第6話
スキル枠5つ、ときいても俺は少し少ないか? とさえ思っていた。
しかし、どうやらサリアの反応を見るにこれも優秀なようだな。
「人によってランダムなんだよ。スキルは1から5つ。ジョブは1つってね。だから、私たちの世界ではこのスキルが何個装備できるのかで優劣がつけられるんだ。お兄さん良かったね、大当たりだよ!」
俺が大当たりの理由について丁寧に話してくれた。
……つまり、俺のステータスは全方向でかなり恵まれているんだ。
「なるほどな。スキルが1つしかつけられないと苦労しそうだな」
「うん。それで家を追放されちゃう子とかもいるんだよ。特に冒険者として成り上がった貴族とかに多いかな?」
「……」
地球と違い、才能や能力値が目に見えてしまう。そんな人間たちを利用する側の人なら、優劣がはっきりしていると良いだろう。
例えば、会社なら履歴書の代わりにこのステータスを見せてもらえれば一発でその人間が使えるかどうか分かる。
……大変だな、異世界の子は。
そんなことをぼんやりと考えながら、俺はジョブの画面を見た。
……ん?
「あれ、サリア。さっき言っていたよな?」
「何を?」
「ジョブは1つだって」
「うん、そうだよ」
「2つつけられるみたいなんだけど」
「ええ!?」
驚いた様子で俺の体に触れるサリア。そして、俺が見ていたジョブ画面を見てもう一度驚いた声をあげる。
「ええ!? 凄いよ! これは凄すぎるよ! 見たこともないよ! まさしく天才だよ!」
「……そうなんだな」
サリアが驚きまくっている中、俺は考える。
……これなら、スキルはひとまず1つにして、ジョブを取りに行った方がいいよな?
まずは魔物に挑んでみて、それで倒せるようであればあと5ポイントを稼ぎにいったほうがいいだろう。
「サリア。とりあえずこれから魔物を狩りに行こうと思う」
「え? 他のスキルとらないの?」
「やってみて、勝てそうならこのスキルで行く。無理そうならもう一つスキルをとろうと思う。どちらにしろ、どんなスキルが欲しいかも分からないし一度実戦で試してみたいんだ」
どんな魔物がいるか分からない。自分の現状を理解し、それで相手に合わせてスキルを獲得していくほうがいいだろう。
俺の言葉にサリアも納得した様子で頷いてくれた。
「なるほどね。確かにやってみないと分からないよね、行ってみようか!」
それにしても魔物、か。
どのくらいの強さなんだろうな。
「サリア、魔物はこの階層には出ないのか?」
「うん、基本的に1の階層は開拓階層だからね。魔物は出ないよ。魔物と戦うのなら2階層に行かないとね」
「分かった、場所は分かるのか?」
「うん、こっちだよ! 案内するね!」
サリアがふらふらーっと飛んでいき、俺はその後を追いかける。
「少し気になったんだが、このステータスのHPがゼロになったらどうなるんだ?」
「ステータスを今体にまとっているよね?」
「……ああ」
「それを解除、もできるんだ。やってみて?」
「……」
いわれた通り念じてみると体をまとっていたものが消えた。
「HPがなくなっちゃうとそのステータス体がなくなった状態で戦うってことだよ。つまり、まあ生身で戦うってことだね」
……それだけは避けたいな。
「……なるほどな。逆に言えば、HPを失っても最悪生身で戦うこともできるってわけか?」
「そういうこと!」
それならまだ気楽に戦えるな。HPが0になったら死ぬと聞けば恐ろしかったけど。
俺はサリアとともに二階層へと向かっていった。
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