理士が増加しており、会派に所属しない弁理士の総数は、会派に所属する弁理士の総数を凌駕するようになりました。
弁理士会の会派に良い点も多いのですが、悪い点がないわけではありません。会派に所属していない弁理士という数の上では多数派の声なき声が、日本弁理士会執行部に届かなくなるのです。そこで、会派に所属しない会員の声なき声を日本弁理士会執行部に届け、日本弁理士会の更なる発展に微力ながら貢献すべく、副会長選挙に立候補いたします。
(2)会派の意義
会派は、日本弁理士会の会務に協力するという意義があるとされています。例えば、日本弁理士会定期総会などには定足数が定められているのですが、会派の協力があるので、定足数が満たされているという面があります。日本弁理士会の会務に無関心な会員があまりにも増えたときには、日本弁理士会定期総会などで定足数を満たさなくなる懸念があるのです。
しかしながら、日本弁理士会の会務に会派が協力するという点については、最近、若干の問題がありました。
令和2年7月31日(金)から8月3日(月)にかけて、弁理士会館2階にあった日本弁理士会事務局が東京倶楽部ビル14階に引越しいたしました。引越し前、日本弁理士会事務局は、東京倶楽部ビルと弁理士会館に分かれていたのですが、今回の引越しで東京倶楽部ビルに集約されました。事務局の引っ越しは無事に終了したのですが、一時期、この引越しの実現は危ぶまれていました。
今回の引っ越しで東京倶楽部ビル14階に賃借する面積が増えたのですが、これに伴って、家主に支払う賃料も増大いたします。そこで、一部の会派が経費の増加を嫌がって、引っ越しに反対したのです。
令和2年(2020年)5月20日、水曜日に常議員会が開催されましたが、第5号議案、即ち、事務局増床の案件は長時間に渡って審議されました。執行部は丁寧に議案を説明していましたし、会派からの多数の質問にも回答していました。
常議員会では、第5号議案は常議員の過半数が賛成して承認されました。とはいっても、約3分の1の常議員は反対しました。常議員会では、通常、圧倒的な多数で議案が承認されるのですが、3分の1近い反対は異例のことであり、会派の反対による影響があります。
2020年5月29日に開催された定期総会では、第5号議案、即ち、事務局増床については、ある会派が反対にまわりました。
今回、第5号議案が通過して、事務局の引っ越しが実現したのですが、危ういものがありました。会派は日本弁理士会の会務を円滑に執行するのに協力するという意義があるとされているのですが、今回の反対はこのような会派の意義を没却するのではないでしょうか。
5 ウィズコロナ時代の日本弁理士会
(1)研修
令和2年に新型コロナウィルス対策として、3密を防止して、ソーシャル・ディスタンスを維持しようということになりました。これに伴って、日本弁理士会も集合研修を中止し、令和2年9月1日の時点で集合研修を再開する予定はたっていません。
一方、日本弁理士会の機関としては、センター、委員会、ワーキンググループなどは令和2年6月ぐらいからオンライン開催されるようになっています。また、新型コロナウィルス対策として、大学が閉鎖されましたが、早期にオンライン講義が始まりました。
日本弁理士会に設けられたセンター、委員会や大学の講義がインターネット会議システムで再開したのと比べると、日本弁理士会の集合研修の対応は遅いのではないでしょうか。オンライン講義では、研修時間中に出席しているか否か、パソコン画面を視聴しているか否かが確認できないので、オンライン講義は導入できないとされています。それでしたら、eL研修と同様にオンライン講義の最後に効果確認をすればよいだけのことです。
令和元年法改正で意匠法が大幅に改正されましたし、査証制度が導入されています。令和2年に著作権法も改正されています。すると、弁理士としてはこれらの法改正に対応していることが求められます。現実には、研修に熱心な会員もいれば、それほどでもない会員もいます。弁理士法31条の2に研修義務が明記されていることもあり、この研修義務を空文化することなく、実効のあるものにすることが所望されます。
(2)相談室
各地域会が無料相談を担当しているのですが、新型コロナウィルス対策として令和2年度に相談室が一時的に閉鎖されました。一方、新型コロナウィルス対策として、令和2年4月からインターネット会議システムが急速に普及しており、日本弁理士会の委員会などもインターネット会議システムが使われるようになっています。
このような時代の潮流を考慮すると、地域会の無料相談も同様にインターネット会議システムを活用することが所望されます。即ち、相談者と弁理士が現実に至近距離で対面するのでなく、インターネット会議システムを介して対面して、知的財産に関する相談に応じる体勢を構築するのが所望されます。
6 国際知財司法シンポジウム
平成29年度(2017年度)から特許庁、最高裁判所、知的財産高等裁判所、法務省などが国際知財司法シンポジウムを毎年、主催していますし、日本弁理士会も国際知財司法シンポジウムを後援しています。そこで、今後もこの方針を継続して、国際知財司法シンポジウムに協力する所存でございます。
国際知財司法シンポジウムには個人的な思い入れがあります。平成28年度(2016年度)から広報センター会誌編集部で月刊誌パテントの編集を担当しているのですが、令和2年(2020年)6月23日に会誌編集部の一員として髙部眞規子知的財産高等裁判所長に拝謁し、インタビューする機会がありました。この際、髙部眞規子所長から直接、国際知財司法シンポジウムについて伺ったのですが、お話を聞いているうちに日本弁理士会として是非とも国際知財司法シンポジウムに協力すべきであると確信するに至りました。ちなみに、髙部眞規子所長インタビューは、パテント2020年10月号に掲載が予定されています。
7 地域会
日本弁理士会の組織は、本会と地域会とに分かれています。ここで沿革を振り返ると、最初の支部として近畿支部が昭和60年(1985年)2月1日に設立され、その後、日本全国に支部が設立されていき、平成31年4月1日から支部が地域会に名称を変更しました。
さて、支部として近畿支部が一つあった昭和時代と、全国に地域会が設立されている令和時代では、支部、地域会に求められている役割が全く異なります。
地域会として独自性、多様性があるのは当然のことですが、全国組織の一部としてはある程度は統一、画一されていることが求められます。ここで、独自性、多様性と統一、画一とをどこでどのように調整するかという問題がございます。ここでは、潜在的にこのような問題があるという指摘に留め、その解決については皆さんの叡智に委ねたいと存じます。
8 弁理士報酬額表復活
(1)序
個々の弁理士又は単独の特許業務法人、もしくは特許事務所の課題でもありますが、同時に弁理士全員に多かれ少なかれ共通する課題があります。すると、このような課題を解決する方向で業務を遂行する機関となると、日本弁理士会に期待するしかないということになります。
(2)課題の特定
遥か昔、学生時代に米国留学したのですが、その当時、友人と一緒にピザを食べに行っていました。人数が多いときには大きなピザを注文し、人数が少ないときには小さなピザを注文しました。
さて、米国から帰国後、弁理士試験を受験して、20年以上前、平成8年度に合格しました。合格当時、弁理士の総数は4000人前後でした。これに対して、2020年6月30日現在、弁理士の総数は1万1944人であり、約3倍になっています。
弁理士の人数が3倍になったからといって、出願件数が3倍になったかというと、そのようなことはなく、おおむね横ばいのままになります。それでは、弁理士の人数が3倍になったからといって、1件当たりの単価が3倍になったかというと、そのようなことは全くありません。弁理士業界の売上全体は弁理士の数と比例しておらず、弁理士一人あたりの平均売上は、当時と比べて減少しています。更に、商標登録出願ではインターネットなどの情報通信及び人工知能AIの進展に伴って、出願の機械化、自動化が一部で進行しており、これに伴って、出願手数料に下落圧力がかかっています。
ところで、弁理士業界の売上全体は、ピザのようなものです。知的財産市場において、多くの特許業務法人、特許事務所が切磋琢磨しているのですが、ピザの取り分を競っているような面があります。特定の特許業務法人、特許事務所は取り分が大きく、別の特許業務法人、特許事務所は取り分が小さくなります。
ここで、ピザを拡大する問題とピザをどのように配分するかという問題を分けて考えます。ピザの配分については、個々の特許業務法人、特許事務所の経営努力に委ねる一方、ピザを拡大する問題は、個々の特許業務法人、特許事務所の経営努力を超えています。やはり、日本弁理士会のような知的財産に関する運命共同体において、ピザを拡大するという問題、即ち、知的財産市場を拡大するという課題に取り組むことが所望されます。
(3)課題の分析
上述した弁理士業界の課題について、経済学という観点から分析いたします。経済学では、需要曲線と供給曲線が交わった均衡点で需要量と供給量が一致するとされており、均衡点における価格は均衡価格といいいます。価格、数量などが均衡価格より若干、逸脱しても、市場力学が作用して、均衡点に回帰するとされています。
さて、弁理士市場では、出願件数などの需要がほぼ一定であり、弁理士の人数という供給が3倍に増加しました。供給が3倍に増加すれば、均衡価格は当然、下落いたします。このように経済学で課題を分析する利点は、経済学に課題を解決する手段が発見できる点にあります。
(4)課題の解決
ところで、独占禁止法、即ち、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)は、不公正な取引方法として不当廉売を禁止しています(同法第2条第9項第3号)。不当廉売の禁止とは要するに安売り禁止です。
また、不当廉売に関する法定要件を満たさない取引方法であっても、不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあることも、不公正な取引方法として禁止されています(同法第6項)。
さて、酒類の安売りによる競争激化のため、小規模な酒屋さんが企業存続の危機となっていることから、2016年5月27日に酒税法、並びに、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の改正案が可決、成立し、2016年6月3日に公布され、2017年6月1日から施行されました。要するに、酒類の過剰な安売りは禁止されるに至りました。
法の建前としては、財務大臣は酒類販売業者などに公正な取引の基準を定め(酒類業組合法86条の3)、公示するとともに、公正な取引の基準を遵守しない業者は指導を受けるということになります。
ところで、弁理士業界は、酒小売業と同様に、体力のある大手事業者もあれば、零細な事業者も併存しているわけであり、このような業界の構造は共通しています。
ちなみに、過去を振り返ると、平成13年1月6日に平成12年全面改正弁理士法が施行されたことに伴って、弁理士報酬額表が廃止されました。ところが、平成13年前後の経済状況と令和2年の経済状況は全く異なります。
令和2年4月から6月までの四半期で日本のGDPは年率換算で27。8%減少し、リーマンショックがあったときの17。8%を超え、過去最悪の数字となりました。リーマンショックがあった翌年は通常より弁理士登録抹消が増加したのですが、同様に、令和3年度は、通常より弁理士登録抹消の割合が増加することが予想されます。新型コロナウィルスのような巨大な経済変動があったときには、個々の弁理士の研鑽とか、個々の特許業務法人、特許事務所の経営努力を超える事態が発生することも十分に予見することができます。
また、特許異議申立制度は平成15年特許法改正で廃止されましたが、平成26年特許法改正で復活しています。このように一度、廃止された制度が復活することは知的財産の世界で先例があります。更に、宅地建物取引業者では未だに報酬額表が維持されています。
そこで、昨今の経済状況に鑑みて、弁理士報酬額表の復活を公約にいたします。
9 まとめ
副会長の職務は会長を補佐することですので、全力で会長を補佐する所存です。弁理士報酬額表の復活などの公約も述べましたが、会長の方針と矛盾しない範囲で公約としているのに過ぎません。
日本弁理士会の更なる発展に微力ながら貢献する所存ですので、何卒、皆様のご支持を賜りますようお願い申し上げます。
以上
文書責任者 小池誠