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いじめられていた俺は気づけば世界最強になっていた ~陰キャ高校生、自宅ダンジョンにてレベルが100を超えたのでいじめっ子をボコボコにできるようになりました~ 作者:木嶋隆太
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第7話


「サリアは戦えるのか?」


 仲間の能力を把握しておくのは、戦場においてもっとも重要な要素の一つだろう。

 と、ま、俺は別に戦場になんて立ったことはないんだけどな。


「無理だよ! 戦闘能力皆無だから応援してるね!」

「了解」


 少しだけ期待していたけど、どうやら完全に戦えなさそうだな。

 それに僅かながらにがっかりとした。だが、決して否定はしない。

 俺は小さく息を吐いてから、第二階層へと降りた。


 ……空気が違った。素人でもそれだけは分かる。

 一階層はぶっちゃければそれこそ我が家の庭とそう変わらない雰囲気であった。しかし、今はまったく違った。

 二階層は……そうだな。張りつめた空気が満ちていた。一階層と同じような平原が続いているというのに、ここはまったくもって違った。

 俺は体の強張りをとるように一度深呼吸をする。


「ねぇ、サイトって戦闘の経験はどのくらいあるの?」


 肩にのって足をぷらぷらと動かしていたサリアがそんなことを訊ねてきた。俺の世界がサリアの知っている世界ではないとは先ほど理解したようだったが、それでもまだ俺の世界ではまったく争いが起きていないということは理解していないようだった。

 いや、俺の知らぬところで超異能バトルみたいなものは日夜起こっている可能性は十分に考えられるのだが、それは考えないようにした。


「まったくないな……というか、サリアの世界がどのくらい戦いがあるのか分からないが俺たちの世界はまったくそういうのないんだよ」


 現在絶賛高校で争いの中にいる。……いや、争いではないか。向こうが一方的に俺をいじめているに過ぎない。

 ……それが嫌で逃げた俺は最低限の出席だけで登校を済ませている。

 いや、このような苦い記憶は封じておこう。考えるだけ無駄だ。

 学校なんてものは機械的に通えばいい。それ以上は何も考えなくていいんだ。


「えぇ!? 戦いないのぉ!?」

「まあ、な」

「それじゃあどうやって生活しているの!?」

「そっちの世界だって戦闘以外で生計を立てている人もいるんじゃないか? 例えば、さっき見せた冷蔵庫とか、テレビとか……そういうのを製造して売ったりして稼いだり、それを流通させるために営業したり……そんな感じで世界は回ってるんだよ」

「それが出来ない人が私たちの世界では冒険者とかになるんだよ? この世界では何になるの?」

「……ニート、だな」

「えぇなにそれ? この世界の冒険者的な人?」

「……まあ、そうかな」


 人生の冒険者、的な? 俺も将来の候補なので、あまり酷く言いたくはなかった。

 これ以上無駄話をしていても仕方ない。

 俺はいつでも短剣を振りぬけるように短剣を鞘から抜いた状態で第二階層を歩いていく。


「サリア、どんな魔物が出るのかわかるか?」

「分からないよ!」


 元気いっぱいに返すようなことではない。とはいえ、別に期待していたわけでもないので良いか。

 しばらく迷宮を歩いていた俺はそこで身をかがめ、背の高い雑草に身を隠した。


「ゴブリン、いたな」

「うんいたね!」

「馬鹿、声出すなって!」


 俺は思っていた以上に大きな声をあげるサリアの口を片手で覆った。

 こいつ、味方なのか敵なのか分からない。俺がじっと見ると、サリアはこくこくと納得するように頷いた。


「どうするの?」


 小声になったサリアが問いかけてくる。


「……いや、どうするも何も。戦うしかないだろ?」

「……そうだね」

「ど、どんな感じで攻撃すればいいんだ?」

「こ、こう……背後からグサッと! みたいな……?」

「……だよな」


 正面からやりあうつもりはない。サリアの言う通り、俺は大きな雑草に身を隠し接近していく。野生の魔物は警戒心が強いのではと思ったのだが、ゴブリンはのんびりと迷宮内を歩いている。

 周囲に仲間の姿があるわけでもない。

 ……これならば、どうにかなるかもしれない。


 俺は慎重に、慎重を重ねて近づく。

 ゴブリンとの距離がかなり近づいた。それでも、気づかれている様子はない。

 ……ただ、雑草がなくなってしまったので襲うときには気づかれるだろう。


 少し緊張する。


「行く……か」

「うん、行こう!」


 サリアが背中を押すように声をあげてくれた。いつまでも悩んでしまいそうだったので、それを合図に俺は地面を蹴った。

 一気にゴブリンへと迫る。体は思った以上に軽い。……もしかしたら、これがステータスの影響なのかもしれない。

 ゴブリンが遅れてこちらに反応した。振り返りざまにゴブリンは持っていた棍棒を振りぬいてきた。


 しかし、俺はその攻撃をかわせた。短剣を握ってから、思っていた以上の力が出せる。

 これが、【短剣術】スキルの効果なのかもしれない。

 棍棒をさっとかわしてから、短剣を横に振りぬいた。

 ゴブリンの腕を浅く切り裂いた。肉を切る初めての感触。それに少しだけ戸惑いはあったが、【短剣術】スキルを信じて攻撃を重ねる。


 ゴブリンがよろめいた。今だ!!

 俺は地面を蹴りつけ、一気に距離をつめる。両手で短剣を握り、その喉元へと短剣を突き出した。

 血が噴き出すということはなかった。俺の一撃を受けたゴブリンはそこで倒れた。


「やった倒したよ! おめでとう!」

「……ああ、良かった」


 初めての戦闘。

 初めて命を奪うという感覚。

 肉を断ったその感触は確かに手に残っていた。それでも、死体が残ったり鮮血があったりということがなかったからか、手に残った感触以上の実感はわかなかった。


 ゴブリンを仕留めると、そこに光の玉が出現した。


「……なんだこれは?」

「ラッキーだね! 魔物からはランダムにアイテムがドロップするんだけど、これは迷宮ポイントだよ!」


 ランダムなドロップか。

 わりとゲーマーな俺としては、レアドロップとかにも期待してしまうのだが、どうなんだろうな?

 とりあえず、倒せて良かったな。


『ステータスレベルが2に上がりました。短剣術レベルが2に上がりました』


 そんなメッセージが画面に現れた。


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