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いじめられていた俺は気づけば世界最強になっていた ~陰キャ高校生、自宅ダンジョンにてレベルが100を超えたのでいじめっ子をボコボコにできるようになりました~ 作者:木嶋隆太
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第10話



 サリアが目を輝かせながら口をつけてこくこくと飲んでいく。


「おいしい! 凄いね地球の飲み物は! もう最高だよ!」

「そりゃあ良かったよ。そういえば、サリアは食事とかするのか?」

「するに決まってるじゃん! もしかして、美味しい食べ物とかもあるの!?」


 もう食べる気満々だな。

 一応一人暮らしは長いので料理ができないことはないのだが、人様に食べさせるように料理が上手ということはない。

 ……それに、だいたい面倒なときはカップラーメンで済ませてしまうからな。


 今日もそのつもりだったので、俺はカップラーメンを一つ取りだす。


「え? それなに!?」


 目を輝かせるサリア。俺は電気ケトルに水を注ぎ、沸騰するまで待つ。


「食事だよ」

「ええ? これ食べられるの?」


 ふたをあけると乾燥麺がある。スープなどを取り出し、必要なものを入れていく。

 お湯が沸く。その音にサリアが可愛らしく驚いた声をあげた。お湯をカップラーメンに注ぎ、ふたをする。

 しばらく待ってからふたを開けると、ほぐれた麺がそこにあった。


「わっ!? 硬そうだった麺が一瞬でふにゃふにゃになった!?」

「まあ、そういう料理なんだ。そっちの世界にも似たようなものはあるんじゃないか?」

「あ、ある……のかな? 私そんなに知識ないから分からないけど……と、とにかくおいしそうだね!」


 俺はスープを入れてから、近くにあった小さな皿を取り出し、いくらか麺をよそり、スープをスプーンで入れた。

 それをサリアのほうに向ける。

 ……小さなフォークは、一応あるな。デザート用のものだ。ちょっとサリアには大きいが大丈夫だろうか?


「サリア、これで食べてみるか?」

「うん! ありがとね!」

「それじゃ、いただきます」

「いただきます!」


 「いただきます」は、サリアにも通じるようだ。


「熱いから気を付け――」

「あちゅい!」

「ああ、もう……サリア、ほら気をつけて食べてくれ」


 俺も自分のラーメンを食べていく。……うまい。いつも食べているのだが、こう運動して空腹になったからかいつも以上に美味しく感じるな。

 ちらとサリアを見ると、彼女は目を見開いて、羽をバサバサ揺らしている。


「お、美味しいよ! なにこれ!? 食べたことないよ!」

「それは良かった」


 ……まさか、カップラーメンでここまで喜ぶとは。それなら、お店のラーメンとか食べたらもっと良い反応するんじゃないだろうか?


「もうちょっとちょうだい!」

「分かった、分かった。ちょっと待ってな」


 サリアに苦笑を返しながらカップラーメンを一口分そちらの皿によそった。

 サリアはそれはもう嬉しそうに目を輝かせ、それからもう一口を食べた。



 食事を終えたところで、俺はサリアとともに自宅紹介を行っていく。

 サリアは俺の家の中を調べつくすということで、様々な家電製品を見てはそれはもう元気いっぱいの反応をしていた。


「わあ! これがキッチンなのね……あ、あいえいち……? え!? これが火の代わりなの!?」

「お、お風呂!? ていうか、シャワーとかなんか凄い! 見たことないよ!」

「せ、洗濯機!? わ、わー! なんか回ってる! 面白そう!」

「ゲーム……? わっ、この世界なんだか私の世界に似ているかも! ……なるほど!」

「漫画? あっ、心配しないで! 文字も読めるんだから……へぇ! なるほど、これがこの世界の娯楽なのね!」


 だいたい部屋を見て回ったところで、サリアは満足げに笑みを浮かべていた。

 サリアはすっかり日本が気に入ってくれたようだ。今は見つけた漫画の一巻を眺めている。


「おい、サリア……そろそろ寝るんだけど……」


 もう外も暗くなってきたので、俺がそういうがサリアは未だ漫画に夢中だった。


「ま、待って! この一巻、もうすぐ読み終わるから!」

「……はぁ、分かったよ」


 俺も仕方なく彼女に付き合うように読書を行う。サリアが読み終わったところで、俺はベッドに入った。

 サリアをどこに住まわせるか迷ったが、妹の部屋にあった昔かった人形遊び用のおもちゃの家があったので、そこを用意した。

 彼女は偉く気に入ってくれてはいたのだが、ベッドはさすがに硬いため俺のベッドで横になっている。

 布団くらいなら用意するといったが、別にサリアもそこまで大きいわけではないので大丈夫だろう。


「……うっかり潰さないかだけ心配だな」

「大丈夫! 一日潰されたくらいじゃしなないよ!」


 それって別に大丈夫ということへの保障ではないような。

 そうは思ったけど、サリアは笑顔なので気にしないでおこうか。


「ねぇ、それでさっき読んだ漫画なんだけど! メインヒロインのあかちゃん、めちゃくちゃカワイイわね!」

「……ああ、そうだな人気投票でも一位だったな」

「人気投票!? なにそれ!」

「あー、あの漫画って元々週刊連載だからその雑誌で人気投票をやっていて……」


 それからサリアが寝付くまで、オタク談義をするはめになった。

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