今季で75年の歴史に幕 三菱重工広島、都市対抗出場へ一丸「1日でも長く」
系列チームに再編されるため今季で75年の歴史に幕を下ろす社会人野球の三菱重工広島が、最後の公式戦となる都市対抗大会(11月22日開幕・東京ドーム)出場を目指し、28日から始まる中国予選(7日間・東広島運動公園野球場)に臨む。
町田公二郎監督(50)は「大きなケガ人もなく、チーム状態はいい。選手も最後はいい形で終わりたいという気持ちで練習に取り組んでくれている。厳しい戦いにはなるが、とにかく本大会への出場権を勝ち取ることしか考えていない」と、強い決意を語る。
1946年に創部され、79年の都市対抗では初出場で優勝を飾った。これまで都市対抗に16度、日本選手権に18度出場した広島を代表する古豪だが、今年3月、三菱重工は2021年から現在の4チームを2チームに再編すると発表。横浜市と神戸市・高砂市の2拠点に集約し、広島と名古屋の2チームは姿を消すことになった。
今季限り”の衝撃に見舞われたナインだが、そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルス。感染拡大により、7月上旬に開催される予定だった日本選手権(京セラドーム)は中止が決まった。先の見通せない状況が続く中、ナインの間には「このまま試合を行うことなく、チームは終わりを迎えてしまうのでは」という不安が広がった。
しかし、緊急事態宣言が解除された6月からオープン戦を再開。7月には都市対抗が予定通りに開催される方針が決まったことで、ナインの気持ちも一つにまとまった。26人いる選手は来季、存続する2チームに移籍するほか、今季限りで現役を引退する決意を固めた選手もいる。都市対抗予選へ向けて「1日も長く、このメンバーで一緒に戦う」がチームの合言葉となった。
9月上旬に行われた1次予選の広島県予選は無傷の3連勝で1位通過した。最終予選となる中国予選は8チームが出場し、本大会出場の切符が得られるのは2チーム。ここで敗退すれば、その瞬間、三菱重工広島の歴史に幕が下りる。「絶対に負けられない。一戦一戦しっかり戦って、必ず東京ドームへ行く」と青木拓己主将(28)は力を込める。
応援団も選手を後押しする。個人会員1300人、法人会員40社が名前を連ねる後援会では、チームのマークが入ったタオルやマスクなどを会員全員に無料配布。スタンドでも一体となってチームに声援を送る。「職場でも多くの人から『頑張って』『東京ドームに連れて行って』と声をかけられます」と青木主将。野球部のOB会も「奪取」と記された横断幕を作成し、選手鼓舞する。
カープOBで、三菱重工広島では2年間のコーチ生活を経て、チームを指揮して今年6年目を迎えた町田監督にとっても手塩にかけて育ててきた選手たちと最後の戦いとなる。「これまで頑張ってきた成果をグラウンドで発揮して選手が輝けるような試合をしたい。全員が自分の役割をこなすことで一つ一つ勝ち進んでいきたい」。東京ドームで有終の美を飾るためにも、ここでチームの火を消すわけにはいかない。
(デイリースポーツ・工藤直樹)
チーム最年長34歳の実政太一外野手は今季限りで現役生活にピリオドを打つ。如水館から05年に入社し、三菱重工広島一筋、今年が16年目のシーズン。「チームがなくなるとは思っていなかったのでショックだった。いずれはこのチームでコーチになって後進を育てていきたいと思っていた。家族もいるし、仕事もあるので(他チームには)移籍せず、引退して広島に残ることに決めました」。1次予選は故障で出場機会がなかったが、ケガも癒え、「チームに貢献したい」と強い決意で中国予選に臨む。
◆都市対抗中国予選 9月28日から10月4日まで7日間、東広島運動公園野球場で開催される。出場8チームがA、B組に分かれてリーグ戦を行い、各組の1、2位が決勝トーナメントに進出。優勝チームの第1代表と、敗者復活戦などを制した第2代表が本大会に出場する。予選リーグの組み合わせは次の通り。
◇A組 JFE西日本、三菱自動車倉敷オーシャンズ、ツネイシブルーパイレーツ、シティライト岡山
◇B組 三菱重工広島、JR西日本、光シーガルズ、伯和ビクトリーズ
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